AI(人工知能)時代に備えた中小企業診断士のあり方

ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な進化により、中小企業診断士を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。補助金申請書の作成、経営計画書の雛形づくり、財務分析レポートの出力…。

かつて診断士の「飯の種」とされた業務の多くを、AIがものの数分でこなせる時代になった。この現実に、我々はどう向き合うべきでしょうか。

結論から言えば、AIに代替される診断士と、AIを味方につけて飛躍する診断士とに、二極化が進むと考えています。

淘汰されるのは、机上の知識だけで勝負し、現場に足を運ばない診断士である。

経営者の表情を見ず、従業員の声を聴かず、工場や店舗の空気を感じない。

そうした「エセコンサルタント」的な姿勢でいる限り、AIの下位互換に成り下がるのは時間の問題である。補助金の書類作成だけ、コスト削減の提案だけ、一般論のアドバイスだけ…。

こうした「だけコンサルタント」は、AIに仕事を奪われる筆頭候補です。

一方で、AI時代だからこそ輝く診断士像がある。それは「人間的魅力」を武器にした診断士です。

経営者は孤独である。資金繰りの不安、後継者問題、従業員との軋轢…。

こうした悩みに寄り添い、共感し、時に厳しい言葉を投げかけられるのは人間だけです。

現場に立ち、五感で経営の実態を掴み、経営者と一緒に汗をかく。その泥臭い伴走支援こそ、AIには絶対に真似できない診断士の真骨頂です。

では、AIとどう付き合うか。答えはシンプルだ。AIを「道具」として徹底的に使いこなすことです。

データ分析や市場調査、資料作成といった定型業務はAIに任せ、自分は経営者との対話や現場の観察、戦略の共創に時間を注ぐ。AIによって浮いた時間を、より深い経営支援に投下します。

これが、AI時代における診断士の賢い立ち回りだと確信しています。

中小企業診断士の本質は、経営者の「社外取締役」としての立ち位置にあるのです。経営の意思決定に寄り添い、実行段階まで伴走します。その関係性は、AIがいくら進化しても代替できるものではないのです。

AI時代に求められるのは、テクノロジーを恐れず活用しながら、人間にしかできない価値を磨き続ける診断士。

現場主義を貫き、経営者と共に歩む姿勢。その原点に立ち返ることこそ、これからの時代を生き抜く唯一の道だと信じています。

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