起業家が軌道化するために−9 〜起業後のマーケティング考察〜

商売(経営)は、お客様あっての活動ですよね。では、「お客様目線」というのは特に中小企業にとってのマーケティングにおける方向性であることに間違いありません。

「お客様目線」という考え方を、「お客様のいうことを何でもきく(取り入れる)」と考えたら大きな間違いをおかすことになります。

お客様目線は、CS(顧客満足)を上げていくことが軸になりますが、「自社(自店)の価値観を理解してもらう主張をする」ことが前提になります。

何でもかんでも、どんなお客様でも受け入れるという姿勢は時として、事業目的(理念)やコンセプトをブラしてしまう事態を招きます。

お客様の価値観は実に多様です。

いろいろなお客様がいます。

ですので、自社にとって「真のお客様は誰か?」を定義しておくことをお勧めします。

以前、おしゃれな古民家カフェを営む経営者から相談がありました。

昼間だけでなく、夜の営業をしていかないと立ち行かないと言います。

その戦略自体は賛成なのですが…「夜のお客様のメインターゲットは誰ですか?」と伺いました。

経営者曰く、「昼間は30代〜40代の女性。夜は近所のおじちゃんたち」という回答です。

小生は即「NO!」の回答したことは言うまでもありません。

事業目的(理念)やコンセプトがブレるとはこのことです。

「夜の近所の年配男性がお酒を飲んでいる”古民家カフェ”」は「おしゃれ感」が翳ります。

結果としてメインターゲットの「30代〜40代の女性」客が離れていく「客離れ現象」を引き起こします。

お客様目線を捉え間違うと、マーケティングそのものが失敗してしまうのです。

 

投稿日: 2019年9月23日 | 6:00 am

起業家が軌道化するために−8 〜起業後のマーケティング考察〜

起業家が起業スタート後に陥る罠がいくつかあります。

その中のひとつに、「マーケティングの勘違い」というものがあります。

マーケティングという考え方は、起業の規模や業種・業態によって違っていきます。もちろん中小零細企業のマーケティングは、大企業のそれとは全く違ってきます。

マーケティングを中小的に捉えるのでなく、誕生間もない中小零細企業の場合のマーケティングはただひとつ。

「一人でも多くのお客様をファン(リピーター)にするための施策」に他なりません。

起業家として、最初に一人で事業をスタートさせると、何事も自分で完結させなければなりません。

準備から仕入れ、販売、製造。経理から資金繰り…。おそらく目の回る忙しさでしょう。

マーケティングを、チラシを作ったり、ブログを書いたり販促企画を考えることだけで捉えてしまうと足元(経営基盤)が崩れていきます。

ついつい、マーケティングを「やった気になる病」に陥ってしまうものです。

経営基盤は「顧客数(ファン数)」ですので、新しいお客様を呼び込むよりもリピーターになってもらうための戦略を立案・投下しましょう。

打ち手は無限です。

起業家は人的ネットワークを大切にする必要があります。

起業家が手が回らない業務は、どんどん信頼できる外部協力者に任せることも必要です。

その時に、気持ち良く「あなたのためなら一肌脱ぎましょう」と快く協力してくれる仲間と、どれだけの信頼関係を構築しているかが問われるのです。

投稿日: 2019年9月22日 | 2:34 pm

起業家が軌道化するために−7 〜起業後のマーケティング考察〜

起業家が結果としての業績を把握するとき、小難しい経営指標全てを理解する必要はありません。

創業3年間は、極端に言うと2つの経営指標を押さえていれば大丈夫です。

貸借対照表からは「自己資本比率」。損益計算書からは「売上高経常利益率」です。

自己資本比率は、総資本(負債と資本)に占める資本の割合のことです。自己資本率が高まると、負債(主に借入金)に依存しない経営体質になっていきます。

つまり、潰れにくい(倒産しにくい)経営が実現できるのです。

何度も言いますが、事業(ビジネス)の成功と失敗は定義する必要があります。

成功とは”儲かる”ことではなく、事業が永続発展することです。

失敗とは”赤字になる”ことではなく、事業が途中で終わってしまうことです。

ですので、自己資本率が経営指標の中で特に重要ですし、注目すべき結果現象なのです。

次に売上高経常利益率ですが、これは”その期間にいくらの利益を上げたか?”を測定する指標です。

経常利益は、営業利益から営業外損益を足し引きして算出します。

起業して間もないころの営業外損益は、ほとんどが支払利息という営業外費用です。

なぜなら、借入金に依存する経営をせざるを得ないからです。

営業利益率よりも売上高経常利益率を重視するのは、そのような理由からです。

この2つの指標は、起業家としてもっとも重視すべき指標として把握し、できるだけ高めていくオペレーションが望まれます。

 

投稿日: 2019年9月21日 | 6:00 am

起業家が軌道化するために−6 〜起業後のマーケティング考察〜

キャッシュフロー経営について解説します。

文字通りキャッシュ(現金)のフロー(流れ)という意味なのですが、起業して間もないころは特に理解していた方がいいです。

なぜなら、”現金=キャッシュ”が経営上最も強い要素となるからです。

今現在、経営上で動かせる現金が手元に”いくらあるのか?”を把握しておくことが重要なのです。

計算式を示しておきましょう。

起業家として把握しておきたい計算式は、経常利益+減価償却費ー借入返済額=簡易キャッシュフローということです。

銀行融資を受けることが通常である起業の場合、毎月末のキャッシュ(現金)がいくら手元にあるのかを把握します。

そして通常は毎月やってくる借入金の返済金額を、経常利益と減価償却費を合算した金額から差し引きます。

盲点は、経常利益=キャッシュではないという事実です。

このことに気づいていない起業家が意外と多いのです

ですので、「月次損益計算書上では利益が出ているのに、現金がない…」という現象が頻繁に起こります。

借入金返済額は、損益計算書上には記載されないからです。

利益が出ているからといって、様々な方面で投資や経費を繰り返してしまうとキャッシュがなくなり、再度金融機関にお世話になるハメになります。

なんども訴えていますが、中小零細企業の目指すべき経営は”無借金経営”です。

借入金ゼロで、手元現金を駆使して経営を回していくことが理想です。

借入金返済が、キャッシュフロー経営を圧迫することを忘れてはいけません。

投稿日: 2019年9月20日 | 6:00 am

『集客成功法則伝授型セミナー』にはご注意を…。

フェイスブックなどのSNSに強制的に入ってくる広告があります。

そのほとんどが、気にも留めない内容なのですが、時々同業として「これはどうか?」という内容に目を止めることがあります。

先日もありました。

「コンサルタント向け集客セミナー」なるもの。

うたっている文言がすごい…「もうクライアント集客で苦労しません。ちょっとした工夫で次々とクライアント集客できます(加筆修正)」などといったものです。

そして、コンサルタントが本人出演してノウハウの素晴らしさを訴求しています。

はっきり言って胡散臭いですね。何度も言いますが、成功のテッパン法則など絶対にありえません。

仮にこの手のセミナーを受講して、クライアントを開発できたとしましょう。

しかし、コンサルタントはクライアントとご縁があってからが勝負です。

いくらコンサルティング契約に至っても、質の悪いコンサルティングサービスを提供していたら、たちまち解除になります。

成功法則伝授型セミナーができるのならば、ご自分でどんどん契約なさってはいかがですか??と言いたいですね。

そしてこの手のいかがわしい、集客法則伝授型セミナーに参加しようとする人もいるのでしょうね。

コンサルタントを含め、コンサルタントを志す人が啓発のために参加する価値があるセミナーは…。

何と言っても、クライアントへのコンサルティングクオリティに磨きをかけることができる「品質向上型」セミナーです。

もし、クライアント開発や契約でお悩みの方には、集客セミナーなんかではなく「提案手法セミナー」です。つまり、いかにして経営者の信頼を得る提案ができるか?などの内容ならば学ぶ価値が大いにあるでしょう。

くれぐれもいかがわしい、集客成功法則伝授型(?)セミナーにはご注意ください。

 

投稿日: 2019年9月19日 | 6:00 am

商売は”やり方”ではなく”あり方”が問われる

現場型の中小企業診断士として活動していると、つくづく商売(経営)は”やり方”ではなく”あり方”が問われる営みだな…と感じることが多くあります。

小生の趣味の一つに空手がありますが、経営に通じるものがあります。

それは、テクニックが大切なのではなく、取り組む姿勢や闘争心、空手に向き合う姿勢に勝敗の分かれ目があるということです。

テクニックは”やり方”であり、向き合う姿勢や情熱は”あり方”ですよね。

経営も商売も、やり方に固執すると「策士策に溺れる」事態になりかねません。

現場でコンサルティング支援をしていると、この仮説が確信に変わっていくことがよく理解できます。

つまり、商売には「こうすれば成功する」などというテッパン法則などあり得ないのです。

逆に、こうすれば”失敗する”というシナリオはあります。

成功と失敗の定義はともかく、絶対にやってはならない禁じ手を行わない限り、商売は”継続”することができます。

その禁じ手は、すべてが”あり方”に関するもの。

例えば、「敵を作らない経営」「社員を大切にする経営」「取引業者を大切にする経営」…などなど。

すべてが”あり方=姿勢・ハート”に関わるものです。

商売なかなかうまくいかないな…と思われている社長の皆さん。

ご自分の経営を振り返ってみてください。

やり方ばかりを追求する”テクニック型経営”に陥っていませんか?

やり方とは、「業績追求型経営」「人件費削減型経営」「コストダウン型経営」「本業逸脱型経営」…などです。

投稿日: 2019年9月17日 | 6:00 am

努力は報われるのか???

去る9月13日。日本マスターズ空手道大会出場のため、岐阜市に行ってきました。

試合は翌日14日。組手第2部(45〜49歳の部)に出場します。今日のこの日のために、これまで散々汗をかいて練習してきました。

おそらく、今までで一番きつい練習をしてきた自負があります。

足の裏のマメが破れ、また何度となくテーピングを巻いて練習したほどです。

正直、2分間フルで動き回れるスタミナだけはついたでしょう。

 

試合は11時30分過ぎ…。

結果…鳥取の選手に敗れました。

悔しい結果には反省点が多いのですが、すがすがしい気持ちはありました。

しかし、まだまだやれただろうという想いが溢れてきます。

振り返ると、やはり改善ポイントがいくつも見つかります。

 

努力は報われるのか???おそらく今回の結果も、報われる未来につながるプロセスなのでしょう。

来年は、愛媛県で開催されます。

今回収穫できた幾つかの課題を克服し、来年こそ上位進出を果たせるようまた精進します。

岐阜駅前の信長像。何か威厳を感じますね。

長良川です。宿泊先のホテルの窓からの風景。鵜飼の船が行き来しています。

 

投稿日: 2019年9月15日 | 6:00 am

起業家が軌道化するために−5 〜起業後のマーケティング考察〜

損益計算書(P/L)に記載されている利益の中で、営業利益の次にあるのが「経常利益」です。

求め方は、営業利益に営業外をプラスマイナスするのですが、この指標は「営業外費用」の代表勘定科目「支払利息」に着目します。

支払利息は、借入金に関して支払う利息金のことです。

ですので、借入金が多ければ多いほど「支払利息」も高額になっていきます。

逆に「受取利息」というのもあります。これは、営業外費用に対して営業外収益と呼ばれる勘定科目に該当します。

受取利息は、他者に貸し付けた貸付金に関して受け取った利息金などです。

ですので、起業間もないスタート時の経営には、ほぼ関係ない指標になります。

起業家が事業を軌道に乗せるまでに、気にしなければならない利益は3つ。

「売上総利益」「営業利益」そして「経常利益」です。

経常利益から、特別損益をプラスマイナスした利益指標が「税引前当期利益」。

法人税をマイナスした利益が「当期純利益」と呼ばれるものですが、起業家にとってはあまり気にする指標ではありません。

まずは事業(商売)を軌道に乗せて、利益叩き出せるような高品質経営を目指しましょう。

損益計算書の中の利益指標よりも、起業間もない頃に気をつけるべき考え方があります。

それが「キャッシュフロー経営」と呼ばれるものです。

起業後に大概の事業者が直面するお悩みに、資金繰りと呼ばれるものがあります。

これがとても大切で厄介なものなのです。

次回、解説しましょう。

投稿日: 2019年9月11日 | 6:00 am

起業家が軌道化するために−4 〜起業後のマーケティング考察〜

営業利益の確保は、起業時にもっとも思索考察を深める必要があります。

何度も言うようですが、「営業利益」こそ「本来の商売でいくら儲けたか?」を計る指標だからです。

営業利益確保のために、販管費(販売費および一般管理費)を検証していく必要があるのですが、どの経費も「削減すればいいというものではない」ということは明白です。

下手なコンサルタントや、これは「コストカッター型」の税理士や会計士にも多いのですが、真っ先に「人件費に手をつけよ」という提案をする輩がいます。

経費(販管費)には「現在経費」と「未来経費」があることを、起業家は認識しなければなりません。

考え方ですが、「現在経費」とはいわゆるコスト呼ばれるものです。

では、「未来経費」は投資型経費といってもいいでしょう。

検証するべきは、「現在経費」です。現在経費には「地代家賃」「水道光熱費」「消耗品費」「交際費」などがあります。

コストカットを模索するには、現在経費を削減することを第一に考える必要があります。

逆に未来経費には、「研究開発費」「教育費」「研修費」などがあります。

未来経費は、過度に削減すると「企業力(商売の推進力)」が削がれます。

では、人件費は何でしょう?「人件費」こそ、未来経費の最重要指標なのです。

事業(商売)は、ヒトが主人公であり、人間の営みです。そのため、人件費を削減することは、商売そのものの破滅を招きかねない愚策です。

投稿日: 2019年9月10日 | 6:00 am

起業家が軌道化するために−3 〜起業後のマーケティング考察〜

起業家が事業を軌道に乗せるために、最低限の計数知識と計数を操るスキルが必要であることは言うまでもありません。

経営にはざまざまな利益計数があります。

今回は「営業利益」について説明します。「営業利益」は、「本来の事業(商売)でいくら儲けたか?を示す指標」です。

なので、経営自体のブランド力やマーケティング戦略の投下結果を計る指標として、最も重要なものです。

もし、営業利益がマイナスになっている場合は、「事業(商売)自体がうまくいっていない」と判断すべきです。

逆に、最終利益(当期利益)が最終的にマイナスになっても、営業利益自体がプラスであれば「商売自体はうまくいっている」と判断できます。

営業利益を上げるためには、

①売上(収入)を上げる

②原価(モトデ)を下げる

③販管費(販売費および一般管理費)を下げる

この3つしかありません。では、①〜③の優先順位はどうでしょうか?

税理士の先生は、会計監査月次報告の際に営業利益がマイナスであれば「販管費を下げる(コスト削減)」を示唆する傾向があります。

しかし、コストカットは言わば「いつでもできる戦略」です。

まずは、お客様を増やす(増客)戦略の立案と実行による「売上を上げる」ことを模索しましょう。

売上のUPには「マーケティング戦略」の実行が不可欠です。

次に原価を見直します。しかし、前にも述べたように、原価は下げればいいというものではありません。

原価は”適正”を模索すべきです。経営コンサルタントの中には、「原価を下げて粗利を確保する」ことに固執する人もいますが、間違いです。

原価というのは、中小企業経営において最も大切な”品質”と密接に関係しています。

次に販管費を見直します。

販管費にも、「現在経費」と「未来経費」があることに注意しましょう。

 

投稿日: 2019年9月9日 | 6:00 am