経営基盤強化メカニズム−2

経営基盤を強化する上でもっとも大切なフェーズは、理念を打ち出して”理念経営”を徹底すること…と前回書きました。

今回は、経営理念の具体的創出方法の進め方について書きます。

経営理念は、単なるキャッチコピーではなく、ましてや見出しでもありません。

中小企業経営者に「経営理念がないなら、創ったほうがいいですよ。インターネットに他社の事例がいっぱいありますから参考にしてください…」と平気で言うコンサルタントもいましたが、全くもって思い違いです。

経営理念は、「美しい言葉で表した、自社の存在価値」と言っても過言ではありません。

したがって、オリジナル性あふれる言葉・想いが表現されていなければならないのです。

社員参画型による研修スタイルでの「経営理念創出会議」を実施して、策定する方法をお勧めします。

経営理念は”できるだけ短いフレーズ”がいいと、小生は主張しています。

経営理念に向かっていくための行動基準(約束)を、3つの視点から策定します。

3つの視点は「社員への約束」「お客様への約束」「関係先(仕入先など)への約束」です。

最後に、中期(3〜5年)ビジョンとして今旬の約束事をフレーズ化し、完成です。

いざ、実施するとなると簡単な作業ではありません。できれば、我々のような外部有識支援者をファシリテーターとして参画させましょう。

時間にしてざっと15時間ほど(1日あたり5時間×3日間)かかります。

そんなに時間をかけるの??と思うことなかれ。次回に「経営理念創出会議」のプログラム例を書きます。

投稿日: 2019年12月29日 | 10:54 am

向かい風を味方につけて…

中小企業経営は、ヨットの操船に似ている…こう教えてくれた経営者がいます。その方とは、公私にわたり様々なお話をさせていただく仲です。

確かに、中小企業経営を考えた場合、経営は航海に似ています。小生は単年度経営計画書を「羅針盤」と呼び策定支援をお仕事させていただいています。

また、経営理念に書かれている文言(フレーズ)は、”遥か彼方の水平線上にある島。そこに掲げられている旗に書いてあるもの”として、進んでも進んでも辿り着けない「価値観」としています。

ヨットの操船は経験がありません(そのうち、手に入れたいと思っている夢です…笑)が、風を味方につけて前に進む船がヨットです。

向かい風でも味方につけて、少しでも前に進む…そこが中小企業経営ととても似ているポイントだと考えています。

中小企業経営は、上り坂下り坂…そして”まさか”の連続です。

”まさか”の不測事態に、どう対処していくか?対処するために計画立てしなければいけませんし、先行管理していかないとなりません。

乗組員(クルー)は、社員の方々です。船長(キャプテン)は社長です。

一緒に同じ船に乗り、一生懸命船を漕ぐ…それが中小企業のあり方であり、目指すべき姿です。

したがって、社員・メンバーどうしの人間関係のこじれなど、本当に小さな小さな問題です。正直、”取るに足りぬ問題”です。

常に外部環境(外に向けてどんな価値を提供するか?)に目を向け、内部環境(どんな人財を育て、どんな価値を創るか?)を整える…社内のせまいコミュニティの中で悩み苦しむことなどナンセンスなのです。

投稿日: 2019年12月28日 | 9:05 am

経営基盤強化メカニズム−1

経営基盤を強化することは、きょうびもっとも重要な取り組みだと考えています。

経営基盤の強化とは、好不況に影響されない盤石な基盤を構築することなのですが、その中心には『人財=ヒト』が位置付けられていることは言うまでもありません。

中小企業の経営基盤強化でもっとも大切なのは何でしょうか?

答えは、価値観の共有と浸透です。つまり、経営理念と呼ばれる「事業の目的」を明確にして見える化することです。

そして、全社員の共通の価値観として経営の指針とすることが重要です。

経営理念は、俗に「企業理念」とか「社是」とか「クレド(信条)」とか呼ばれることもあります。

理念をベクトルとして様々な経営戦略を考案していくことを「理念経営」と呼んでいます。

理念経営はとても難しい。難しいが故に価値ある取り組みと言えます。

理念経営に取り組むためには、「経営理念」を創造する必要があります。

経営理念を策定(創造)する手法は様々ありますが、弊社(エイチ・コンサルティング)では、独自の策定メソッドを指南しています。

社員数が20名以下の場合は、全社員参加型で経営理念を策定します。

SWOT分析と価値キーワード抽出法によるものですが、社員数が20名以上になると幹部(10名以下)以上で策定することをお勧めします。

ただし、現場社員の意向や価値観を反映するため、事前ワークシートへの記入による参画を図ります。

策定プロセスは完全に研修スタイルをとります。グループワークを絡めながら、考察・発言・策定やすい雰囲気を創り出すことを忘れてはなりません。

投稿日: 2019年12月27日 | 11:51 pm

その業績(事業)計画、根拠は?

中小企業が、金融機関などから経営改善計画書や中期事業計画書の策定を言われることがあります。借入金の返済計画変更のお願いや、新規融資をお願いする場合のことです。

会計事務所や自称コンサルタントが作った計画書を時々見ますが、とてもプロが作ったとは思えないモノもあります。

このような事業計画書を「絵に描いた餅的計画書」と呼んでいますが、特徴は大きく分けて2つあります。

ひとつは、業績計画(定量計画)が前年比120%以上の推移をしている計画書です。俗に言うV字回復という形ですが、リストラやイノベーションでも起こさない限り、無理な計画と言えます。

また、イノベーション(経営革新)は歓迎されるべきですが、人件費削減を前提としたリストラは、中小企業にとってタブーです。

もうひとつは、業績根拠(アクションプラン)が全く示されていない、または、アクションに過度の無理を感じるような計画書です。

数字の羅列による策定は、誰にでもできます。極端に言えば、小学生にもできるでしょう。

業績の根拠とは、前年比の伸びを無理なく策定することではない。

例えば、売上計画の場合は「客数」と「客単価」として明細化して考察、シミュレートします。

また、粗利益計画は適正原価から割り出します。原価を低減させるための施策を盛り込む必要があります。

とにかく、金融機関を納得させる事業計画書は”根拠”が絶対条件です。

そして、事業計画書は何よりも”経営者自身のため”に策定することを、忘れてはなりません。

投稿日: 2019年12月26日 | 9:25 am

ニの手、三の手を考える

中小企業にとって、経営戦略を立案し実行していくことはとても重要です。経営戦略というのはいわゆる”仕掛け”のことです。

仕掛けがないと、外部環境に翻弄されるばかりの商売に陥ります。

経営者と面談し、ヒアリングさせていただくと業績悪化の要因を「近隣に大型ディスカウント店が出来たから」とか「競合他社が同じような事業を始めたから」とか「消費税の増税があったから」などという答えをいう方もいます。

 

いつも、いつも時代も、どんな状況下においても、経営の責任は外部環境(景気や経済状況)に委ねるものではありません。

好景気、不景気の関係なく躍進を続けている中小零細企業は、どんな業種業態でも存在するのですから。

現況を生み出している要因は、すべて内部環境(経営努力)によるものです。

経営戦略は、経営努力を具体的に立案したものです。

そして、経営戦略は一つだけ立案し、実行すればいいというものではないのです。

もし立案した経営戦略が、うまく機能しなかった場合どうしますか?

経営戦略は、ニの手三の手を前もって立案し、準備しておくことが重要です。そしてその経営戦略は、抽象的であってはなりません。

横軸に時系列、縦軸に具体的なアクションを想定した一覧表などを作り、実行・計画・検証・改善(PDCA)を回していくことです。

 

経営者の仕事(社長業)とは、経営戦略(1・2・3)を具体的に考案し、優先順位をつけて投下ていくことなのです。

投稿日: 2019年12月25日 | 6:04 am

コンサルタントが八つ当たりされないために…。

経営コンサルタントは、責任が重い仕事です。経営者の重大な意思決定に関わり、判断の方向性を指南しなくてはならないからです。

ですので、高度な知識とスキル、何より経験がモノをいいます。

この判断力、助言力は、書籍を読むことで磨かれるモノではありません(勘違いしている人もいますが…)。

責任が重い故に、経営者から「八つ当たり的な処遇を受ける」ことがあります。

今は全くなくなりましたが、会計事務所のコンサル部に所属していた時は、一度だけ我慢ならない”八つ当たり”経験があります。

経営者が自ら迷っていた(ほとんどGoの判断をしていた)ので、背中を押すような助言をしたところ、成果が出ずに”文句(クレーム)を言われた”のです。

結局のところ、経営コンサルタントに対する見方・捉え方に相違点があったのですが、コンサルタントはスーパーマンではありません。

もしあの時、”STOP”の助言をしていたなら、クレームにならなかったでしょうか?それはそれで、おそらく文句を言われたでしょう。

コンサルティングという特殊なサービスは、マーケットが極めてニッチです。なぜなら、クライアントをセレクトする必要がある(と思っている)からです。

価値観が合わない、経営コンサルタントの判断が絶対だと思い込んでいる、コンサルタントに極度の期待と依存をしているクライアントは支援の対象から外した方がいい。

”私の言うことは絶対に間違っていない”とか、”私は絶対に失敗しない(したことがない)”とのたまうコンサルタントもいますから、そのような輩を紹介してあげましょう。

投稿日: 2019年12月23日 | 6:10 am

愉しく生きるということ。

昨夜は、中学2年生の息子と一緒に映画鑑賞に行きました。映画はもちろんスターウォーズです!

第4作から始まったこの作品。9作目にあたる今回の作品で完結という内容でした。ネタバレしますので、あえて内容には触れません。

プロの経営コンサルタント(中小企業診断士)として、現地現場でクライアントの課題解決に携わっていると、「この仕事には、人間的の幅が絶対条件だな」とつくづく感じます。

幅というのは経験値です。

何事も経験だという姿勢で、好奇心旺盛に様々なことにチャレンジしてきた小生は、その過去を自己評価しています。

現場で向き合うのは、人生経験豊かな仕事や遊びの達人の場合が多い。その経営者と渡り合う(同等のマインドで向き合う)ためには、コンサルタントも人生経験豊かな方がいいに決まっています。

そして、愉しく生きているコンサルタントでないと、中小企業経営の支援は無理があります。

究極のコンサルティングは、クライアントたる中小企業を「愉しい会社」にするお手伝いなのです。

幸い小生は多趣味を自覚しています。

アウトドア、シーカヤック、カメラ、ギター、読書、釣り。。。そして空手。

多趣味になったのは40歳になってからですが、これでよかったと心から思う。

コンサルタントは「調べ」「書き」「話し」「完遂する」仕事です。

話すというスキルは、経験による引き出しの多さが有利です。そして、話しの躍動感は”愉しく生きている”ことが由来しているのです。

投稿日: 2019年12月22日 | 8:11 am

コンサルタントができること(立ち位置)…。

経営コンサルタントと呼ばれる仕事に携わっている人は、10万人いるとも言われています。そのうち、中小企業診断士は2万人ほど。各地の協会に登録して活動している診断士は1万人ほどだと言います。

経営コンサルタントを生業としている人の中で、ホームページ(以下HP)を設けている人も少なからずいます。小生もその一人です。

ときどき、同業者のHPを閲覧させていただくことがあります。

とてもいいな〜と思うHPもあれば、これはどうかな??とセンスを疑うHPもあります。

センスとは、デザインや見易やすさのことではありません。記載している内容のことです。

例えば…「クライアントA社。キャッチコピーを変えたら顧客が150%増えました!」とか「潰れかけた企業の強みを見出し、フレーズ化したことでV字回復。利益も◯◯百万円達成!」などという自分の功績をひけらかすような内容。

このような成果を具体的に記述できるコンサルタントは、そのクライアントに10年以上長期支援に関わったベテランです。

コンサルタントが、こんな具体的な定量功績の記述をして恥ずかしくないのでしょうか?センスを疑う前に、プロとしての謙虚さを疑います。

経営コンサルタントであれば、クライアントの業績成果を我が事として喜びこそすれ、自分の功績を自分で自慢すると価値を下げます。

 

医者が患者の治療成果を自慢しますか?恥ずかしいでしょう。

病気を治癒するのは、患者様の力なのですから。

このブログで何度も訴えていますが、クライアントの業績成果は、コンサルタントの功績ではありません。クライアント様の絶え間ない粛々とした努力の賜物なのです。

経営コンサルタント(中小企業診断士)ができることは、クライアントに寄り添い、縁の下の力持ちとして影ながら支援するという地味で泥臭い”お手伝い=補佐”なのです。

投稿日: 2019年12月21日 | 8:35 am

知的財産を開発する…コンサルタントの手腕

経営コンサルタント(中小企業診断士)も事業として、プロとして活動する際に商品開発に直面します。コンサルタントにとっての商品開発は、「知的財産の開発」に他なりません。

これをノウハウといえばそうなのでしょう。

コンサルティングは、ノウハウの開発を止めてしまったらスキルが衰えていくと心得ましょう。

コンサルティングのフレームワークを開発したり、見やすい表を作ったり、プレゼン用の図柄を作ったり…これは立派な商品開発です。

稼げる経営コンサルタント(中小企業診断士)と、そうでない人との違いは案外この点にあるかもしれません。

幸いコンサルティングで開発したノウハウは、様々な局面で汎用が可能です。

残念なのは、中小企業経営者の中にコンサルティングノウハウは”タダ=無料”だと勘違いしている方がおられることです。

お話をすると、そういった考えの経営者は分かりますから、お手伝いすることは避けるようにしています。

困ったことに同業者(経営コンサルタント)の中にも、知的財産を勝手に使おうとする輩もいます。

開発した知的財産は、コンサルタントの生命線なので、活用するときは了解をもらうことが礼儀です。

コンサルタントにとって、知的財産は商品ツールです。

開発した知的財産は「著作権」という権利が付帯します。

立体的な形のないノウハウを、デザイン・策定したワークシートやフレームワーク、プレゼン資料を断続的に開発し、コンサルティングに活用することがプロとしての手腕の一つであることに間違いはありません。

投稿日: 2019年12月20日 | 6:54 am

コンサルティングにはノウハウがあるが、経営にはノウハウはない!

書店に行くと、経営に関するノウハウ本がずらりと並んでいます。経営者の方とヒアリングする時に、成功するノウハウがあり、それを知りたがっている方が結構多いことに驚きます。

はっきりと言いますが、経営にはノウハウなど存在しません。

最低限の知識は必要ですよ。

だけど、難しいマーケティングのフローやフレームワークを学んでも、戦略考察のツールにはなっても直接的な経営のノウハウとは言えないのです。

経営者が学ぶべきは、小難しい経営のノウハウではなく、経営者の「あり方」「マインド」「心」「姿勢」です。

もし本からその情報を得て、学びたいと思われるならば、”がんばっている中小企業経営者の苦労や喜びなどの経験談”が書かれた本です。

それはまさにドラマであり、実例であり、机上の空論ではない情報が隠されています。

逆に、経営コンサルティングにはノウハウが必要です。経営参謀や経営者の補佐役として機能する、プロコン(中小企業診断士)には、独自に開発したコンサルティングノウハウを駆使するスキルが求められます。

経営者が経営に書かれたノウハウに取り憑かれると、よくないことが起こります。

経営者が身につけるべきことは「人間力=人に好かれるパワー」であり、この人のためなら頑張れる…とメンバー(社員)が思ってくれるような人間的魅力です。

これは、幹部も同じ。いくら営業力があっても、人に慕われない人材は幹部にしてはいけません。

投稿日: 2019年12月19日 | 6:46 am