中小企業の経営者像【苦しい時ほど問われる器】

業績が悪い時に機嫌がすごぶり悪くなり、会議の場や朝礼などで、社員に嫌味をいう経営者がいます。正直言って、業績の結果責任を追うのは、経営者(取締役以上)です。

現場により近いスタッフに、結果現象である業績の責任を負わせるのは、ルール違反です。

ですから、人事考課制度は現場に近いスタッフほどプロセス(定性)評価をすべきなのです。

さておき、業績を含めた会社の状態が苦しいときこそ、経営者の器が問われます。他責でなく自責。自らの経営手法を鑑み、振り返り、達観し、客観的に評価してみてください。

全てのベクトルが、自らの経営手法に向いていることに気づくはず。

そして、覚悟を決めることです。ありとあらゆる知恵と行動を通じて、この難局を切り抜ける覚悟を。

会社が倒産するときは、経営者が諦めたときです。諦めずに、禁じ手を避けて基本に忠実な経営を推進するのです。

基本に忠実な経営とは、社員を鼓舞する、新商品開発に着手する、新しい取引先を開拓する…などアグレッシブにオペレートすること。

逆に苦しい時の禁じ手経営は、火に油を注ぐ結果が待っています。

社員が辞めていく、組織が萎縮していく、業績はますます悪化する…。このような現象が起きたときは、かなり手遅れになる場合が多い。

経営者は、器を大きくするということでない。磨きましょうということです、いつの時代も、経営者が器を磨き、人間性を高めると、自然発生的に業績は上向き、危機を脱することができるはずです。

投稿日: 2021年8月19日 | 5:35 am

会議は成長的内容を含めて!

今時、営業会議で圧迫的な空気感の中で実施している会社があるでしょうか?いや、まだまだ多いでしょうね。このような時代遅れ的会議は、早く滅亡して欲しいものです。

会議は、参加メンバーのモチベーションを上げ、且つ成長的要素が漂わないと、全く意味がありません。社員に圧をかけて、数字を追いかけさせる時代は、とうの昔に終わりました。

そして、経営者の機嫌で、場の空気感が変わるような会議は、さらに価値がありません。

ただの連絡事項や、情報共有なら、オンラインで十分です。経営者の気分に左右された、一方的な訓話会議もしかり。

会議は、目標に向き合うための方策・戦略・戦術をPDCAするべきもの。

社員の成長が、会社の成長に直結するのですから。

時には叱咤も必要でしょう。ただし、特定のメンバーを吊し上げるような会議は、もはや化石同然です。昨今は、パワハラなどと訴えられるリスクもありますから。

経営会議は、メンバーがそれぞれ自分の考えを発言できる雰囲気づくりが重要です。未だに、経営者が大声で圧をかけて、推進する会議は全く意味がないので、時間とコストの無駄。思い当たる節がある経営者の方は、即刻改善しましょう。

そのような空気感は、社員の退職という人財の流出現象が起きているはず。

今一度、会議のあり方を振り返り、改善が必要ならば思い切って経営者が外してみるような覚悟を示してはいかがでしょう?

いつの時代も、中小企業は人財力で勝負するものです。

投稿日: 2021年8月18日 | 5:01 am

中小企業の経営者像【経営者は強い組織づくりに向き合うべし!】

企業がまだ小さい時(大体企業規模にして5人未満のメンバー数)、経営者は現場で必死に頑張るフェーズだと思われます。それこそ、何から何まで自分でこなし、何より業績や資金繰り向き合い、良い商品を創る(仕入れる)…いわゆる現場業務に邁進しなければなりません。

ところが、業績が安定し向上していくと、メンバーも増えて、経営者自らが現場に執着することが足かせとなってくる時を迎えます。

特に社員数が10人を超えたら、思い切って社長は現場を離れ”社長業”をしていく必要があります。

社長業とは…?

1 トップセールス…人脈を活かした経営者ならではの、営業活動です。トップセールスで仕事が決まるほど、効率的な営業活動はないでしょう。

2 リレーションシップバンキング…借り入れがある場合ですが、金融機関とは定期的に情報交換し、関係性を構築しておくことが大切です。不測事態に備える意味でも…です。

3 新商品開発構想・新規事業開発構想…経営の長期的存続を鑑みて、自社の”次の一手”を構想することです。

4 組織づくり・チームづくり…これがもっとも重要。給料が高ければ、社員の忠誠心は下がらない…こんなことは妄想にしかすぎない時代です。経営理念で結ばれた、強い絆の組織を創る!経営者の仕事は、これに尽きるでしょう。経営者自ら、社員のモチベーションを上げる取り組みを率先して推敲し、働きやすい環境を整える。そして、経営理念を語り、伝え、社員に感謝の気持ちを伝える。

組織が大きくなるにつれ、経営者が向き合うべきことは、以上4点に集約されます。

特に4点目は重要!です。永続発展していく企業を創っていくためには、組織づくりへの向き合い方が問われるのです。

投稿日: 2021年8月17日 | 5:16 am

経営理念の落とし込み…

理念経営を実践していくことは、実を言うと簡単なことではありません。理念(ここでは、経営理念と呼びます)は、社員全員の想いを見える化、読める化したものであり、企業の目的そのものだからです。

このブログでも幾度となく紹介していますが、経営理念をただのお飾り的に活用している経営実態。すなわち、立派な理念を掲げてているが、実際のオペレーションは理念に反することを展開している…。

そんな経営を幾度となく見てきました。そのたびに、理念経営の難しさを実感するものです。同時に、我々のような専門家(理念経営を推奨する専門家)が、ブレずにクライアントに対して浸透支援することの不足感を覚えています。

経営理念を、自社の組織に隅々まで落とし込むのは、コンサルタント(中小企業診断士)の仕事ではありません。これは、経営者の大切なミッションです。

ことあるごとに経営理念の意味や価値を、メンバーに伝え、理解を促進する。全ての経営判断が理念を基準になされているか?を日々留意する。このような地道な行為がないと、理念経営は本物にならないのです。

月に1、2度支援のために来るコンサルタントは、組織に刺激を与え、気づきを促すことしかできないのです。

何度も言いますが、理念経営は本物であり、中小企業経営の真髄です。ブランディングも理念がないと成り立ちません。小手先のテクニックに走ってしまうからです。

マインドが籠もらないテクニックは、限界があるものなのです。

投稿日: 2021年8月16日 | 5:02 am

ブランドは社内で創るもの

中小企業経営の目指すべき方向性は、ブランディングであるとこのブログでも再三主張しているところです。

ブランディングに成功すれば、様々な利点があります。

まず「価格決定権を握ることができる」。中小企業経営の最大の禁じ手「価格競争」。オンリーワン商品(サービス)を開発し、顧客を掴むことができれば、価格決定権を主導できます。結果として、高価格・高付加価値経営を展開できるのです。

次に、「お客様がやってくる」ことが挙げられます。究極のブランディング効果は、営業が不要な経営が実現できること。選ばれる商品(サービス)、選ばれる企業、選ばれるスタッフ。とにかく、お客様が選んでやってくるようになります。営業展開が不要。こんなに楽な経営はありません。

そして、「新しい価値を世の中に投じることができる」です。お客様の指示が絶大な、商品・サービスはそれだけで価値があります。この価値を世の中に提供し、反映している中小企業は多い。新しい価値を創造し、新しい価値を世の中に提供する活動です。これこそ、中小企業経営の鏡と言えましょう。

ブランディングですが、創り出すのは専門家(コンサルタントなど)ではありません。あくまでも価値を創造するのは、社内メンバーの仕事。

中小企業診断士などの外部専門家は、演出家であり調整役でしかありません。間違いのないブランディング商品やサービスを開発し、ブラッシュアップするのは、中小企業自身の戦略なのです。

投稿日: 2021年8月13日 | 5:41 am

インセンティブ旅行について思う

先日、僕の大切なクライアント(アパレル事業)で会議をしていたときのこと。社長がおもむろに「インセンティブ旅行を計画したい」と発言しました。

インセンティブ旅行とは、目標達成したら社員を旅行に招待する(普通は全額会社負担)制度です。

この会社は、コロナでもろに負の影響を受けている企業です。業績もコロナ前に比較して、大変苦戦している結果なのですが…。

「この2年にも及ぶコロナ禍の中、アゲインスト(逆風)にも関わらず、しっかり頑張ってくれているスタッフの皆に報いたい。」社長の言葉です。

これが中小企業経営者の真の姿だと…感激して涙が出そうになりました。

社員をネガティブ叱咤(蔑みに近い、モチベーションを限りなく削ぐ言動)する経営者は、普通にいます。

しかし、この状況下でも社員を信じ、社員を激励し、社員に感謝する経営者がどれだけいるでしょうか?

会議の終盤において、このような議題を提案。この後の会議は、高揚感が高まり、議論も盛り上がったことは言うまでもありません。

このブログで何度も訴えていますが、中小企業経営は何よりも「メンバーのモチベーション」が大切です。モチベーションが低い会社は、業績も低い、あるいは長続きしません。

試算すると数百万円のコストを、社員への還元のために惜しみなく使うクライアントに、僕自身心から感銘を受けました。この企業をこれからも誠心誠意、支援していくこと…これを自分自身の信念にコミットした瞬間でした。

投稿日: 2021年8月11日 | 5:10 am

オンラインでコンサルティングは可能なのか?

長引くコロナ禍において、従来のビジネスモデルが根本的に劇的に変化する…という専門家や有識者がいます。たしかに、業種・業態によっては劇的な変革が求められる事業・ビジネスも存在します。

変革が起こるビジネスは、事務的な事業(資料策定や書類策定)、PCの画面を見ながら終始する事業(ネットビジネス、トレーダー)…。飲食店のテイクアウトもある程度は促進されるでしょう。また、AIに任せる職種も増加していくことも予想できます。

一方、変わらないビジネスもあります。特に対人的なビジネスです。

経営コンサルティングも、典型的な対人型ビジネスですので、オンラインでの経営コンサルティングは普及していきません。

研修事業は別です。研修はある意味、その現場の様子を知らなくてもできる。そのため、オンラインでの受講が可能なのです。いや、むしろオンラインが急速に普及していくことも予想されます。すべての研修事業がそうなるとは思えませんが…。

さて、経営コンサルティングは「現場」志向でないと成り立たない事業・事後です。

オンラインで経営コンサルティングを提供します…といった文言を掲げたコンサルタントを時々拝見しますが、そんなスキームか教えて欲しいくらいです。

オンラインでできるのは、せいぜい経営者へのヒアリングと資料解析ぐらいでしょう。

もし、ヒアリングや資料による診断(現状認識)とフレームワークによる解決方法を的確に助言しようとされているなら、明言しますがそんなチープで浅はかなものではありませんよ。経営というのは。

したがって、オンラインで経営コンサルティングが可能か?この答えは、否!です。ただし、今現在の技術では…ということを付け加えておきます。

投稿日: 2021年8月10日 | 5:16 am

OFF販促のカラクリ

販売価格の◯◯%OFF!という販促戦術を考案する場合、時と状況を熟考しながらというのが定説です。お客様は、意外と価格に訴求点をもっていないのが現実です。

そして、「OFF販促」は中小企業経営の業績数字を圧迫する”諸刃の剣”であることを認識しましょう。

例えば、販売価格が10000円だったとしましょう。10%OFF販促を展開した場合、仮に売り上げたとしても金額は9000円になります。つまり収入の1000円減ということです。

そこで、僕が推奨するのは「+アルファ販促」なのです。つまり、ノベルティやオマケをつけて顧客満足度を上げる販促戦略です。下手なコンサルタントほど、価格を下げる戦略を提案するのでご注意を!

ノベルティやオマケは、仕入れても販売価格の50%ほどの原価で済みます。OFF価格の1000円を原価で使ってもいいと考えると、それなりの豪華なノベルティやオマケ(+アルファ)が実現できます。

実はこの戦略は、とても有効です。ノベルティのセレクトは知恵を絞るところですが、ここが腕の見せどころであり、中小企業らしいワンツーワン・マーケティング(顧客様との個別関係構築)を実現します。

OFF販促による値下げ戦略は、「麻薬のような」ものです。例え売り上げることができたとしても、粗利率は下がりますし、結果的にブランディングを阻害していきます。

先ほどの例で、酒屋さんでイメージしてみましょう。

「10000円の高級日本酒が今なら9000円!」という販促キャッチと「10000円の高級日本酒!お買い上げの方には、店主厳選の高級おつまみが付いています!」という販促キャッチ。

皆さんはどちらに興味が湧きますか?

投稿日: 2021年8月4日 | 5:41 am

目標管理か?モチベーションマネジメントか?

目標管理(MBO)という経営戦略手法を、僕はこのブログでかなり否定的に書いています。もちろんその考え方や、具体的内容に関しては参考にあることもあります。

ただ経験上、うまく運用している企業を見たことがない…というだけです。目標管理制度は、その使い方を間違うと「組織の疲弊」「チームの崩壊」「メンバーの退場(退職)」という事態を招きかねません。

目標管理は、明らかに経営者側の立場からみた一方的な運営手法です。

働き方の価値観が180度変わった今日。目標管理は、時代錯誤の手法になった…と僕は勝手に思っています。

逆に、モチベーションマネジメントは目標達成への誘引戦略として、とても有効です。一昔前と違い、生涯雇用の時代は終焉を迎えました。

働くという価値観が大きく変わったのです。超情報化社会の今日。自分のスキルを賭けて、他の会社に移る洗濯をする人も増加しました。

そして、会社の屋台骨を支える現場スタッフのモチベーションマネジメントこそ、もっとも重視すべき戦略だと考えています。

何よりもモチベーションが大切。上から圧をかけるような目標管理は、もはや時代遅れです。

経営は、長期的視野で考えなければならない。瞬発的に結果を求める「目標管理制度」は、長期的に結果を出す「モチベーションマネジメント」に勝ることはないと断言できます。

メンバーの心から湧き立つような、やる気と情熱を引き出すような「モチベーションマネジメント」こそ、業績を左右する戦略です。

投稿日: 2021年8月3日 | 5:09 am

経済雑誌『近代中小企業』(Kin Chu)8月号記事掲載!

ご縁があって、幾度となく記事掲載を依頼していただく、経済雑誌「近代中小企業」(Kin Chu )。8月号に僕の記事が掲載されています。かれこれ7回目になります。

プロコンとして、記事執筆を公式な経済雑誌等からいただくことは、大変名誉で光栄なことです。多くの中小企業診断士や経営コンサルタントが情報発信手段について、課題を持っているのですから。

今回も頑張って取材しました。

事例でご登場いただいたのは、佐賀市の完全オーダー・ハンドメイド・シューズ工房「NIHIL bespoke shoe」の古賀幸仁代表です。

「間違いのない品質が、突き抜けた高価格の裏付けとなり、結果として高付加価値を実現する」…。この戦略を着実に実行する「NIHIL」。

中小零細企業の”価格競争を回避するブランディング”戦略。そのヒントを教えてくれる記事になっています。

13-17-8「価格競争を回避するブランディング」

 

 

投稿日: 2021年8月2日 | 5:02 am