物価高に対応する中小企業経営

原材料、エネルギー、人件費…。いま、中小企業を取り巻く“物価高”の波は確実に経営現場を直撃しています。
「このままでは利益が出ない」「お客様が離れてしまうのでは」──そう感じている経営者も多いのではないでしょうか。

しかし、ここで断言します。
間違っても、値下げで乗り切ろうとしてはいけません。

値下げは、一瞬の安堵をもたらす“麻薬”のようなものです。確かに一時的には売上が動くかもしれない。しかしその先に待っているのは、疲弊と価格競争の泥沼です。
「薄利多売」は、経営体力のある大企業が取る戦略。私たち中小企業が模倣して勝てる道ではありません。

では、どうすればよいのか。
答えは明確です。
「高付加価値化」へのベクトルを合わせること。

高付加価値とは、単なる“高価格”ではありません。
そこには経営者と社員の「想い」「努力」「こだわり」が詰まった“品質”があることが前提です。
つまり、お客様が“値段ではなく価値で選ぶ”状態を創り出すこと。
ここに、中小企業が生き残り、伸びる唯一の道があります。

今こそ、問うべきです。
「我が社の強みは何か?」
「誰に、どんな価値を提供しているのか?」
「お客様は、なぜ我が社を選んでくださるのか?」
この問いを深掘りし、自社独自のブランドを磨き上げること。これが“価格では勝てない時代”の最強戦略です。

ブランディングとは、広告でもロゴでもありません。
それは、“理念と品質の一貫性”です。
経営理念に基づいた高品質な商品・サービスを追求し続ける姿勢そのものが、ブランドを形成していくのです。

もちろん、時間も手間もかかります。
しかし「値下げ」という安易な選択を取るよりも、ずっと確実に企業を強くします。
そしてその先には、“選ばれる会社”という未来が待っています。

物価高の時代とは、実は「価値の時代」でもあります。
今こそ、中小企業経営者が“価格競争からの脱却”を宣言するときです。
高付加価値経営に舵を切る勇気が、次の10年の明暗を分けるでしょう。

さあ、あなたの会社は、値下げで生き延びますか?
それとも、価値で選ばれる企業へと進化しますか?

投稿日: 2025年10月13日 | 6:47 pm

人財不足に対応する企業経営

「なぜ人が来ない?」
経営者から、そんな嘆きを耳にすることが多い。

採用戦略を見直そうか?エージェンシーに頼もうか?広告を打てば効果が出るか?
——間違いではない。だが、それは“根本原因”ではないのです。

人が集まらない原因は、すべて“内”にある。
言い換えれば、あなたの会社が「ステキな会社」に程遠いからに他なりません。


ステキな会社に人は自然と集まる

「いやいや、ウチは給与も平均以上だし、福利厚生だって悪くない」
そう反論される経営者もいます。

ですが、それで人は定着しましたか?優秀な人財は集まっていますか?
本音を言えば、給料や条件で釣れる人は、同じ理由であっさり他社に流れます。

人は“条件”ではなく“空気”に引き寄せられる。
人は“待遇”ではなく“理念”に共鳴して動く。
そして、魅力ある経営者のもとにこそ、「この人と働きたい!」という仲間が集うのです。


嘆いている場合じゃない

「人が来ないのは時代のせいだ」「少子高齢化だから仕方ない」
外部環境に責任を押し付ける経営者がいます。

しかし、それは完全なる言い訳です。
少子高齢化の影響を受けながらも、人財に困っていない中小企業は山ほど存在します。
その違いは何か?
“会社の内側が整っているかどうか”ただそれだけです。

内部環境を整備し、社員が誇りを持てる社風をつくり、理念を血肉化している企業は、必ず人が集まります。


ステキな会社とは何か?

それは決して豪華なオフィスや最新の福利厚生のことではありません。

・経営理念を全社員が語れる
・社長が謙虚で、感謝を言葉にできる
・挑戦する社員を応援する風土がある
・失敗しても再挑戦を許す器がある

そんな会社こそ、人財不足とは無縁です。
なぜなら「働きたい」と思わせる力があるから。


結論:人財不足は経営者の鏡

採用活動にお金を投じる前に、まずやるべきことは「会社をステキにする」こと。
会社は経営者の人柄の写し鏡です。あなた自身がステキでなければ、会社もステキにはならない。

ステキな会社に、ステキな人財が集まる。
シンプルですが、これ以上に本質を突いた真理はありません。

経営者の皆さん、今日から問い直してください。
「果たして自分の会社は、人が働きたいと思える“ステキな会社”だろうか?」

投稿日: 2025年9月26日 | 6:00 pm

経営者よ、「思考停止」に陥っていませんか?

最近、現場で経営者の方々と話していると、ある“共通した空気”を感じることがあります。

それは「思考停止してしまっている経営者」が少なくない、ということです。もちろん、毎日が多忙で、やることに追われる中で深く考える時間を取るのが難しいという現実も、重々承知しています。

でも、だからこそ、こう問いたいのです。

「あなたは今、“考えること”から逃げていませんか?」

◆問題の本質は“慣れ”と“惰性”

「もうこれはこういうものだ」
「今さら変えても仕方ない」
「業界的に限界がある」

…これらの言葉は、危険な兆候です。

それ、思考ではなく“反射”です。

慣れと惰性が積み重なり、経営者自身が“変わることを諦めてしまっている”ケースを、現場で何度も見てきました。

でも、断言します。

経営が鈍化する一番の要因は、「経営者自身が考えなくなること」です。

◆あなたが変われば、会社が変わる

「うちの社員は受け身で…」
「若手が育たない」
「もっと主体性を持ってほしい」

このような声もよく聞きます。
でも、それは経営者である“あなた”がどれだけ自らのスタンスを見直したか…に比例します。

社員が変わらないのではなく、経営者が「変わろうとしている背中」を見せていないのです。

「考える経営者」は、必ず「考える社員」を育てます。
「挑戦する経営者」は、「挑戦を恐れない組織」をつくります。

◆“ひとり合宿”をしていますか?

僕は定期的に「ひとり経営合宿」をおすすめしています。
スマホもPCも手放し、ただノート一冊とペンを持って、
“自分の経営と思考を深掘りする時間”を取るのです。

・最近、自分はどんな言葉を社員に投げかけていたか?
・理念に対して、ブレていないか?
・3年後、自社はどうありたいのか?

とにかく、立ち止まって、考える。
それだけで、道が見えることがあります。

◆結局、経営は“自分自身”との対話である

何をどう変えるか?
どんな未来を描くか?
最終的には、外部環境でも業績でもなく、**「あなた自身の内面」**に行きつきます。

経営は、思考の量で決まります。
そして、社員の未来は、あなたの「問い直す力」にかかっています。

投稿日: 2025年7月29日 | 9:28 pm

【人間的魅力あふれる診断士像】〜AI時代を生き残る唯一の条件〜

最近、診断士仲間との会話でこんな言葉を聞きました。

「もう書類作成だけのコンサルタントは、AIに全部持っていかれるよな…」

まさにその通りだと思います。いや、それ以前に、AIに淘汰されていく診断士像がすでにハッキリしています。

それは――
①クライアントに寄り添えない診断士。
②補助金や書類策定に特化してるだけの診断士。
③現場に足を運ばない診断士。
④オンラインに依存しすぎる診断士。
⑤そして、話せない・プレゼンできない診断士。

これらすべて、AIの“餌食”です。

いま求められているのは、人間味あふれる中小企業診断士。AIでは提供できない“感情”と“共感”を武器にした、プロフェッショナルです。

中小企業の経営は、数字だけでは語れません。
経営者の葛藤、社員の悩み、現場の空気…。それらすべてを五感で受け止め、経営の道筋を共に描いていく――そんな診断士こそ、これからの時代に価値を発揮します。

経営は人の営みです。ヒトの声に耳を傾け、ヒトの想いに寄り添い、ヒトの未来を応援できる存在こそが、真の経営コンサルタントではないでしょうか。

「寄り添う力」「話す力」「現場に立つ力」――それらを磨き続けることが、AIに奪われない、唯一の“診断士力”だと僕は確信しています。

資格を持っているだけでは、通用しない時代。
人間的魅力こそが、最大の武器となる時代です。

あなたは「どんな診断士で在りたい」と思いますか?

投稿日: 2025年6月6日 | 11:33 pm

緊急提言! 『生成AI時代の中小企業診断士像を考える』―1

Chat GPTに代表される生成A Iの発達は止まることを知らず…。

この先、中小企業診断士(経営コンサルタント)としての仕事を、今一度見直し、進むべき方向性を決める時だと思う今日この頃です。

仲間の診断士からもときどき…「この先、我々の立ち位置はどうなるのでしょう?」などという相談を受けます。

生成AIがいくら発展しても、数ある士業の中でも中小企業診断士は残る…。

そんなことが言われた時もありました。実際に、生き残りやすい士業であることは間違いないと思います。

しかし、それは条件付きです。

最近は「AIエージェント」が自動的に動き、必要なタスクを実行する…という動きも出ています。

そんな中…我々中小企業診断士(経営コンサルタント)もパラダイムシフトをし、行動を根本的に変えなければ生き残れない。

今回は、生き残りが難しくなる診断士像と題して、その筆頭に挙げられるモデルを考察します。

「オンライン依存型コンサルタント(中小企業診断士)」

中小企業診断士の生命線は、現場確認にあります。常に経営現場に“足を運び”、発生している現象を確認。その真の原因を仮説立てする…。

ここから全てが始める訳です。

したがって、現場に赴かず事実確認(もどき)をするような横着コンサルタントは、たちまちAIの餌食でしょう。

何よりも「裏付け」が薄くなるのです。

確たる裏付けがなく、仮説立てして、その解決策を提案し実行したとしましょう。

その際のリスクたるや、本当に怖い。財務体力に乏しい中小企業にとっては、死活問題となりかねません。

国家資格ホルダーである我々(中小企業診断士)は、その気概と誇りをもって“地を這うような現場型”コンサルティングを遺憾なく提供しましょう。

そこは、まだまだA Iが立ち入れない領域。

地を這うようなコンサルティングを展開していくためには、中小企業診断士の人間力(人格力)が決定だとなるでしょう。

いくらスキルが高くても、いくら高学歴でも、いくらクリエイトスキルが高くても、熱意に裏付けされた人間の持つ魅力には敵わない。

なぜなら、人間力こそ双方向コミュニケーションの源泉であり、信用・信頼獲得の核となる部分だからです。

コンサルティングは信用・信頼が大前提。そのうえに成立するもの。

したがって、三現(現場・現物・現時)主義に基づいた、泥臭いコンサルティング実行スキルが、今後の活躍を左右すると言っても過言ではないのです。

投稿日: 2025年5月12日 | 7:36 am

研究開発部門を設置・運用する

中小零細企業が大企業と渡り合っていくためには、オンリーワン戦略が不可欠であることに間違いはありません。

オンリーワンの社風、オンリーワンの人財…。オンリーワンの商品、ノウハウ。徹底的にオリジナリティにこだわっていきましょう。

資金に制限のある中小零細企業にあるのは、「知恵」(叡智)です。徹底的に知恵を絞り、施策をトライアンドエラーでしていく。これしか発展の道はない。

躍進して発展し、大企業へと成長した優良企業は、徹底的にオリジナルにこだわってきた証左なのです。

では、どのようにオリジナリティにこだわり、創出すればいいでしょうか?

ひとつの方策として、研究開発部門の設置があります。

「うちの会社は少数だから、そのような部門設置はできない…」

そんな声が聞こえてきそうですね…。笑

部門というから大袈裟かもしれません。つまりは、研究開発への取り組みを発動し継続する…ということです。

これは少数でもできる。

「うちはメーカーでもない。卸、小売企業だから、研究開発などピンとこない…」

それもナンセンス。PB商品の研究や開発は、販社でもできますよ。

サービス業もしかり。サービス業が、形になるPB商品を開発した事例は、枚挙にいとまがありません。

研究開発ができない業種業態など、ありえないのです。

要は本気でオリジナリティを追求するかどうか?向き合えるかどうか?それだけが問われるのです。

投稿日: 2025年4月22日 | 11:06 pm

消極戦略vs積極戦略

中小企業における消極戦略とは、「コスト削減」「投資抑制」「低価格政策」…などが特徴でしょう。

外部環境が、インフレに振っている今日。この消極戦略は、早晩持たなくなると予言します。

コスト削減は、絶対に無理。原材料をはじめとした物価高は、中小企業の固定費を直撃しています。

投資抑制は、企業の体力を削いでいくでしょう。結果として、明るい未来を描けなくなります。

最大の投資は人件費です。今こそ、人件費を上げるための施策を講じましょう。

低価格政策は、もっとも愚策といえます。

低価格、全方位的品揃え、浮動客志向は、大企業の戦略です。

中小企業が低価格政策を取ると、最初は売れるかもしれませんが、時間の経過とともに敗戦色が深まります。

これまた未来が描けなくなります。

昨今の経済状況にこそ「積極戦略」を取るべきです。

具体的には「投資型経営」「高付加価値政策」です。最低賃金をはじめとした、人件費UPが必定な昨今。人件費を上げるための各種施策を実施する覚悟が重要です。

人件費は、最大の未来型経費(投資)です。

中小企業経営は人本経営であるが故、高い給料を払う企業として業界を席巻するくらいの覚悟を持ちたいものです。

高付加価値経営は、まさにブランディング。

我々中小企業診断士(経営コンサルタント)は、安易な低価格戦略やコスト削減による利益確保…を推奨提案してはいけません。

我々が担うのは、あくまでも中小企業体質強化。

それは、積極戦略による価値向上を推奨し、高付加価値経営を実現することです。企業は永続発展こそ真価なのですから。

投稿日: 2025年4月9日 | 8:43 am

協力企業(パートナー企業)の存在価値

中小企業経営は、支えられる経営です。さまざまな関係者、関係事業者に支えられること…。企業繁栄の秘訣です。

支えられる経営をしていると、人が集ってきます。協力企業(外注先、仕入れ先)が協力してくれます。

それだけ、協力会社の存在はありがたい。協力会社は、社外社員として接しましょう。

そして心から大切にしていただきたい。

協力会社と対等で有効な関係性を築いていれば、自社のことを口コミで宣伝してくれます。

つまり敵ができないのです。

関わる全ての人たちが幸せになる経営。とりわけ、自社社員とその家族の幸せを追求していく経営を実践する会社が繁栄していきます。

何度も言います。中小企業経営は「支えられる経営」です。協力会社に対する、納期圧力、価格圧力…。絶対にタブーです。

もっというと、正しい経営をしている協力会社と付き合っていったほうがいい。

この会社は「安いから」とか「わがまま聞いてくれるから」とか…。損得勘定でお付き合いしないこと。

我が社の理念に共感し、優良有益な提案をしてくれるか?

そのような基準で、協力会社との関係性を築いていきましょう。

投稿日: 2025年2月22日 | 10:13 pm

中小企業診断士として事業承継問題に真っ向から立ち向かう!

小職のクライアント経営者とランチの時に、彼が言った発言。

「事業承継問題っていうけど。これって結局は、儲かっていない会社がものすごく多い…っていうことですよね」

この発言は、真理だと思っています。小職もメルマガやブログで、この問題について発言していますが、まったく共感できます。

彼の発言は続きます。

「しっかりと利益を出し、儲かっているような会社であれば、ご子息であれ親族であれ、社員であれ、継承する者が現れるのではないかと思うんです」

その通り…なのです。

事業承継問題というと、あたかも承継する経営者の絶対数が不足しているような感覚があります。

しかし、利益を出している企業ならば、その経営そのものに魅力を感じて承継するものでしょう。

M&Aは、その後の話…です。そして利益が出ている企業ならば、買い手もあまた…だと思うのです。

「事業承継問題に立ち向かう…」それを謳い文句にM&Aを推奨している企業が目立ちます。CMなどを見るたびに、違和感しか覚えません。

全く共感できないのです。

中小企業診断士として、事業承継問題にしっかりと立ち向かうならば…。

10年という長期期間で「収益モデルの改善」と「ご子息・親族・社員承継の移行・体制づくり」を併せた具体的戦略計画を立案・実行支援する。

これがミッションでしょう。

経営は生き物。右から左に簡単に売買するようなモノではないのですから。

投稿日: 2025年2月9日 | 2:07 pm

中小企業診断士の言霊力

中小企業診断士(経営コンサルタント)の仕事において、絶対的に不可欠なのが「クライアントとの言語によるコミュニケーション」です。

特に小職が重視しているのが、フェイストゥフェイスの言語コミュニケーションです。

したがって「傾聴(ヒアリング)」「質問」「言葉遣い」「声のトーン」そして「言葉そのもの」には特に気をつけています。

また、その場の空気感も気を配ります。

コンサルタントは、空気を読めないと務まりません。

経営者とコミュニケーションを取るとき、言葉そのものは気をつけなければいけません。

経営者の元気を削ぐような発言は、絶対に御法度です。

またこんなことを言うと…「じゃあ、厳しい苦言提言などできないんじゃ…」と思う人がいます。笑

説明しましょう。

中小企業診断士(経営コンサルタント)は、究極のところ「クライアント(とその経営者)を元気にすること」がミッションなのです。

ネガティブ思考の診断士が、そのミッションにしっかりと向き合うことができますか?

絶対にできません。

まさに言霊…。

「いいですね!」「すばらしい!」「たしかにそのとおり!」「きっと大丈夫!」「任せてください!」…。

そのような言葉を明確に発する中小企業診断士が、クライアントから支持されるのは言うまでもありません。

投稿日: 2025年2月3日 | 11:36 am

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