中小企業診断士として生きる−15 〜その価値とあり方の考察〜

経営コンサルタントとして唯一の国家資格である中小企業診断士。

取得・登録し、独立して思う様コンサルティングサービスをクライアントに提供していきたいと思っている仲間も多いと思います。

しかし、診断士は仕事をしながら取得するビジネスマンが多い現状があります。

また、とある情報では「稼げない資格」として、風潮されている現実もあります。

明言できますが、中小企業診断士は「絶対に稼げる資格」です。

問題は、「稼ぎ方」なのです。

表題の「その価値とあり方」にその答えはあるのですが、そこに気づいていない仲間があまりにも多いような気がしています。

中小企業診断士は「経営課題解決のプロ」ですから、クライアントの課題解決に向き合う必要があります。

その覚悟も必要です。

中小企業経営は、課題・問題発生の連続ですから、プロたる中小企業診断士はクライアント様と中・長期的な「課題解決のための顧問契約」で支援することが理想です。

課題は、短期的な処方で対処し解決できるほど甘いものであはありません。

短期的な処方の代表が「リストラ=人員整理」ですが、中小企業診断士の仕事としては絶対に禁じ手です。

実際に、「業績悪ければ、即リストラを提案する」エセコンも大勢います。

人を不幸にするリストラは、ある意味「どんなコンサルでもできる」手法ですよね。

中小企業診断士は違います。

リストラを回避し、あらゆる制約条件を考慮しながら、「人が幸福になる中小企業経営の処方箋」を提案しなければならないのです。

投稿日: 2019年8月24日 | 11:00 pm

人はお金では動かない。

ある経営者の言葉を思い出すことがあります。曰く「人財が集まるのは、給料がいいからだ…」ある意味正解だと思いますが、大間違いだとも思います。

給料の高さにつられて入社した人財は、給料の不満で去っていきます。

日本的経営は、「義理と人情」の経営です。

はっきり言いますが、人(経営資源としてのヒト=人財)は、お金では動きません。

経営者として、高い給料を払ってあげたいと思うことには経緯を払います。

そして、企業内ではびこる「稼ぐヒトがえらい」という社風がもしあるならば、その社風は払拭する必要があります。

本当に企業にとって必要な人財は、「お金」では集まってきません。

人財が魅力を感じる要素は、多岐に渡ります。

経営者自身の人間的魅力、扱う商品の価値、企業の将来性、企業風土、働きやすく頑張り安い社風…など多様なのです。

実際に、業績連動型給与の比率が極端に高い企業は、社内にギヅギス感が漂います。

そして、業績(成果、売上)を上げるためにどんなことでもしてしまう、いびつな人材を育む傾向があります。

数字は頑張った結果です。だからといって数字だけで評価し、給与に反映してしまうとモチベーションを帰って下げ、大切な人財が流出してしまいます。

いつの時代も、ヒトがヒトを評価するということは難しく、だからこそ企業の理念に即した正しい人事考課制度を構築し、数値以外の評価(定性評価)を盛り込むことをお勧めします。

投稿日: 2019年8月22日 | 11:00 pm

会議は企画議論を盛り込んで…

経営会議を始めとした、企業内での各種会議のあり方を考えてみます。

究極には、会議は「明るいもの」でなければなりません。そして、会議後は「また、がんばろう!」と前向きになれるような終わり方が望ましいです。

しかし、まだまだ圧迫感のある会議を推奨している企業が多々あります。

数字の詰めしかしない営業会議。責任ばかりを追求する幹部会議…など、悪の会議をこれまでたくさん見てきました。

はっきり言うと、時間の無駄です。

参加者のモチベーションが下がるような、また、悪い空気感で満たされるような会議は、やらないほうがマシ…というものです。

ましてや、企業のトップ(社長や会長)の独壇場(説教の場)となる会議は、コストと時間がもったいないです。

もちろん、喧々諤々の議論は推奨されます。

会議の目的をしっかりと共有できていれば、議論が頓挫することもないでしょう。

会議は、建設的な議論を推奨します。ですので、企画立案の内容を盛り込んで議論しましょう。

今まで取り組まなかったような企画や取り組みを、作り上げていくようなアイデア。それを形にする議論を前向きに展開していくのです。

参加者の高揚感も上がりますし、会社を良くしていくような企画は、何より立案・実行していく楽しさがあります。

スタイルは「ブレスト形式」が望ましい。論点が外れていない意見は、真摯に耳を傾けて、決して否定しないことが「明るい会議」のコツです。

投稿日: 2019年8月21日 | 11:28 pm

オススメ本の話

たまには…最近読んだ本の話をします。

趣味の一つが読書という小生は、仕事でもプライベートでも本をよく読みます。

書店に行くと平気で何時間でも滞在できますし、図書館も大好きです。

中小企業診断士として経営コンサルタントの仕事をしている以上、本を読んで語彙力や執筆力を磨いていくことはとても大切なことです。

ただ、こんな書籍はつまらない…という本も多く存在するのでご注意を。

最近読んだ本でオススメ…コンサルタントしては…

『売上を、減らそう。』(中村朱美著)です。

京都でステーキ丼専門店を営む経営者の話ですが、業績至上主義からの脱却や、スタッフを大切にする独特の経営手法で大繁盛店を作り上げるお話です。

テレビ東京放送「ガイアの夜明け」でも紹介されました。

彼女(中村さん)の信念「スタッフの幸せは、家族と食事をすること」だそうです。だからこの会社、実働営業時間3時間半。14時30分には営業終了(1日100食限定)なんです。

社員のインセンティブは金銭ではなく、「早く帰ること」。とてもユニークですよね。

もう一つ。

『夏の騎士』(百田尚樹著)も面白かったですね。あまりの面白さに2時間で完読してしましました。

まさに時を忘れる面白さです。そして、40代〜50代の方々は、なんだか勇気が湧いてくる…そんな話。

詳細はあえて言いません。ぜひご一読を!

読書は、人生に刺激を与え、人生を面白くしてくれる最高のビタミン剤…だと思っています。

 

 

投稿日: 2019年8月20日 | 9:33 pm

ビジネスはフェイストゥフェイスで…

ITやAIが目覚ましい発展をしている今日。ビジネスの形も大きく変貌しています。

インターネットビジネスで大きく利益を上げる企業が出てきたり、クラウド上で金銭のやりとりができる環境は、これからもとめどなく発展していくと思われます。

実際の金銭取引も、カードや携帯電話で可能となり、キャッシュレス化が進んでいます。

中小企業もこの環境に適応していく必要がありますし、順応していく必要があります。

しかし、ビジネスは結局のところ「フェイストゥフェイス」ではないでしょうか?

ITやAIは、人間の営みにである「商売=経営』を便利にするためのツールにしか過ぎません。

どんな人が、どんな価値を創造し、どんな方法で提供しているか?ものやサービスの売り買いは、そこに携わる人間の姿と想いを汲み取ることから始まると考えています

インターネット空間での商売(ビジネス)は、人と人とが同じ空気を吸いながら価値の取引をする行為の一部を担うことはあると考えられます。

だけど、人間同士の価値のやりとりに取って代わることはないでしょう。

一方でAIの発達は、多くの”作業的”仕事を人間から奪う可能性も指摘されています。

今後10年以内に大きく労働・仕事環境は変わっていくでしょう。

ですので、ますます”本物の価値=人を幸福にするモノやサービス”の創造と提供が求められる時代になると考えられます。

投稿日: 2019年8月19日 | 11:02 pm

中小企業診断士として生きる−14 〜その価値とあり方の考察〜

中小企業診断士として、報酬よりも嬉しいことがあります。それは、何よりクライアントの社長、幹部、スタッフの方々からの言葉です。

ただ、「あなたのおかげで儲かった」とか「おかげで利益が出たよ」などという言葉はあまり嬉しくはありません。

利益はあくまでも結果現象であり、それはコンサルタントの功績ではないからです。

利益は、クライアントのメンバーの皆様(社長、幹部、スタッフの方々)が頑張った結果なのですから。

利益が出てよかったよ…と言われて喜ぶのは、一部の税理士先生くらいでしょう。

中小企業診断士として、もっとも嬉しい言葉は「会社が良くなったよ(いい会社に一歩近づいたよ)」という言葉です。

社風が良くなってきた(会社の空気感が洗練された)とか、スタッフが生き生きしてきたなどという言葉も嬉しいものです。

中小企業診断士の最大のミッションは、「クライアントを元気にすること」なのです。

クライアントを元気するための第一条件は、経営に関する知識やマーケティングのテクニックではありません。

自ら明るく、元気に振る舞い、常に謙虚で経営者を敬い、約束を守り、前向きな提案をする…そのあり方(姿勢)です。

今日はご縁があった、尊敬すべき社長の誕生日でした。

お祝いのメールを送ったところ、「ご縁に感謝です。いい会社になっていってます。」との言葉をいただきました。

報酬よりも、プロコン(中小企業診断士)として心から嬉しい、「生きている意義を感じる」瞬間です。

投稿日: 2019年8月17日 | 11:14 pm

中小企業診断士として生きる−13 〜その価値とあり方の考察〜

最先端のサービス業ともいうべき経営コンサルタントは、”自分自身”が商品なんだという意識を特に高めていなければなりません。

ですので、人間性を磨くことも、とても重要な”品質向上戦略”ということになります。

ノウハウや情報が商品ではありません、絶対に。

「クライアントに寄り添って課題解決に向き合う姿勢と実行力」に報酬を払ってくれるのです。

チープで稚拙なコンサルタントは、フィー(報酬)の額ばかりを気にしています。

以前勤務していた会社では、コンサルティング契約を上司に報告すると…

「その仕事、いくら(金額)で引き受けたの??」と真っ先に聞いてくる上司(女性)がいました。

普通、「おめでとう。どんな仕事でお役に立つの?」と聞きませんか?

また、ある展示会でMR(マーケティングリサーチ)の仕事をしている時に、大手コンサル会社(F総研)のコンサルタントがやってきて名刺交換。ここまではよかったのですが、次に出てきた言葉が…

「ちなみにそのリサーチの仕事、いくらの報酬ですか??」。

普通コンサルタントのプロならば、報酬のことは後の事です。

まずは、何の仕事をして報酬をもらうのか?どんな価値をクライアントに提供するのか?が一番大切です。

中小企業診断士は、「この仕事いくらで引き受けようか?」ではなく「この仕事でどんなにお役に立とうか?」という発想を、まずは持つ必要があります。

国家資格を持った経営コンサルタントなのですから。

いつも、常に「極上のコンサルティングサービスの先に、フィー(報酬)がある」という誇りと気概を持ちたいものです。

 

投稿日: 2019年8月16日 | 11:00 pm

終戦記念日に想う…

8月15日は終戦記念日である。毎年のことであるが、夏のこの日は74年前の、日本という国が存亡をかけて他国と争いになった歴史について考えさせられる。

TVを中心に、この時期は様々な戦争特番が放送される。

このような悲惨な過去を回顧する番組は、これからも継続してもらいたいと切に思う。

祖国のために命をかけて戦った日本人の先輩たちのことを、我々は忘れてはならない。

そして2度と戦争という歴史を、日本史に刻んではならないと思う。

幼い頃、祖母からよく戦争中の苦労話を聞いたものだ。

30年前に亡くなった祖母は、当時の生活や戦病死した祖父のことを生々しく語ってくれた。

自由なき生活が、こんなにも窮屈で悲しいことか…。

 

戦争を知らない世代が、戦争を語るには軽々しいと思う。

しかし、戦争がもっとも醜く凄惨な人間の行為であることは容姿に察しがつく。

 

今の、ある意味平和な日本が存在しているのは、あの戦争で日本という国を守り抜いた先輩たちのおかげだということを、これからも忘れまいと思う。

 

 

投稿日: 2019年8月15日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−12 〜その価値とあり方の考察〜

知り合いの診断士から、よく言われるのが「クライアントのところで何を提供してるの?」という質問。

小生からすると「???」の質問ですが、最近、「中小企業診断士の仕事(ミッション)」にバラツキが大きすぎるのだな…と考えるようになりました。

中小企業診断士の守備範囲は広い…無限と言っても過言ではありません。

ですが…。

外してはならない支援内容があると考えています。

経営というのは、PDCAの連続ですよね。

では、中小企業診断士はその PDCAを愚直に回していく支援をする必要があります。

もっといえば、経営の最も大切な根幹部分(経営理念、経営ビジョン、経営方針)を策定し、明文化し、見えるかし、PDCAを支援していくことです。

これは、経営コンサルタントの”基本支援”です。

基本支援内容ですので、「最低限実施すべき支援」ということです。

何度も言いますが、経営はテクニックではありません。

最も大切なのは「ハート=心」です。特に中小企業経営は、「心を大切にする経営」です。

経営理念を明文化し、経営ビジョンを共に描いて見える化し、単年度経営方針書を策定する…。

そして毎月の経営会議で、PDCAを回しいく…これが基本支援の内容です。

中小企業診断士の本分は、中小企業(クライアント)の経営基盤(強くてしなやかな)を作ることです。

経営基盤は、理念とビジョン・方針に基づいた様々な戦略を立案・実行することで強固なものになっていくのです。

投稿日: 2019年8月13日 | 2:30 pm

中小企業診断士として生きる−11 〜その価値とあり方の考察〜

今から11年前。2008年にリーマンショックなるものがありました。

中小企業にとって、突然の業績不信などに見舞われ、取引停止になったコンサルタントも数多く見られました。

特に業績担保型の経営コンサルタントは、コンサルティング支援の停止が相次ぎました。

経営コンサルタントは、業績向上を約束してはいけません。

業績は結果現象にしか過ぎず、中小企業診断士は、クライアントが「いい会社になるための支援」がそのミッションとして位置付けるべきです。

「業績がいいから”いい会社”とは限らない。”いい会社”だから業績がいい」のです。

そして、「私は失敗しない」と断言することは止めましょう。

そんなコンサルタントも以前いましたが、胡散臭さ倍増です。

10月からスタートする消費税増税。

どんな効果をもたらすか…明確に分かりませんが、中小企業にとって少なからずマイナスの効果をもたらすでしょう。

ということは、中小企業を支援するプロのコンサルタントも”真価”が問われます。

業績が不信になった時に、仕事を依頼される診断士にならなければなりません。

おそらく…

①経費削減の提案ばかりする「コストカッター型」コンサルタント

②ミッションが収益を担保する「業績向上約束型」コンサルタント

③新しい提案をしない「マンネリ型」コンサルタント

④期間限定の支援が中心の「プロジェクト支援型」コンサルタント

…などは、支援打ち切りのリスクが高まることになるでしょう。

小生も含めて、中小企業診断士としての「価値とあり方」を見つめ直す時が来ています。

投稿日: 2019年8月12日 | 11:00 pm