ブランディング経営の浸透度不全を感じるとき…

先日のこと。僕のクライアントで会議中に出た話です。その会社は、食品メーカーですが完全なファブレス経営をされています。

つまり製造プラント(工場)持っていないため、自社商品はOEMを依頼して製造してもらうことになる訳です。現在、ある開発商品を企画中でして。社長が、佐賀市内の工場に製造依頼の相談に行かれました。

僕のクライアントですから、「高品質のものを開発して、高価格で提供する」を信念とされてます。

製造を依頼する候補先の経営者と打ち合わせの中で…。

「OEMですから、これくらいの(低品質・低価格)の材料を使いませんか?」

と言われたそう。こちら側から…。

「いいえ、うちはホンモノを追求する会社ですから、高価格でもいいので高品質なものを使わせてくださいませんか?」

と逆にお願いしたそうです。

返された返事が。

「高くしたら消費者は買いませんよ。それなりのものを、デザインをよくして売った方が儲かりますよ」

「……」

最後まで話が噛み合わず、製造依頼を断念することになったようです。

この話を聞いて、僕が思ったこと。ブランディング経営の本質を、もっともっと主張していかねばならない…ということ。

ブランディングを形成する根幹は、「高品質」です。ましてや、紛い物や偽物は消費者にすぐに見抜かれます。

結果として価格競争に陥り、大企業に飲み込まれてしまうのです。

伝え方・見せ方さえ工夫すれば、品質は悪くても高価格・高付加価値が実現する…。それは妄想なのです。

投稿日: 2023年7月5日 | 8:17 am

コンサルタントとして、引き寄せの法則を感じるとき…

引き寄せの法則…。皆様はどう思いますか?

中小企業診断士として活動する時、引き寄せの法則というものを感じる瞬間が時々あるものです。不思議と…同じ価値観のクライアントとご縁がありますし、全く違う価値観の経営者とは、ご支援するご縁がありません。

あるいは、仮にコンサルティング契約に至ったとしても、短期間で契約終了になるパターンがほとんど。まあ、小生がクライアントを選んでいることにも起因するのですが…。笑

断言しますが、中小企業診断士(経営コンサルタント)がコンサルティング支援をする場合、クライアントは選んだ方がいい。

価値観の違うクライアントをご支援することは、お互いに不幸を招きます。例えば、業績至上主義の経営者や他責思考の経営者。小職は、そのような経営者をご支援する自信がありません。

自信がない以上、ご支援することは無理ですし、お相手も不満を募らせます。

ちなみに、小生がお手伝いするような経営者像ははっきりしていまして…。

「自責の思考で自社運営を進める経営者」

「自社社員、取引先を大切にする経営者」

「いついかなる時も、敵は内にありと思考する経営者」

「覚悟をもって、何事も約束を守る誠実な経営者」

「熱意をもって事業に邁進する経営者」と、このような経営者像です。

サラリーマン診断士であれば、なかなかお客様を選ぶなど困難でしょう。

小職が独立してよかった…そう思う理由のひとつに、クライアントを選べる様になったことが挙げられるのです。

投稿日: 2023年6月29日 | 8:06 am

「稼げる診断士」と「思ったように稼げない診断士」

最初に厳しいご質問をさせていただきます。

クライアントから「収益アップの構造を指南してもらえませんか?」とお願いされたら…。中小企業診断士(経営コンサルタント)である貴方は、どうお答えしますか?

収入アップの相談を受けた中小企業診断士が、自らの収入アップで悩んでいる…。そもそもこのような構図は、できるだけ避けたいものですよね。

少なくとも…「今は思ったような収入ではないが、年々増額している!」そんな自信は持っていたいものです。

ここで、稼げる診断士の定義を決めておきましょう。

尊敬する中小企業診断士の大先輩・山下益明先生は、「民民契約で2,000万円」という言葉を提唱されています。民民契約とは「クライアント企業と直接契約するという意味」。ここに中小企業協会からの受託事業や、補助金申請書策定代行などは含まれていません。

小職も同じような感覚を持っていまして…。ついでに言うと山下先生は「できれば3,000万円以上…」とも言われています。

僕ですか…?。まだまだですが、最低目標(2,000万円)は超えています。ただ、そこまで来るのは独立して7年の歳月を費やしました。

それまでは苦しい時もありましたし、仕事を選ばずに「何でも屋」のような経験もしました。ただ今振り返ると、全ての経験が無駄ではなく「今に繋がる貴重なプロセス」だったと確信しています。

小職よりも早く2,000万円の壁を超えた仲間も大勢いるでしょうし、またひとりで5,000万円稼いでいる診断士の先輩も知っています。当然ですが、「稼いでいる診断士」=「優秀な診断士」という訳ではないと思っています。

しかしながら、専門士業の職を与えられて活動する以上…、また企業経営コンサルタントも国家資格ホルダーとして活動する以上…。やっぱり稼ぐ(高収入)ということは、重要な要素なのではないでしょうか?

そして断言できますが、中小企業診断士は立派に稼げる職業です。

「稼げる」「喜ばれる」そして「愉しい」。

自分自身、このような職業に巡り会えたことに大きな喜びを感じていますし、まさに天職!そう思っています。

もし…「思うように稼げていない」という仲間が、読者の中にいたら…。それは中小企業診断士としての「あり方:姿勢・マインド・ハート」または「やり方:ノウハウや取り組み、戦略戦術」に質量性・方向性の間違いがあるのでしょう。

中小企業診断士としての主張もダイバーシティに富んでいまして…。笑稼げるためには「営業力だ」という方も、いらっしゃいます。

もちろん営業力は必要でしょう。では、診断士の営業力って一体何ですか?そこを解析して探究して主張しない限り、説得力に欠けると思われます。

投稿日: 2023年6月21日 | 7:27 am

新規事業開発の留意点

先日ある経営者から、こんな相談をうけました。

「現在のビジネスモデルでは、10年後の展望が決して明るいとは言えない。今から新規事業を考えておきたいのだが、何かアドバイスをくれないか…」(概要)

そういった内容でした。

新規事業開発を模索する経営者は、意外と多いと思いますし、この危機感は健全だと思っています。

一寸先は闇…。ビジネスは、そんな不透明なリスクが常に付きまとうものです。

僕の持論ですが、新規事業開発が起動し、起動化(黒字化)するまでのプロセスで「失敗しない秘訣」というものがあります。ここでの失敗とは、起動化(黒字化)せずに新規事業自体が消滅してしまうことを言います。

失敗しない秘訣は、ざっくりと5点をまとめました。

アンゾフの成長マトリクスでいうところの、「新市場開拓型新規事業」と「新商品開発型新規事業」のいずれかを選択するという点が1点。

次に、会社全体で高揚感を引き起こすようなビジネスモデルを構築するという点が2点。

会社内で新規事業開発プロジェクトチームを立ち上げ、マネージャーには、最大限の権限を与える点が3点。

新規事業開発プロジェクトの進捗状況は、かなりの頻度で社内にアナウンスし、協力体制を整備しながら進めることが4点。

最後に、市場調査(マーケティングリサーチ)を施し、ブランディング・コンセプト(こだわり、とんがり)を創出することが5点目。

以上のようなポイントに留意して、時間とコストをかけてしっかりと取り組んでいきましょう。

投稿日: 2023年6月5日 | 8:38 am

『炎の人事考課制度』のメカニズムー2【人事考課制度の意味】

人事考課制度…。人事評価制度という言い方もされていますが、その意味合いは全く違います。「評価」と「考課」は全く違う意味なのですから…。

僕は人事考課制度は、中小企業診断士の仕事であると信じています。「評価」は過去の実績などを振り返り、その価値を判断すること…。「考課」は読んで字の如く、課題を考えること…なのです。つまり、評価は過去の振り返り。考課は未来の創造ということになります。

クライアントが、人事評価制度と呼称する成果物を見たことが何度もありますが、その実態は???と思われることが多い。つまり、未来創造型ではないのです。

そもそも、人事考課制度存在する意味合いを考えてみてください。「人が人を評価する…」これは本当に難しく、気をつなければなりません。しかし、「人の課題を寄り添って考える」ことはできます。上司である考課者が取り組むべきは、まさに考課なのです。

人事評価制度…スタッフの働きぶりを振り返り、良し悪しを判断して、昇給・賞与に反映させること。

人事考課制度…スタッフの働きぶりを振り返り、次の成長につながる課題を見つけ出し、かつその良し悪しを昇給・賞与などに反映させること。

その価値は明らか。ですが、評価するための人事制度があまりにも多い。経営者にも、間違った認識をお持ちの方も多い。

完全に未来創造型の人事制度を構築しないと、ただの評価ツールとなってしまい、結果として真の意義を見失ってしまうことになりかねないのです。

投稿日: 2023年5月31日 | 8:24 am

コンサルティングは三現主義により実現する…

中小企業診断士として活動していると、机上の空論ばかりを振り翳し、クライアントに助言している輩を時々見ます。はっきり言っておきますが、本物の経営コンサルティングを提供しようとすると、オンラインなどでは到底不可能!「オンラインでコンサルティングを…」などというフレーズを見ると、同業として不信感しかありません。

研修や創業相談ならまだしも、イノベーションを期待されるコンサルティングは、理論やフレームワークで解決できるほど甘いものではないのです。

経営コンサルティングを「個別具体的な経営課題を、個別具体的な手法で、個別具体的に解決する」ことと定義する場合、その根本となる考え方は三現主義(現地、現時、現物)です。

コンサルタントが経営の現場に入り、目で、耳で、鼻で、舌で、触感で…五感を駆使して肉薄し、確認した事実こそ信じるに値する情報なのです。

また経営コンサルタント(中小企業診断士)は、補助金申請書の策定代行専門家ではありません。

「価値と価値を掛け合わせて、新しい価値を創り出す(あるいはそれをお手伝いする)専門家」ですから、補助金申請書の策定代行などの仕事のみを手掛けることは、さっさと卒業すべきでしょう。

困っている中小企業企業は無限にあります。

中小企業はイノベーション(革新)が必定。イノベーション経営をお手伝いできるのは、中小企業診断士のミッション。

それをしっかり心得て、日々研鑽していきたいものです。

投稿日: 2023年5月24日 | 8:03 am

『炎の人事考課制度』のメカニズムー1

最近特に、人事考課制度(評価制度)に関する相談事が増えてきました。本ブログで再三にわたり主張していますが、本来、人事考課制度などというものは存在しないほうがいい…。僕はそう考えています。

しかし、人間は「承認欲求」と「自己実現欲求」を併せ持つ動物です。承認…つまり、周りから認められた時に大きな喜びを感じるし、自己実現…何かを成し遂げた時に、高揚感を覚えるものです。

中小企業経営における最大で唯一の経営資源「ヒト=人財」。その人財を育て、活躍してもらう環境を整えるための、ひとつのツールとして、人事考課制度が必要だと考えています。

人事考課制度に関する相談事は、大きくふたつに分かれます。

ひとつは。そもそも人事考課制度そのものがないから、制度を創りたい。もうひとつが、今までの制度が使えない…あるいは、自社の実態と合わない。そのため、もう一度創り直したい…。という相談です。

人事考課制度の失敗あるある…。そのひとつに、人事コンサル会社に丸投げして制度を作ってもらうこと。これは絶対にやめたほうがいい。魂や志がこもっていない制度は、早晩使われなくなるのです。何百万円もかけて創ってもらった制度が、全く使えないものならば悲劇です。

ですので、人事考課制度を作る場合は、社内プロジェクトチームを編成して策定していきましょう。その際、中小企業診断士などの専門家を入れたほうがベターです。社会保険労務士もいい。ですが、専門家のセレクトに関してはしっかりと吟味しましょう。

 

投稿日: 2023年5月22日 | 6:10 am

安けりゃいいってものじゃない!

中小企業経営にとって大きな課題のひとつに、価格戦略というものがあります。価格というのは厄介なファクターであり、その会社でも頭を悩ませる課題です。安売りをしてしまうと、売上は上がっていきます。低価格設定(安さ)を追求してしまうと、もっとも重要な「売上総利益(粗利)」に多大な影響を与え、スカスカな(中身のない)財務状況を招いてしまうのです。

中小企業経営の最大のタブーは、価格競争である…。このことは再三主張しているのですが、まだまだ浸透していないし、”安くなけりゃ売れない”という妄想を抱いている経営者も少なくない。

中小企業経営は、価格で勝負するのでなく、価値で勝負すべきです。お客様が本当に欲しいと思うような商品を創り出し(仕入れ)、ブラッシュアップして価値を上げて提供する…。すると、価格競争に巻き込まれて困窮することはありません。

そして、消費者(ターゲット層)は、思ったより安さを求めていることはないのです。「安かろう悪かろう」は、顧客満足度を著しく下げて、リピートを実現できません。

いつの時代も、顧客戦略というのは重要であり、顧客はリピーターのことです。リピーターは、御社の本当の価値を認めてくれる人たちです。

弛まぬ企業努力によってブランディングを推進して行き、価値を高めていけば、顧客がついてきます。その顧客を徹底的に大切にしていきましょう。

安けりゃいいってものじゃないんだよ…。って思いますよね。

投稿日: 2023年5月15日 | 8:10 am

コンサルティングは具体的現実助言である…。

経営コンサルティングの基本的方向性は、「個別具体的な経営課題を、個別具体的な手法で、個別具体的に解決すること」です。ですから、助言(アドバイス)は個別具体的でなければなりません。

稼げない、収入を上げることができない経営コンサルタント(中小企業診断士)のコンサルティング内容を時々目にすることがあります。彼らの助言は実に抽象的で現実性に欠ける…。とても残念なことです。

また、彼らのコンサルティングは「クライアント任せ」の内容が多い。

例えば、小売店の顧客囲い込み戦略を議論していた時のこと。ある診断士が「Tポイントカードを導入しましょう。もっとも有名で使われているポイントカードです。次回までに調べといてくださいね。」これでは、クライアントの心には刺さりません。

これは拙いと思い、小職が失礼ながら助言し直しました。

「Tポイントカードでなく、自社独自のポイントカードを作りましょう。アナログでいいのです。1000円お買い上げごとにポイントをつけます。20000円分貯まったら500円のクーポンとして活用してもらいましょう。次回、いいデザイン素案を一緒に考えませんか?」

経営コンサルタントの助言は、このように具体的・現実的でなければならない。こうでないと、お金の取れる経営コンサルティングは成立しないのです。

このクライアントは、独自のポイントカードを制作して現在でも活用中です。

「個別具体的な経営課題を、個別具体的な手法で、個別具体的に解決する…」とはこういうことを言うのです。

投稿日: 2023年5月10日 | 8:00 am

コンサルティングは化学反応である…。

経営コンサルティングとは何ぞや?…。この質問に的確答えられる「経営コンサルタント」はどれくらいいるでしょうか?意外と難しい質問だと思います。同業者(中小企業診断士)向けのセミナーなどで登壇し、この質問を投げかけても、的確な答えは返って来ないのが実状です。

経営コンサルタントが、「経営コンサルティングってどんな仕事ですか?」という質問に答えられないとは…。なかなか恥ずかしい話だと思いませんか?

消去法でいくと…

経営コンサルティングとは、補助金・助成金の申請書策定代行ではありません。

経営コンサルティングとは、経営改善計画書策定のプロでもありません。

経営コンサルティングとは、調査業務を請け負い、報告書を策定・提出することでもありません。

これからは全て、補助的補完業務として”ごく一部”の仕事なのです。

表題にあるように、経営コンサルティングとは「化学反応」であることに間違いはありません。

化学反応ですから、劇的な変化(もちろん良い方向に向けた)を実現することです。もっと言うならば、「価値と価値を掛け合わせて、新しい価値を創る」こと…。これを経営局面で実現すること。これを経営コンサルティングと呼びます。

ところが実状を見ると、先ほど羅列した補助的補完業務に特化している経営コンサルタント(中小企業診断士)が多すぎる。

イノベーション(革新)を起こせずに、困っている中小企業は無限にあります。もっと我々が現場に入り込み、革新施策立案・実行支援をしなければ…。そう思うこの頃です。

投稿日: 2023年5月8日 | 8:30 am