独立診断士の定義ー3

前号で記述しました、中小企業診断士の「接点開発力」について詳細に書きたいと思っています。僕は、中小企業診断士に必要な営業力のことを「接点開発力」と定義しています。これは「顧客(長期的支援が可能なクライアント)の接点を創っていく(開発)していく能力」のことをです。

多くの独立思考診断士(これから独立したいけど収入面で心配なため、一歩踏み出せない診断士)が、ここに気づいていないと僕は勝手に(笑)思っています。

集客力?営業力?そんな抽象的な言葉でアドバイスするから、混乱するし理解が進めないわけです。

「顧客接点開発力」は、行動力さえあればいくらでも向上できます。例えば、中小企業が集う展示会。自ら取材に赴き、経営者や担当者と名刺交換して「今度会社に取材に行かせてください」とアポイントを取る…これが接点開発です。

また、公的期間(商工会議所など)のセミナー講師をする機会があったら、そこで独自策定した経営資料を差し上げ、「今度、会社で経営について聞かせてもらえませんか?」とアポイントを取りましょう。これが接点開発です。

重要なのは、アポイントをその場で取ること!です。

そして現地訪問に至ったら、訪問先企業様の経営状態をじっくりとヒアリングしましょう。気をつけなければならないのは、自らのコンサルティングに関する支援方法を最初から提案しないこと…です。

クライアントを逃す診断士は「上中から目線」「聞くより話す」「基本動作が雑」などの特徴があります。

節度を持って最大限の敬意を払い、訪問先企業の経営状態(現況)をヒアリングすることが大切です。

投稿日: 2022年7月27日 | 5:55 am

独立診断士の定義ー2

独立診断士に最も必要なスキルは営業力だ!…こんな論調で、フェイスブック内のグループサイトで噛みつかれたことがあります。笑

僕が、稼げる診断士にには「調査力」「執筆力」「プレゼン力」「クロージング力」が重要である…そう投稿した時でした。彼の論調は、営業力を養い、クライアントを掴まなければ「コンサルティング・スキル」を使う機会さえない!というもの。笑

言わせてもらいますが、そんなことは「あたりまえ!」です。僕は決して営業力を否定したわけではなかったのですが、彼の主張の逆鱗に触れたようですね。

その時は議論にならないと思い、それ以来無視するようにしましたが…。

独立診断士は「コンサルティング・クオリティ」(品質)を磨いていく必要があります。営業力(これを僕は接点開発力と読んでいます)が重要なのは当たり前なのです。「接点開発力」については後述するとして…。

コンサルティングの品質を磨き上げておかなければ、せっかくコンサル支援のご契約をいただいたクライアントから飽きられます。

独立診断士の定義は「自分でクライアントを選別でき、報酬の決定権を持っていること」ですし、理想的な支援は「顧問契約として長期にわたる寄り添った支援」です。これに異論を唱える診断士はいないでしょう。

営業力ばかり(そもそもその診断士の先生は、営業力を集客力と定義していました)磨いても、せっかく契約したクライアントから早期に支援打ち切りを言い渡されては、台無しです。

僕が独立診断士に重要なのは「コンサルティング・クオリティ」であると主張するのは、そのような理由からなのです。

投稿日: 2022年7月26日 | 5:35 am

独立診断士の定義ー1

中小企業診断士として資格を取得したら、将来は「独立診断士」として活躍したい…、そう思うのは自然の摂理でしょう。診断士以外の士業と呼ばれる専門家は、やはり独立してフィールドに出て、思う存分クライアントに寄り添った支援をし、その対価(報酬)を獲得する!これこそが理想ですし、士業としての醍醐味だと思います。

中小企業診断士の国家資格登録者数は、全国で3万人弱と言われています。その中で、自立している方はどれくらいいるでしょう?更に言うと、本当の意味で独立している診断士は、それほどいないのではないか?と思っています。

本当の意味での「独立診断士」とは?これは僕の勝手な定義ですが、「自分でクライアントを選別でき、報酬の決定権を持っていること」。そう思っています(賛否両論あるのは重々承知しています。笑)。

そのためには、経済団体(商工会議所や診断協会)などから請け負う(受託事業などの)仕事に依存することなく、民間企業に顧問として入り、経営課題に向き合い、解決のお手伝いをすること…これが必要になると思っています。

その場合、自らの得意分野を武器にして支援提案する(これを営業力といえば、そうかもしれません)スキルが重要になりますし、経営者のフトコロに飛び込む人間力も重要になるでしょう。

しかし真の独立診断士となった時、「高い報酬」「愉しい仕事」「喜ばれる成果」というプロとして、幸せな環境が手に入ります。

中小企業診断士は、数ある士業の中でも未来志向で「喜ばれる」仕事です。

だから、もっともっと診断士仲間の価値を上げることに微力ながら力を尽くしたい…!そう思って奔走している毎日なのです。

投稿日: 2022年7月20日 | 5:29 am

知的財産経営に着手せよ!

ブランディング経営を構想する時、知的財産の開発・蓄積は避けて通れません。知的財産とは、簡単に言うと…

「特許」…発明

「実用新案」…高度であることを要しない発明

「商標」…トレードマーク(商品)、サービスマーク(役務)

「意匠」…デザイン

「著作権」…創作に付与される

などの法的知的財産。そのほかにも、ノウハウやレシピ、マニュアルなど企業秘密も含まれます。

僕もいくつかの「商標」を申請と登録しています。開発したビジネスゲームや名称独占のための商標です。多少のコストはかかりますが、開発した知的財産を法的に守るのは中小企業としてあたりまえの戦略だと思われます。

超情報化社会である今日。模倣が簡単な時代になりました。悪意をもって模倣されないためにも、開発した知的財産は法的な手続きをしておきましょう。

手続きは弁理士に依頼する方がベター。やはり、餅は餅屋にという言葉あるように、その道の専門家に依頼した方がいい。

法的な手続きがなくても、外部に流出してほしくない企業情報は、企業秘密として厳重に管理するようオススメします。

業務を進めていく上で、さまざまな企業ノウハウが蓄積されていくでしょう。技術の継承をしていくためにも、ノウハウは動画や写真などで保管していきましょう。

せっかく開発したノウハウが、簡単に模倣されるのは非常に悔しいものです。万が一知的財産に関する訴訟になったとしても、中小企業は訴訟継続の時間的コスト的余裕がなく、泣き寝入りというパターンも多く見られますから。

知的財産を厳重ににマネジメントすることが大切です。

投稿日: 2022年7月11日 | 7:33 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【69】

【コンサルティング品質の条件…「具体的助言力」】

中小企業診断士は、「個別具体的な経営課題を、個別具体的な手法を持って、個別具体的に解決する」ことを生業としなけらばならない。これは、プロとして当然のようにコミットメントしなければならない考え方だと思っています。

あるべき論を振りかざし、助言・アドバイスしても経営者の心には響きません。響かないコンサルティング支援は、お金をいただけないことになります。

例えば、ある個別相談事案の場面…。

経営者「我が社は、品質にとことんこだわったスウィーツを開発することができました。固定客も着き始め、今後若干高価格で販売していきたいと思っています。どんな手法がありますか?」

診断士A「高価格で販売したいと思うなら、デパ地下が一番いいですよ。何といっても、いいものを高価格で買いたいという客層ですから。」

僕「……」

経営者「……」

僕は隣でそのやりとりを傾聴していましたが、明らかにこの時の経営者には響いていませんでした。なぜでしょうか?

それは、個別具体的な提案にはなっていなかったからです。このやりとり、「お金を稼げる診断士か?そうではないか?」の分水嶺になります。

僕ならば…ですが。

「まず、広報展開による認知度アップとファン(固定客・顧客)づくりを同時並行で行える、移動販売(キッチンカー)展開を考えましょう。キッチンカーは、コストを惜しまずにかけたほうがベターです。ここは勝負どころです。本当に美味しいスィーツならば、ファンが着きます。マスコミの取材も入るでしょう。そうなると、デパ地下などのバイヤーから提案があるはずです。まずは、できるところからスタートしませんか?」

移動販売という手法・戦略はともかく、理解度・納得度が違うと思いませんか?

投稿日: 2022年7月6日 | 5:48 am

やっていないことをやる価値…。

中小企業のさまざまな経営現場に赴き、会議参画してコンサルティング支援してます。時々ですが、幹部から「それは前例がないね」とか「そんなことできるの?」などの意見が出ることがあります。

当然、会議は「会して議す」と書きますから、さまざまな意見が出るのは当たり前と言えば当たり前です。

しかし、現場スタッフの建設的な意見を、「前例がない」「できる可能性は?」などといって挫くような意見は、幹部としてタブーであると言えます。

特に中小企業経営は、イノベーション(革新)を起こす闘いであるとも言えます。イノベーションは、常識を覆すような建設的な構想からもたらされることが多い。

つまり、「やっていないことをやってみる価値」というものが存在するのです。

例えばブランディング経営についても、そのことが言えます。

「え〜〜そんな価格で売れるの?」と感じたり「え〜〜そんなものが創れるの?」と思って、パラダイムに壁をつくってしまうとイノベーションのチャンスを逃します。

そんな価格で売れるのか?そんな商品(サービス)が開発できるのか?そう思われる意見…大いに結構!

できない理由を並べるよりも、できる方策を考える…。これが中小企業における会議の基本的なルールなのです。

また、イノベーションの種は現場にこそあります。

経営の第一線でがんばっているスタッフの建設的な意見は、意見が出ること自体を歓迎し、議論を進めていくことをお勧めします。

幹部を含め、経営層には革新的な意見を包容する懐の深さを期待したいところです。

投稿日: 2022年7月4日 | 5:15 am

不明が不満に、不満が不信に変わるとき…

辞職率が低い会社…。中小企業は、社員の定着率を上げていくような経営を実践していく必要があります。

現在2022年。今後10年の間で、中小零細企業を取り巻く経済環境は、厳しさを増していくことが予想されます。最大の危機は、「人財不足」だと考えています。

人財がいないと、重要な施策である各種戦略実行の担い手がありません。打ち手が実行できないこと…これは中小企業にとって死活問題です。

新しい人材を採用し、人財に育てていくことが重要となるわけですが、一方で「人財が辞めない」経営を実践することも重要になります。人財の流動化が進む経済環境ではありますが、これはリスクではなくチャンスだと考えて、「人材採用・人財育成」戦略を考案していきましょう。

メンバー(社員)が、せっかく入った会社を辞めていく原因…これは、お給料が安かいからとお考えの経営者が多いのですが、それは意外と妄想です。

極端な低賃金ならば別ですが、社員が辞めていく要因は「会社・経営者・幹部に対する不信感」が多い。

では不信は何が原因か?紐解いていくと「不明から来る不満、不満から来る不信」というドリルダウンが成立します

根源は「不明」なのです。つまり、さまざまなことを「明らかにしないこと=不明」です。

コミュニケーション不足から来るこの「不明は、不満を招き助長」します。

ですので、経営に関すること全般を明らかにしていくことがとても重要です。役割や企業方針、各種戦略や取り組み、(評価制度などの)仕組み…。明確にした方がいい要素は多岐にわたります。

ガラス張りの経営で、喜びも悲しみも楽しみも苦しみも「分かち合う」家族的な経営が中小企業の特徴であり、強みです。

大切な人財が流出しないためにも、さまざまん経営方針や戦略、取り組みを明確にし、普段からの対話を重視する経営をしていきましょう。

投稿日: 2022年6月29日 | 5:53 am

値引き戦略は愚策である!

営業会議や販売会議、幹部会議などの各種会議で販促企画が議題に上がる場合がよくあります。このブログで何度も主張していますが、中小企業経営現場の各種会議は、いわゆる”会議なっていない”場合が多い。

会議とは、「会して議する」と書きます。つまり議論する場です。単なる報告会や連絡ならば、わざわざ「会して議する」必要はありません。

このような時、中小企業診断士は「会議支援」という仕事を担います。つまり、会議の空気感を作り、議する会議をリーディングする役割です。

ファシリテートというのでしょうか…。会議支援は、中小企業診断士(経営コンサルタント)の重要なミッションなのです。

さておき、営業会議(販売会議)において、作戦(施策)をディスカッションする時、議論の方向が「値引きや割引」に向かう傾向があります。

これははっきり言って愚策。

値引きや割引でしか、成り立たない販促戦略は「商売終わっている」といっても過言ではない。

そこで、論点を外さないようにファシリテートするのですが、この場合の論点は

「お客様からリピートされるのはどうすればいいか」

「たまたま客を、わざわざ客にするためにはどういった施策があるか」

「客単価を上げるための(値上げやセット販売などの)施策はどうすっればいいか」

など、決して安易な値引き企画に偏らないようにすることが重要です。

そのためにメンバーの知恵(叡智)が必要ですし、叡智を導き出すための役割である中小企業診断士(経営コンサルタント)の役割は大切なのです。

投稿日: 2022年6月27日 | 5:40 am

書籍『ブランディング』にかけた想い

2022年6月20日。小生52回目の誕生日を迎えました。今年は、仕事面でもプライベート面でもさらに”突き抜ける”年にすると決めていました。今のところ、充実した毎日を過ごしています。

52歳の今年。最大のイベントは何といっても単独書籍を出版することです。

テーマは「ブランディング」。中小企業が生き残り、いい会社として成長していくための究極の戦略「ブランディング」。

社会の中には、小さくてもキラリと光るダイヤモンドのような経営をされている中小零細企業が、たくさん存在しています。中小企業経営の王道とも言えるブランディング戦略を、理論や事例を交えて分かりやすく解説・紹介する書籍になる予定です。

今秋、書店に並ぶ予定。笑

ブランディング経営の最大の利点は、価格主導権を握ること…。さすがと言われる商品を開発、あるいはサービスを磨き上げて「選ばれる企業」として存続していくことです。

さまざまな中小企業の経営現場を駆け回ってきた結果、間違ったブランディング戦略が散見されます。

見せ方、伝え方に注力し、肝心の品質マネジメントが疎かになっているケース…。

いまだに薄利多売の戦略で、価格競争に巻き込まれ低付加価値経営に陥っているケース…。

さまざまなケースを修正し、正しいブランディング戦略の指南書として挑戦しました。

現場型中小企業診断士の立場から、研究していること、見てきたこと、実際にお手伝いしてことから導き出した確信結論です。

現在、原稿の最終チェック中。ご期待くだされば幸甚です。

投稿日: 2022年6月20日 | 7:55 am

売上の分解公式における「客」の正体

中小企業経営は仕掛けが重要でして、何を仕掛けるかというと「客」を増やすことに他なりません。

以前にも述べましたが、売上というのは分解公式があります。さまざまあるのですが、マーケティング戦略(仕掛け)を考える場合、「売上=客数×客単価」という公式が重要であると考えています。

昨日、唐津市でセミナー講師を務めましたが、この公式の重要性を改めて感じたところでした。

売上高は客数と客単価の掛け算なのです。ここからがもっと重要なポイントでして…。

ここでいう「客」の正体は、けっしていちげん様(たまたま客)のことでありません。顧客様(わざわざ客=ファン、リピーター)のことなのです。したがって、ファン(顧客様)を増やしていくことが、安定した売上を叩き出すもっとも早い近道なのです。

顧客様を増やすには、ブランディング戦略が不可欠になります。

つまり、”こだわり”や”とんがり”を磨き上げ、離れないファンを創ることがブランディングの根幹だからです。

間違っても、品質の伴わない「言語化やコピーライティング」だけは避けましょう。ブランディングの根幹を成すのは、品質(ハイクオリティ)であること…。

いくら、コピーライティングやデザイニングでお客様になったとしても、品質が伴わないとファン(顧客)になってはくれません。

言語化だけでお客様が固定化(ファン化)するほど、商売は甘くありません。商売(経営)の目的は、永続発展(末長く商売が継続していくこと)だからなのです。

投稿日: 2022年6月15日 | 5:19 am