中小企業診断士として生きる−10 〜その価値とあり方の考察〜

中小企業診断士は、プロのコンサルタント資格です。プロとは、”その道だけで収入を確保する人”のことですよね。

中小企業診断士として、独立してフィールドに出た場合、収入を得て自活していかなければ、その価値は低いと言えましょう。

いつもこのブログで主張してますが、経営顧問契約による”町医者的な実地支援”をしていくのが理想です。

中小企業は、課題発生の連続です。

次から次に発生する経営課題を、あらゆる角度から解決するミッションに中小企業診断士は、真っ向から向き合わなければなりません。

クライアントに対して、極上のコンサルティングサービスを提供し、そのフィーを固定報酬として得ていく…。これが、収入確保のあるべき姿です。

時々、”成功報酬での謝金を考えています”と経営者から提案があります。

その際は、契約を見合わせた方が無難です(少なくとも小生はそれを実施しています)。

理由は二つあります。

ひとつは、「成功の定義が分からないということ」です。

業績回復、業績向上が”成功”いう定義は、極めて危険です。

中小企業診断士は、クライアントの業績を約束できる訳ではないからです。

もうひとつは、「企業を成長させるのは、経営者自身の仕事だから」です。

中小企業診断士が、自ら先頭に立って企業の成長を約束できるはずもありません。そんな約束をしてはいけません。

「自社の成長は、我が最大の使命」と心得た経営者を、誠心誠意支援することが、中小企業診断士の仕事です。

ですので、「現場に赴き、現物を現時(タイムリーに)で確認して、対策戦略を考案し、提案実行・サポートする」ことを絶対に外さずに、活動していきましょう。

投稿日: 2019年8月11日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−9 〜その価値とあり方の考察〜

このブログでも再三主張していることですが、中小企業の最大で最強の経営資源は”ヒト=人財”であるということ。

ということは、中小企業専門のプロ経営コンサルタントである中小企業診断士は、”ヒト”の課題にアプローチする必要があります。

この考え方は、絶対です。

では、”ヒトの課題にアプローチする”とは具体的にどんなことでしょうか?

ヒトの課題は無限なので、一概には言えませんが…。

小生が提供しているコンサルティング支援内容から紹介します。

人財は中小企業にとって、最も大切にしなければならないファクターです。

ですので、採用支援も必要です。採用したら育てなければなりません。

人財のキャリアプラン策定や、研修制度策定支援、実際に研修を提供することなども大切な仕事です。

また、人事考課制度の策定や軌道化もあります。

面談による人材診断も可能です。カウンセリングもできます。

これから大きな仕事として広がりを見せる”事業承継”もある意味、人財に関する課題です。

特に事業承継は、税務的な問題やM&Aなどの買収支援がクローズアップされますが、はっきり言ってこれは、人間を見つめる大きな問題です。

事業承継。この問題ほど”入念な事前準備”が必要です。

理想は10年にわたる計画立案です。

切羽詰まった(承継問題が顕在化してきた)時に、この課題解決に着手しても絶対に遅い。

承継自体をハッピーに終わらせるためには、長期的視野に基づいた計画立案とアクションが絶対条件です。

投稿日: 2019年8月10日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−8 〜その価値とあり方の考察〜

平成20年3月。法政大学経営大学院を修了し、翌月(4月)に中小企業診断士として経済産業省に登録しました。

大学院生活はとても価値のあるものでしたし、法政大学経営大学院で学んだことは一生の財産になっています。

大学院では、アカデミックな内容のカリキュラムもありましたが、全体的には”ビジネスを総合的に学ぶことができた”場所でした。

中小企業診断士として、社会で活躍したいと思っている方々にお伝えしたいことをこのブログに綴っていますが、「活躍できない診断士像」を明らかにしていく必要があります。

人格的な不適格者は前号で述べている通りです。

今回は、テクニック的な話をしたいと思っています。

大変な勉強をして登録している方々が多いからか、現場型のコンサルティングを実践している中小企業診断士が少ないような気がしています(少なくとも小生の周りには)。

つまり、フレームワーク(過去の学者が考えたコンサルティングのツール 例:SWOT分析やVRIO分析、成長マトリックスなど)を使用すれば答えが見つかると考えている人。

このような学者型の中小企業診断士は、「喜ばれない診断士」になる可能性が高い。

方程式と違い、中小企業経営は正解のない世界です。

中小企業診断士の最大のツールは「五感」です。

現場に赴き、「自分の目で、耳で、鼻で、舌で、手足で」感じる感覚。

この感覚を研ぎ澄ませることから、現場型のコンサルティングはスタートします。

財務諸表や経営資料だけで、コンサルティングを提供できるはずがないのです。

 

投稿日: 2019年8月9日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−7 〜その価値とあり方の考察〜

中小企業診断士は、経営コンサルタントの国家資格です。国家資格なので、”国が認めた資格(名称独占)”ということになります。

前にも述べましたが、国家資格は「免許証」のようなものですので、仕事は”経営コンサルタント”ということになります。

のべ15年間の経営コンサルタント業務を経て、つくづく思うことは「経営コンサルタントはクリエイティブ」な仕事だということです。

コンサルティング・ノウハウを開発するスキルが求められます。

これは、書籍やインターネットから引っ張ってきたノウハウをそのまま利用することではありません。

経験と想像に基づいた、ノウハウ開発です。

現場でコンサルティング支援に携わっていると、「もう少し見やすい資料にならないか」とか「こんなワークシートがあれば、戦略立案がやりやすい」などの問題意識が浮かんできます。

そんな時に、頭に浮かんだノウハウを、こまめにメモっておく。

その積み重ねが、オリジナルノウハウになっていきます。

オリジナルノウハウの源泉は、診断士試験の教科書に載っている内容では限界があります。

常に現場を診て、現場の声を聞き、現場の事実(出来事)に肉薄していかないと、ノウハウは蓄積できません。

経営コンサルタントの本分は、「個別具体的なクライアントの個別具体的な課題に、個別具体的な手法で、個別具体的なノウハウで向き合うこと」なのです。

投稿日: 2019年8月8日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−6 〜その価値とあり方の考察〜

中小企業診断士は、経済産業省による登録国家資格です。ですので、自称経営コンサルタントとは、違う信念を持つ必要があります。

しかし、中小企業診断士というのは、あくまでも名称独占資格にしか過ぎないことも認識しなければなりません。

つまり、中小企業診断士を取得したからといって、”それだけで食えるわけではない”ということです。

仕事は、経営コンサルティングなのです。

小生の周りにも、中小企業診断士を取得することなく、経営コンサルタントとして大活躍されている先輩もいます。

その先輩方は、実に尊敬すべき仕事に対する情熱・ハート、創意工夫をこらしながら、独自のノウハウを開発されている方々です。

そして、経営顧問を長期にわたり継続されている点に特徴があります。

中小企業診断士として、経営課題解決のプロとしてフィールドに立った以上、長期的な顧問契約で、クライアントに寄り添うことが重要です。

ただ、中には”この人はどうかな??”と思わざるを得ない”自称経営コンサルタント”もいます。

例えば、人材教育や研修を提供しながら、その実際は部下から散々見捨てられたコンサルタント。

飲食のコンサルを自称・自慢し、成功法則などを宣いながら「私は商売として飲食店はやらない、失敗しそうだから(笑)」などと支離滅裂な言動をするコンサルタント。

実際に見てきた事例ですが、国家資格を背負うプロの経営コンサルタント、中小企業診断士を生業とする以上、こんなエセコンにはならないようにしましょう。

 

投稿日: 2019年8月7日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−5 〜その価値とあり方の考察〜

前回も述べましたが、中小企業診断士は経営者に寄り添った存在であると同時に、物事を客観的に観察するスキルが求められます。

経営者により添わなければならない存在ですが、”経営者の味方”ではありません。

立場は常に中立です。

社員(正規・非正規合わせて)・幹部・経営者の言動を常に客観的に観察して、助言支援しなければならないのです。

よく、中小企業診断士として活動していると”先生”と呼ばれることがあります。

しかし、診断士は先生でもありません。呼ばれた場合は、「先生とは呼ばないでください」と提言した方がいいでしょう(少なくとも小生はそうしています)。

経営者は、大なり小なり人生をかけて経営(商売)をされている訳ですから、できれば同じ立ち位置に立つ必要があります。

中小企業診断士(経営コンサルタント)が独立して事業をしていないと、その支援内容に説得力が生まれないと思いませんか?

小生が4年前に独立して、コンサルティングオフィスを立ち上げたのも、その理由からです。

中小企業経営者に寄り添うためには、同じ土俵に立つ必要があると思ったからです。

そして、経営資源に乏しい中小企業は、人材が全て。

もっと言えば、人財がもたらす知恵と行動が全てです。

ですので、中小企業診断士は、中小企業の人財採用・育成・成長過程を担保する提案と支援ができる必要があります。

失礼な話ですが、周囲の「いまひとつ収入が乏しい」診断士の方々は、人財にアプローチしていません。

 

投稿日: 2019年8月6日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−4 〜その価値とあり方の考察〜

中小企業診断士の価値や仕事を語る上で、中小企業経営と経営者の実際に迫る必要があります。

中小企業経営というのは、決してスマートなものではなく、課題と解決の連続です。

今回は、経営者の特徴について書きたいと思います。

中小企業の経営者は、常にリスクと戦っている”社会人の猛者(もさ)”ということを、まず伝えておきます。

時々、中小企業診断士の中に(自称コンサルタントも含みます)、中小企業経営を見下したような言動をされる輩を見ます。

「あんたはそんなに偉いのか?」と思わず虫酸が走るような局面ですが、大きな勘違いですね。

毎日毎日勝負の連続をなされている経営者に対して、中小企業診断士は”寄り添わなければ”なりません。

具体的に言うと、自分よりどんなに若い経営者に対しても敬意を払い、支援をしなければなりません。敬語を使うのは当たり前です。

また、中小企業の経営者はいろんな経験をされています。

社会の酸いも甘いも知り尽くしている(あるいは知っている)方が多いのが現実です。

たくさん遊んでいらっしゃいますし、人生経験が豊かな方が多いのです。

そんな人生経験豊かな経営者に対し、中小企業診断士も人生を謳歌している人間でないと、対等に対峙できません。

遊びも仕事も知っている(あるいは知ろうとしている)診断士でないと、経営者から飽きられます。

つまり「こいつと話してもつまらないな…」となってしまうのです。

そうなると、仕事にもなりません。

投稿日: 2019年8月5日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−3 〜その価値とあり方の考察〜

小生は、平成19年4月に中小企業診断士登録のために、法政大学経営大学院で1年間学びました。

37歳の時です。その1年は、小生の人生にとって大きな転機になったことは、このブログで書いてきたとおりです。

中小企業診断士が、いかにクライアントに喜ばれる仕事か…ということについて話したいと思います。

これを語る前の前提として、中小企業経営の実態について書きます。

中小企業経営の実態を知らなければ、間違ったコンサルティング提案をすることになりますし、何より”実態に寄り添った”仕事ができないからです。

まず中小企業は、経営資源が圧倒的に不足しています。

経営資源というのは、俗に「ヒト、モノ、カネ、ジョウホウ…」と言いますよね。

それは大企業の話です。中小企業の経営資源は「ヒト=人財」だけです。

だけどそれでいいのです。優秀な人財を育めば、いいモノも多額のカネも創り出してくれるからです。

ですので、中小企業診断士は人財を育む支援をしていかなければなりません。

具体的には、研修制度を作り研修講師として活動したり、人事(考課や評価)制度を創る支援をしたり、人財が育つカウンセリングをしたり…などの活動です。

また、中小企業の経営者の特徴を知ることも大切です。

毎日毎日、”切った張った”の勝負をしている中小企業経営者に対して、中小企業診断士はリスペクトしなければなりません。

中にはどうしてもリスペクトできない経営者がいますが、そのような企業とはご縁がなかったと支援をしない選択が賢明です。

次回は、このあたりを詳しく述べましょう。

投稿日: 2019年8月4日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−2 〜その価値とあり方の考察〜

名称独占資格の中小企業診断士には、既得権益がありません。俗に士業とよばれる専門職の中でも、珍しい国家資格と言えるでしょう。

また、他の士業資格はほとんどが法律系の資格です。

中小企業診断士は、法律家ではありません。法律の専門分野もありません。

強いて言うならば、「会社法」に詳しいくらいでしょうか?

しかし、経営のコンサルティング局面で、経営者から法律に関する相談を受けることがあります。

もちろん、適当な答えをすることはできません。その場合は、人的ネットワークを持っているかが経営者からの信頼を得るかどうかを決めます。

一番いけないのが、「専門分野ではないので…」と放置すること。

あるべき答えは「専門分野ではないので、適当なことは言えません。後ほど調べてお答えします」です。

中小企業診断士は、他の士業資格と比較して守備範囲が広いのが特長です。

そのため、広い見識と視野を備える必要があります。

ところで、弁護士はさまざまな他の資格(税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士など)への登録が可能です。 ※司法書士は、代理業務が可能

法律系の資格で弁護士が登録できない(代理もできない)資格は、公認会計士、土地家屋調査士です。

もちろん中小企業診断士も登録できません。専門分野が全く違うからです。

他の法律系資格が「過去の事例を基にした課題解決」を専門とするならば、中小企業診断士は未来の問題解決を担う専門家です。

時には過去の根拠に基づかない、コンサルティング提案をする場面があります。

そのために、日々日々、自らのスキルと皮膚感覚・経験、知見・知性、五感を使った観察力などを磨いておく必要があるのです。

投稿日: 2019年8月3日 | 11:16 am

中小企業診断士として生きる−1 〜その価値とあり方の考察〜

国内で2万人超と言われる登録者数の中小企業診断士。小生も保有する国家資格(経済産業省登録)です。

中小企業診断士は、別段に既得権益(その資格でしかできない守られた業務)がある訳ではなく、それだけに守備範囲の広い無限の業務があると言ってもいいでしょう。

平成20年4月に登録し、プロコンとして活動して12年目に入りました。

中小企業診断士の仕事は、本当に価値のある魅力的な仕事であるとつくづく感じますし、困っている中小企業が数多存在するこの社会で、その活躍の分野は無限です。

自分は、中小企業診断士の仕事やミッションに誇りを持っています。

この仕事に巡り合ったことは、人生の大きな財産ですし、社会を生き抜くための強大な武器を手にいれた気持ちでいます。

あとは、手にしたこの武器を磨きに磨き上げ、社会のお役に立っていきたいと願っています。

同時に、中小企業診断士は「プロの経営コンサルタント」の資格です。

プロである以上、”稼がないと”いけません。

稼ぐ=収入を得て、収入を上げていく…ことがプロの姿です。

ただし、稼ぐことには数多くの前提条件があります。

その前提条件を満たさないと、中小企業診断士は「宝の持ち腐れ」となり、魅力のない仕事になってしまいます。

このブログでは、中小企業診断士として生涯生きていこうと決めている小生が、自分勝手に”価値とあり方”を考察していこうと思っています。

 

 

投稿日: 2019年8月2日 | 11:55 pm