リーダー(幹部)のコンピテンシー

コンピテンシーとは、好業績を叩き出す行動特性のことを言います。中小企業の人財力を診断する時、必ず着目するのが、その企業のコンピテンシー定義です。

企業の業績は、人財とりわけ幹部が決めると言っても過言ではありません。ですので、人事制度の中のコンピテンシー定義をしておかないと、大変な事態になります。

例として、そのポジション(役職)にふさわしくない人材が、幹部となっていたり…。

一度昇格させた人事で、降格はとても困難です。人材のモチベーションは著しく下がり、やもすれば退職となる事態になりかねません。

コンピテンシー定義を是非ともオススメします。例えば、主任になるうる人はこんな人(あるべき姿とスキル)、係長はこんな人(あるべき姿とスキル)…といった具合に。

コンピテンシー定義をする際に、注意したいことがあります。それは、「仕事ができる人=幹部・リーダー」とはならないということです。

販売会社ならば、「売る人」、製造業ならば「開発できる人」…。

コンピテンシーの根本は、「人間性、人格」です。

特に過度な成果主義人事制度を採用する会社に多いのですが、「稼ぐ人=幹部・リーダー」という構図。

人事考課制度として極めて危険な措置です。稼ぐ人が、人格者とは限りません。

人間的魅力を備えて、経営理念にしっかりと向き合い、アナウンス力もあり、コミュニケーションスキルを有する人財。このような人こそ、幹部・リーダーにふさわしい。

コンピテンシーはしっかりと議論して、的確に定義づけすることがとても大切です。

投稿日: 2020年3月19日 | 10:02 pm

部下(メンバー)の指導(教育)って?

中小企業経営は、人財力がモノを言います…というより、人財力がその全てを握っています。そこで大切なのが、人材育成(教育)ということになるのですが…。

仕事柄、研修や勉強会、セミナーなどを数多く経験してきて想うことがあります。

人財育成のスタートは、マインドの醸成を促すことから始まるということです。マインドの醸成とは何か…?それは、動機付けに他なりません。

つまり、我が社の業務のミッション、目的を植えつけることです。「作り方」を教え込むのでなく、「なぜ作るのか」を理解させることが重要なのです。

販売会社であれば、「売り方」を教えるのでなく「売る目的」を教え込みます。

新入社員に対して、我が社の目的「経営理念」を教え込むように、メンバーの教育にも「業務の目的」を教え込むことが重要です。

やり方や技術だけ教えこんでしまうと、”テクに走る”スタッフに育ってしまう傾向にあります。

人財を育てる戦略は、中小企業経営にとって極めて重要です。

経営理念にベクトルを向けた、オリジナルでユニークな計画を立案しましょう。土台となるのは、マインドの醸成です。いいマインドには、いい技術が宿っていきますので、まずはマインドの教育が最も重要なのです。

スタッフ教育は、”子育て”と共通点が多い。我が子にいくら算数のドリルを与えても、見向きもしません。それよりも、算数ドリルに挑戦する意義や目的を話すと、自ら進んでやるようになります。

”学ぶ目的・意義・価値”を醸成する指導・教育をしたほうが、一番効果的ですし、正しい育成方法と言えるのです。

投稿日: 2020年3月18日 | 10:13 pm

いい会社プロジェクト−5 〜田島興産のキセキ〜

昨日は佐賀市の元気印企業、田島興産のお手伝いのため伺ってきました。この会社…コンサルタントである小生のハートをくすぐって止みません。笑。

長時間にわたる会議もあっと言う間に終わってしまいます。笑。

代表の田島広一社長が、経営の舵取りを大きく切ったのは、ちょうど22年前。平成10年からです。

”これから”の事業の柱として、リフォーム事業に進出してからでした。それまでは、設備工事などの下請け事業が柱でした。しかしそれでは、元請企業の裁量によって大きく業績が変化していきます。

そこで、エンドユーザーを真の顧客と位置づけ、下請けからの脱却を図り、直接受注の増加によって経営の安定化を図ったのです。

それまでLPガスを取り扱う、顧客様とのつながりが功を奏して、新規リフォーム受注を実現することができました。

エンドユーザーを主な顧客様として受注することは、ある意味冒険だったそうです。なぜなら、1件あたりの受注額が、下請け工事受注よりもはるかに安価だからです。

だけど「その選択肢は間違ってなかった。最終ユーザー様との直接受注で、多くのお客様から支えられる経営を実現できている。」と田島社長は言います。

 

中小企業の経営基盤とは何か…?このブログでも再三訴えていますが、顧客様(ファン)の絶対数に他なりません。少数のお客様に多額の受注額を依存すると、いざという時に足元が揺らぐからです。

田島興産は、このエンドユーザーを顧客様として「お客様の”くらし”の幸せ」実現のために邁進する…そんな企業なのです。

投稿日: 2020年3月17日 | 8:50 pm

経営理念の価値

こういうご時世だからこそ、理念経営の真価が問われると思っています。経営理念とは?などと今さら説明する必要もないとは思いますが、『理念経営はホンモノだけど難しい』と思います。

「お客様のため」とか「お客様第一主義」という理念に向き合う際、間違った捉え方をするスタッフは、「お客様のために、無料奉仕する」という誤解をしまうことがあります。

これは全く間違った解釈で、経営理念に向き合うこととは違うのです。

経営理念は、「その企業の経営の目的であり、共有の価値観」ですので、組織の隅々まで浸透(発言と行動に表れる現象)することが必要です。

経営理念の価値は、とてつもなく大きい。

経営理念が組織に浸透すれば、”いい会社”に近づき、”いい会社”であれば結果現象である業績も向上するのです。

ところが、組織というものは”経営”を考えた時、特に業績が苦戦する状況に接した際、目の前の「売上や利益」に目が行き、理念に明文化したフレーズを忘れがちになります。

経営理念という共通の価値観のもとに、組織(企業)を運営していこうとすると、さまざまな障壁にぶつかります。

なかなか浸透していかない、言動に現れない、理(念)と利(益)は別物として捉えてしまうメンバー…。

何度も言いますが「理念経営は難しい」のです。けれども、本当に経営基盤を強固なものとして、厳しい経済環境にもビクともしない会社にしようと思うならば、立ち向かわなければなりません。

経営理念にベクトルを合わせて、すべてのオペレーション、戦略、現場判断、行動基準を組み立てる…。

理念経営の姿です。。

 

投稿日: 2020年3月16日 | 8:00 am

クライアントの緊急事態にあたる中小企業診断士の立ち位置

こういう時こそ、元気な経営を…。コロナウィルスで、景気後退や経済環境の厳しさが際立つ今こそ、普段の努力がモノをいう時だと思っています。

元気な経営とは何か?まずは、経営者が元気を出して、様々な戦略を打っていくことです。

政府が奨励している緊急融資などを活用して、資金を確保し”守り”を固めた後は、”攻め=仕掛け”を展開する…このことは最近の記事で書いている通りです。

攻めの”打ち手”は無限にあります。

中小企業診断士の真価は、クライアントの課題解決力にありますから、このような緊急事態に際し、いかにクライアントに寄り添えるか…が問われます。

顧問として支援しているクライアントが、現在どのような状況(業況)にあるか…常に意識して、クライアント側とコミュニケーションをとる必要があります。

きっと経営者は、相談相手や支援者を頼りたいと思っています。クライアントに対して、手となり足となり、ヘッドとなって誠心誠意支援することが重要です。

こまめな連絡とホットライン。特に今重要なのは、この窮地を乗り切るための「経営体力の温存」でしょう。

金融機関への提出書類の策定や、金融機関との打ち合わせ・交渉。融資のための裏付け資料の準備。補助金・助成金の申請書類の策定…。

緊急事態に対応したマーケティング戦略の提案と助言。人財(メンバー)への教育・研修支援。

経営計画書の再計画・修正立案などなど、中小企業診断士のミッションは限りがありません。

このような事態の時こそ、ぜひ、大切なクライアントのために奔走・伴走していきたいものです。

投稿日: 2020年3月15日 | 9:52 pm

経済の緊急事態に対応する中小企業経営−3

経済環境の緊急事態においては、まず資金確保を最優先することは前回述べました。今回のコロナウィルスによる経済環境は、政府がさまざまな政策を打っていっています。

支援策は刻一刻と変わっていきいきますので、経済産業省(特に中小企業庁)や厚生労働省のホームページなどを随時チェックしていってください。

前回も書きましたが、資金確保による守りも大切ですが、一方で”仕掛け=攻め”も重要です。

この時期だからこそ、出来うる限りのマーケティング戦略を実施していきましょう。

今は、自身が広告媒体となって情報発信できるようになりました。YOUTUBERと職業も出てきて、誰でも媒体を使い、限りなく低コストで広告などのPRが可能となってきています。

例えば、自社のアピールを動画撮影し、YOUTUBEに投稿する…これもいいでしょう。また、ホームページに動画を貼り付け、自社を立体的にアピールすることも可能となっています。

SNS(Fece BookやLINE)でも、情報発信が可能です。SNSを飛び道具として機動的に書き込み、ホームページに誘導し、詳細情報を発信します。また、ブログで最新情報を掲載して、アピールします。ブログは、こまめに更新することが重要です。できれば、毎日。最低でも2〜3日に一度は更新して訪問者を飽きさせないことです。

お得意様や顧客様へのニュースレター発行も有効です。このような経済状況においては、お客様を囲い込み、ファンとして絆を深めていくことをお勧めします。

緊急事態こそ、知恵(叡智)が試されます。今できること(無限にあります)を、しっかりとやりぬき、終息に備えることが大切です。

投稿日: 2020年3月14日 | 11:24 pm

経済の緊急事態に対応する中小企業経営−2

「仕事は創り出すものである」…これは、緊急事態に至っても変わらない考え方です。いつなんどきでも、”仕掛け”という戦略は萎縮してはいけません。

”仕掛け”の考え方、手法が違ってくるだけです。

マーケティング活動の場合、無理な訪問アプローチによる営業活動は、今の時期に自粛するしなかない。なぜなら、取引先も”その状況ではない”ことが予想されるからです。

緊急事態のマーケティング活動は、マンツーマンマーケティングの実践と徹底です。例えば、「お得意様にニュースレターを発行する」「自社製品・サービスのオンリーワンを訴求するための写真・動画を撮影し、ホームページにリンクさせる」…などなど、打ち手は無限にあります。

今現在ホームページがないという事業者は、作成に着手することもいいでしょう。

幸い、令和元年補正「小規模企業持続化補助金」第一弾(令和2年3月31日締め切り)も発動されています。

新商品開発や新サービスの開発も、今の時期に実行すべき戦略です。極端に言えば、この緊急事態を逆手に捉えて、普段なかなかできないことに着手するのです。

そして人財育成・人財教育です。

前回の記事で書きましたが、資金確保は緊急事態には最も最優先する戦略です。資金計画表を絶対に策定してください。

その上で、やるべきことを粛々とやる…考え方に変わりはありません。

もちろん、それどころではない…と対応に追われている経営者もいらっしゃるでしょう。

一方で、緊急事態には対応した経営戦略があり、平常時と比較して優先順位が違ってくるのです。

投稿日: 2020年3月13日 | 9:01 pm

経済の緊急事態に対応する中小企業経営−1

コロナウィルスの蔓延で、苦しい経営を強いられている中小企業も多いことでしょう。このような緊急事態には、その環境に対応したオペレーションを考えていく必要があります。

まず、経営体力のバロメーターである「カネ=資金」を確保することです。幸い日本政府が緊急事態融資を奨励していますから、すばやく資金確保に着手することが最優先事項となります。

そのためには、的確で分かりやすい資金繰り計画表を策定して、現状の売上推移予想で大丈夫なのか?または、いつまで資金が持つのかを計画・構想します。

大切なのは収入(売上)を昨年比よりもダウンとして予想することです。人が動かず、経済(世の中のお金の流れ)が停滞することで売上は減少傾向です。

資金繰り計画を策定したら、早めに資金確保に動きます。この際、借り入れは”可能額いっぱい”で申請することが大切です。小生は、「中小企業無借金経営奨励コンサルタント」ですが、今は緊急事態です。

資金難で倒産することを考えた時、潤沢な資金(借入金)から返済をしていけばいいのです。

この経済緊急事態が収束し、自粛ムードが改善していけば持ち直していくでしょう。

コストも見直す必要があります。

コストには「未来型コスト」と「現在型コスト」があります。このブログでも何度も訴えてきましたが、

「未来型コスト」…人件費、広報費、開発費、営業費など…これを削減すると経営体力が落ちていきます。

「現在型コスト」…水道光熱費、消耗品費、交際費、地代家賃など…ちょっとしたカイゼン活動や削減意識の積み重ねでコントロールします。

タブーは、取引先に過度の減額要求や打ち切り要請をすること…です。緊急事態はいつまでも続きません。この厳しい経済環境は必ず終息します。

来たるべきときに備えて、やるべきことを粛々とやる…それだけです。

投稿日: 2020年3月12日 | 10:55 pm

家業から企業、そして軌業へ

経営(商売)は、成長過程があります。まず、商売のはじめ(スタート)は家業と呼ばれるフェーズです。

社長がひとりで事業をスタートさせるステージは、この家業と呼ばれます。それは、個人事業であれ法人であれ一緒。姿形は法人という形態を取っていても、実際は個人事業的なオペレーションをとっている場合も多いのです。

これは考え方ですが、”ずっと個人商店(家業)のままでいい”という経営者もおられます。また、拡大戦略を取って、人を採用し、企業へ成長させることを目標としているひともます。

家業から企業への転換は、人(家族以外の第三者)を採用して時点からスタートすると考えます。

人を採用し、人材を育て、人財と共に経営を営む…これが企業というものでしょう。

ただ、人を採用して育てていくと、様々なシステム(制度やガイドライン)が必要になってきます。

就業規則を整備するのは当たり前ですが…。

経営理念を創出し、中期ビジョンを明確にし、単年度経営計画書を策定する。そして、各種戦略をスタッフを巻き込んで立案していく…。

教育制度や人事考課を設置するなどなど…。

これは、軌業(きぎょう)と呼ばれるフェーズだと考えています。

”軌”は、わだちとか通った跡などの意味があります。ですので、跡を残す業となる成長段階が軌業です。

もし、経営者が自社の成長(拡大戦略)を取ろうと思ったとき、その中心資源である”人=ヒト”を成長させる各種システムを構築していくことが重要です。

その着手と整備・構築を怠ると、いつまでも家業・企業(家業的経営)から抜け出すことは困難になります。

投稿日: 2020年3月11日 | 9:55 pm

いい会社プロジェクト−4 〜田島興産のキセキ〜

佐賀の元気印企業、田島興産株式会社にご縁をいただいて間もなく1年になります。この1年、訪問するたびに感心することが多かったこと…。あらためてご縁に感謝しています。

田島興産には、採用プロジェクトというものがあります。毎年、大卒の新入社員を採用すべく1年にわたるプロジェクトを走らせるものです。

このプロジェクトがスタートしたのは6年前。

田島興産には、プロジェクト支援でお伺いしていますが、CS(顧客満足度)とRS(関係先:協力会社満足度)の向上プロジェクトに参加している新卒2年目(間も無く3年目に突入)の女性スタッフがいます。

名前は、松尾明日香(あすか)さんと言います。

入社以来、総務部の所属で顧客管理システムなどを担当してましたが、来年度4月からは営業部に所属する彼女。営業を希望したのは、お客様の直の声を聞きたかったからだとか…。いや〜しっかりしています。

明日香さんは、佐賀大学文化教育学部出身の現在24歳。

彼女が田島興産に入社しようと思ったきっかけは、「佐賀県になくてはならないこの会社(田島興産)を、幸せにしたい」と思ったからだそうです。

今回、明日香さんをこのブログで取り上げた訳…それは、いつも彼女の目的意識と課題意識の高さに感心しているから…です。

プロジェクトに臨む姿勢、熱意、現状に満足しない意識の高さ…将来が本当に楽しみ人財です。

直属の上司(田島みゆき専務)に聴きました。

彼女の特徴は「自分で動き、周りをいい方向に変えていく”うねり”を生み出すことができること」だそうです。

さて、田島興産が新卒採用をスタートさせてから、社内の空気が変革していったそうです。理念を大切にして、理念に向き合う社風が形成されていった…。

経営理念を社内外にまで行き渡らせ、実直にひたすらに理念に向き合っていく経営を実践する田島興産株式会社。

支援者として、誇りに思う会社です。

投稿日: 2020年3月10日 | 10:48 pm