いい会社プロジェクト−3 〜田島興産のキセキ〜

田島興産には、『田島フィロソフィ』と呼ばれる経営哲学書なるものがあります。全社員が手帳に留めておき、日々の業務の中で指針となる考え方・価値観をまとめたものです。

田島フィロソフィは、全8章46項目からなります。それは、田島興産スタッフが、当然守るべき考え・行動する指針書として位置づけられています。

その内容は、仕事の”やり方”ではありません。人生の考え方や働くという意味、チームワークやコミュニケーションに至るまで、「いかに生きるか?」を説いた「あり方」の指南書です。

田島興産のスタッフは、入社時点で「田島フィロソフィ」を配布され、日夜紐解き、初心に帰って業務に向き合います。

田島フィロソフィは、2015年10月1日に発刊されました。現在の中核メンバーとなっている当時の策定委員会スタッフ9名によって生み出されています。業務遂行時で迷った時、判断が分からない時の判断基準書として、全スタッフが大切にしているものです。

田島興産が大卒新卒新入社員の採用をスタートしたのは5年前。

採用プロジェクトを組み、オリジナルの採用プログラムを策定して、チャレンジしました。結果、地元佐賀における優秀な人財確保を実現でき、現在も注力した採用戦略は実行されて、グレードアップしています。

新卒新入社員は、田島フィロソフィに共感し共鳴し、同じ価値観を抱いて現場に配属されるのです。

理念経営に向き合い、価値観の共有と行動指針のマッチングは、誇り高い会社になるための必要条件です。

一方で、理念経営は難しい。全社員が、理念に共感し思考・行動まで経営理念を体現するには、長い長い年月と労力がかかります。当然、田島興産でも紆余曲折、大変な努力をされている。

しかし、”いい会社”になるためには、理念経営は必定であり、その信念を揺るぎないものとして突き進む。

田島興産は、そんなタフで素敵な会社なのです。

投稿日: 2020年2月20日 | 11:29 pm

中小企業診断士は稼げる資格である−16

中小企業診断士として活動する時、スケジュール管理はとても重要となります。時間を切り売りするこの仕事は、30分・1時間という単位が価値(=報酬)と直結するからです。

小生自身、スケジュール表として活用しているビジネス手帳は、約1ヶ月半先まで予定が入っています。

逆に言うと、暇でスケジュール表が空白だらけの中小企業診断士(経営コンサルタント)は、”稼げていない”ということになります。

”看板をあげたら仕事が向こうからやってくる”という士業は存在しません。また、動いてナンボの中小企業診断士の仕事は、「自ら仕事を創り出す」という知恵と行動(努力)が必要です。

仕事がやってくることなどということはほとんど皆無。中小企業診断士は、様々な局面で経営者に会い、課題点を引き出し、解決策を提案するチャンスを逃さないことです。

さて、今日は何しようか…と、スケジュールの先行管理ができていない診断士は、いつまでたっても稼げないのが実状です。

とにかく、クライアントのところに赴き、課題解決に向き合うコンサルティング活動以外のスケジュールをどのように活用して仕事を獲得していくか…多くの診断士や経営コンサルタントが悩む局面でしょう。

まずはスケジュール管理とスケジュール創出を試してみましょう。スケジュールの創出とは、コンサルティング提案につなげるためのタスクを創り出すこと。

中小企業の経営現場取材に出かけたり、セミナーに参加したり、経済団体(商工会議所など)とのネットワークを作ったり、提携先(会計事務所や社労士事務所)を探索したり…仕事を獲得するスケジュールマネジメントを試行錯誤していきましょう。

投稿日: 2020年2月19日 | 6:16 am

理念経営の難しさ−3

”経営理念とは何ですか?”…社員研修などで、参加者に問いかける質問です。帰ってくる答えは、「活動指針…となるもの」とか「目安…」とか「行動基準となるもの…」など様々。

どの答えも間違いではありません。けれど、一言で言うなら何でしょうか?

例えば、新人社員から「経営理念って何ですか?」と問われた時、先輩社員として何と答えますか?

かなりの場面で、答えが出にくい質問です。

答えは、「我が社の目的」なのです。

我が社がこの世に存在する目的、価値を一言で言い表したもの…これが答えです。

では、朝礼・会議などで経営理念を唱和する意味は何でしょう?多くの企業が、経営理念を唱和していますよね。

このある種独特な、光景は深い意味があります。ただ単に、声をあげて発声練習しているわけではありません。念のため…笑。

これも、答えは「初心に戻るため」なのです。日々、忙しい日常業務に追われていると、ついつい初心を忘れ「仕事をこなしたり」「お客様への対応が薄くなったり」という現象が起こりがちです。

経営理念が「我が社の目的・価値」とするならば、目的・価値を時として振り返り、初心に戻って仕事に向き合うことが大切です。

一方でこれが難しい。

理念が組織に浸透するという状況は、社員一人ひとりが経営理念の本当の意味(込められた想い)を理解し、心に落とし込んでいる状況なのです。

ですので、時間・手間・コストがかかって当たり前なのです。

投稿日: 2020年2月18日 | 6:30 am

その商売、きっかけは何ですか?

千載一遇のチャンスという理由で、安易に始めてしまうビジネスほど危険なものはありません。

「この商売は儲かる」からとか「今の事業がうまくいかないから、はやりのビジネスを始めた」などという理由の経営者の依頼を、小生はお断りするようにしています。

何も「社会貢献」をビジネスの理由にしてください…と言っているわけではありません。念のため。

ビジネスを始める時…成功する経営者には、ほとんどの場合「美しいきっかけ」があります。※この場合の”成功”とは、長い長い期間にわたり継続発展していく経営を言います。

損得勘定で始めるビジネスは、損得勘定経営に陥り、損得判断になっていきます。その結果、人財よりも日々変化する業績(売上、利益)を大切にしてしまうのです。

経営の本質は、関わる人々が”幸せ”になることです。

商売の目的は、金儲けではない。お金儲けは、一生懸命お客様を幸せにした結果現象です。

お金儲けがきっかけで始めたビジネスのコンサルティング相談を受けた時、やんわりとお断りするようにしています。

「儲け方教えます!」とか「お客を増やす方法!」などと自信を持って宣言するコンサルタントもいますから、そのような輩の出番でしょう。

商売のきっかけは、「経営理念」や「社是」のフレーズに現れてきます。

美しいきっかけによるビジネスは、美しい経営理念が出来上がります。なぜなら、経営理念こそがその企業価値を最も端的に言い表したフレーズなのですから。

投稿日: 2020年2月17日 | 10:30 pm

コンサルタントは活動領域(ドメイン)を超えてはならない。

様々な経営者と対峙しますが、コンサルティング支援を引き受ける時、過度な期待を抱かせてしまうと結果としてクレームを招いてしまうことがあります。

経営コンサルティングは、「根拠のないアイデア」をひけらかし、無責任な提案をすべきであはりません。

なぜなら、責任を全面的に終えないからです。

責任を負わなくていいから、いい加減な提案をしてはいけないのです。

コンサルタントは、あくまでも経営の参謀役です。現場に肉薄して、できるだけ事実確認し、そこで発見した根拠から”仮説”を導き出し、経営者に提案する…。この領域(ドメイン)から外れてはなりません。

もしも、根拠のない事実にもとずく提案を求める経営者に依頼されたら、勇気を持って依頼を断ることが望ましいと言えます。

根拠のない提案をするのは、ただのアイデアマンでしかない。

アイデアマンが根拠もなく考えたことを、人間の壮大な営みである”経営”に落とし込んでしまうと、様々な人を不幸にしてしまう可能性が高まります。

経営の判断は、コンサルタントが担うものではないのです。

コンサルタントは”提案者”であり”支援者”であり、サポーターです。ただそれだけの存在なのです。

このブログで何度も訴えていますが、コンサルタント(中小企業診断士)はスーパーマンではありません。

経営者と一緒に悩み、苦しみ、そして自らの経験と価値観(信念)と研究結果(ベンチマーク)から、方向性を提案する専門家のです。

投稿日: 2020年2月16日 | 11:16 pm

内部環境:外部環境=9:1

経営を取り巻く環境は、俗に外部環境と内部環境に分かれています。内部環境は、組織つまり会社内における現状のことです。

逆に外部環境とは、自力では到底及ばない(変えることができない)経済状況や事業エリアを取り巻く状況のことを言います。

当然、競合先(ライバル)企業の動向や状況も外部環境ということになります。

中小企業にとっては、マクロよりもミクロ経済の中でいかに生き残るか…を考えていく必要があります。

そのため、経営者は競合先の動向や戦略が気になり、それに翻弄されてしまう傾向があります。経済状況もしかり。

競合先が値下げしたら、自社も値下げ戦略を…とか、景気が悪ければ、価格破壊を…などという具合に。

明確に断言できますが、企業経営は外部環境に影響こそあれ、翻弄されてはなりません。

新しい商品(サービス)を開発し、市場を開発・開拓していくことが肝要です。

ですので、目指すべきはオンリーワン(差別化)戦略。競合先がやっていないような戦略を立案し、市場投下していく。

内部環境と外部環境の影響度は、9:1といっても過言ではないでしょう。

経営者から「もう少し景気が良くなったら…」とか「あの大型店が撤退したら…」という外部環境に責任転嫁すうる言葉を聞くことがありますが、その時点で勝負は決しています。

経済環境がこれ以上良くなることはありませんし、大型店の出店は世の流れです。

つまり必然事項なのです。

ではどうするか?

世の中には、がんばって躍進している中小企業が山ほどあります。逆張り経営と言いますが、常識にとらわれない大胆な思考を凝らした戦略を立案・実行している企業です。

その事例をベンチマーク(参考)にして、その「あり方(姿勢・理念・主張)」を学び、自社の理念を確立し、「やり方(戦略・戦術・オペレーション)」を学び、自社独自の戦略を徹底して実行することです。

まさに「敵は内にあり、見方も内にあり」です。

内部環境をいかに整え、内部の戦略をどう立案し、実行していくか…。

中小企業経営は、外部環境にた他責転換したら負けなのです。

投稿日: 2020年2月15日 | 11:22 pm

間違いだらけのブランディング戦略

ブランディング戦略は、中小企業が挑戦すべき価値ある戦略としてプラオリティNo.1といっても過言ではないでしょう。

しかし、中小企業経営者の中でブランディング戦略を、的確に理解されて実践している方はどれだけいらっしゃるでしょうか?

もっと言うと、経営コンサルタント(中小企業診断士をはじめ…)の中にも正しく理解してクライアントに提案・支援している輩は少ないように思います。

ブランディングを決定するものは、お客様との接客・提案局面でいかに”キラーワード”をハートに刺すか…や、広告展開や営業トークを工夫して”お客さまを増やした”…などといったチープなものではありません。

ブランディングを決定づけるもの…その根幹は”品質=クオリティ”です。ひいては、そのクオリティを生み出すマンパワー(人財力)とヒューマンリソース(人的資源)なのです。

クオリティが粗悪であれば、広告展開やマーケティング戦略にいくら投資しても顧客(ファン)を掴むことはできません。

先述しましたが、コンサルタントにも”間違って捉えている”人がいます。

コンサルティングは、”商売のテクニック”を提案して支援することではありません。それもごく一部ではあるのですが、商売のあり方(ハートや姿勢、理念経営)を提案し、提示しサポートしていくことが最も重要なのです。

ブログやホームページで、「コンサルティング実績」題して、接客トークのテクニック論や広告展開のやり方を実践して「売上が◯◯◯%UP!」とか「増客◯◯人実現!」などと大々的に謳っているコンサルタントには要注意ですよ。

なぜなら、経営の業績パフォーマンス向上は、経営者や幹部・メンバーの努力の賜物であり、コンサルタントの力では決してないからです。

投稿日: 2020年2月14日 | 10:25 pm

理念経営の難しさ−2

経営理念が、会社内構成メンバーの共通の価値観として浸透していく時、時として”理念に掲げているフレーズ”を勘違いして捉えてしまう現象に遭います。

企業経営は須らく、働く愉しさを追求して、構成メンバー(社員)の幸せを実現する組織でなければならない…というのが小生の主張なのですが。

「愉しい会社をつくろう」とか「いい会社をつくろう」という社是(理念)を掲げた場合、「愉しさ=楽」「いい会社=給料が高く休みが多い会社」などと勘違いをしてしまう社員が出現しまうことです。

”愉しい”という真意は、決して”楽(らく)な”という意味ではないのです。それは、待ち受ける課題に立ち向かう愉しさ、課題を解決し乗り越え、成長していく愉しさ…に他なりません。

また”いい会社”の真意は、社員・お客様・取引先企業がみなWin-Win-Winの会社です。そのためには、努力が必要です。苦しみが伴います。弛まぬ向上心が必要なのです。

他積的に”だれかが、もたらしてくれる”ものではなく、自らの努力で邁進し、勝ち取るものです。

企業努力と企業価値を高めていった結果として、”いい会社”という社会評価につながり、結果として好業績を実現させます。

だから…理念経営は難しい…といって放棄するのはナンセンス。経営理念を見える化し、フレーズ化し、理念にベクトルあを合わせて各種戦略を立案・実行していく。

その気概と覚悟、そして継続的な努力が、経営者・幹部には求められるのです。

投稿日: 2020年2月13日 | 11:03 pm

組織づくりにおける”トップ”と”現場”のギャップ

強いチームづくりは、中小企業経営にとってとても大切なプロセスであると断言できます。ところが、現場と経営トップの現状認識のギャップは、よくある現象として対処・対応しておく必要があります。

つまり、現場で起きていることを経営トップが正しく現状認識しないと、戦略判断を大きく間違ってしまうことがあるのです。

この間違いは、時として深刻で取り返しのつかない事態を招きかねないから厄介です。

時折、経営トップは現場スタッフの現状に目を向け、耳を傾け、時として足を運んで認識を深める必要があります。

時として面談などを実施すると、”え〜〜知らなかった…!”などということが起こり、スタッフからは「トップは現場のことを何もわかっていないのね…”とモチベーションを著しく下げてしまう事態になりかねません。

このような事態を回避するため、小生は「面談形式を取り入れた人事考課制度の導入」を推奨しています。

人事考課の目的はただ一つ…「社員・メンバーのモチベーションを上げ、維持すること」に他なりません。

この目的を違った風に捉えた時、せっかく創った人事考課制度が”全く機能しなく”なり、投じたコストが全て水泡に帰すだけでなく、メンバーの想いは白けてモチベーションが下がり、結果として業績悪化を招きかねません。

現場のミッションやオペレーションを正しく認識して、その業務に可能な限りマッチングした人事考課制度を策定し運用することは、現場と経営トップの認識を正すだけでなく、モチベーションを上げていく意味でも大きな意義があるのです。

投稿日: 2020年2月12日 | 10:19 pm

商売の”動機”は業績に現れる…。

何事もそうだと思うのですが、思い立つ”動機”はとても大切ですよね。さまざなま中小企業経営の現場を見ていますが、「動機が不純(損得勘定)だと、結局は業績が悪化する」傾向にあります。

ここで、損得勘定の動機とは何か?定義しておきましょう。

この商売は儲かりそうだ…とか、この商売でひと山当てよう…といった目的で商売を始めることです。

あくまでも傾向ですので、例外はあるのでしょうが、たいていこの動機で始めた商売は”結局損をしてしまう”のです。

もちろん、商売はカネ儲けできます。

それは、「社員を大切にし、お客様を大切にし、仕入先・関係先を大切にする」商売をした結果です。

損得判断で商売を始めた場合、損得判断で戦略を決めていくことになります。

その結果、誰かを犠牲にする商売に陥る傾向にあります。

誰かを犠牲にする商売(経営)は、特に中小企業の場合、絶対にダブーです。

中小企業は”支えられる経営”でなければなりません。さまざまな人・組織に支えられ、応援してもらうような”正しい経営”を目指します。

”支えられる経営”は、損得判断の商売では実現できません。そこには、損得勘定の人たちが集まってきます。

何よりも、”善悪判断の経営”が重要であり、戦略も「社員にとって良いことか?」や「お客様にとって良いことか?」、「仕入先・関係先にとって良いことか?」の基準で立案判断していきます。

老舗と呼ばれる会社…これが商売の目的なのですが、老舗は「善悪判断に基づいた商売」の結果”支えられる経営”を実践されているのです。

投稿日: 2020年2月11日 | 10:27 am