失敗しない方策はあるが、成功する方策はない。

中小企業経営は、道の領域に踏み込んでいく、あるいは道の市場を開拓していくフロンティア精神が不可欠だと思います。今日、久しぶりに書店に行きビジネス書コーナーに寄りましたが、なんとまあ「成功法則を教えます…」的な書籍が多いことに驚きます。

経営には、成功法則というものは存在しません。あるのは「失敗の可能性を限りなく低減させる法則」なのです。

また、コロナ情勢のような時節になると、「成功」という言葉に敏感になりがちですよね。

一方で、「成功」という言葉を定義づけできている経営者は、どれほどいらっしゃるでしょうか?

成功とは…「お金を1億円貯めること?」「事業を拡大して100億円企業を作ること?」…どれも正解です。その人の価値観ですから。

しかし、経営コンサルタントの端くれとして「事業の成功」は頑なに定義づけしています。事業の成功とは、「永続発展」です。未来永劫発展していく企業を作り上げること。これが成功というのです。

逆に「失敗」とは?事業の停止、消滅です。

ある時期に1億円の経常利益を叩き出したとしましょう。しかし、3年後に倒産していた…。そんな事例は枚挙にいとまがありません。

特に不測事態の連続である中小企業経営においては、常に永続発展していくための各種戦略立案が大切です。

投資と維持のバランス。経費と粗利益のバランス。それぞれのバランスを意識した経営を心がけましょう。

来るべき、コロナの終息に向けて今やるべき戦略を、粛々と実行していく…。覚悟が大切です。

投稿日: 2020年5月8日 | 7:33 pm

中小企業が、コロナ情勢に際し取り組む戦略 〜財務戦略編ー2〜

「金融機関から、融資をしますよ…という提案があっているが、いかほど借りたらいいでしょうか?」この時期に、経営者から相談を受ける主な内容です。

”中小企業の財務戦略の理想は『無借金経営』である!」というのは小生の持論ですが、これもまた平時の話。今日のような緊急事態に際しては、「目一杯借りる」ことが理想です。

今は資金(現金=キャッシュ)の有高で、生き残りの成否が分かれます。

大切なのは、キャッシュマネジメントなのです。潤沢な借入金を確保できた場合、賢い経営者ならば資金留保しておきます。なぜなら融資と言うのは良きも悪きも”借金”だからです。借金は返さないといけません。

借入過多状態が不安だ…という中小企業経営者も結構おられます。その際は、収束時までプール(留保)しておき、そこから返済すればいいのです。

さて、借入金の安全圏ないですが、小生の経験から「年間の粗利益額の50%」までは安全圏と考えています。

10億円の売上があり、粗利益率が40%であった場合、返済に苦慮しない粗利益の額は2億円ということになります。そこまでは、問題なく商売に邁進できます。

怖いのは、借入金依存です。一度依存に陥ると、なかなか抜け出せない…。手形の決済機が近づくと、また金融機関に相談に行くという事態になりかねません。

ただし、これも平時の考え方。緊急事態においては、ありとあらゆる手段を講じて資金確保に努力してください。

何事も先立つものがないと、打ち手(戦略)がなくなります。

投稿日: 2020年5月7日 | 10:44 pm

中小企業が、コロナ情勢に際し取り組む戦略 〜財務戦略編ー1〜

企業経営は決してお金儲けの手段でありません。お金儲けは、結果現象として現れるものであり、企業経営の目的は「関わる人の幸せの実現」なのです。

ですので、戦略としての優先順位は決して1番ではありません…ただし、平時においては…です。

現在のような緊急事態(コロナ情勢)においては、ありとあらゆる手段を講じて、資金確保に努めます。資金は、企業にとっては血液も同然。無くなってしまえば、即失血死ということになります。

中小企業診断士として現場を駆け回っていると、お金のことで苦慮している中小企業経営者が本当に多い。

実は”お金が足りないこと”には原因があり、それは収入源(売上)によるものではなく、実は”管理=マネジメント”にあることが多いのです。

毎年赤字計上という企業を時々見かけますが、共通点は普段からの資金管理の杜撰(ずさん)さというものです。

はっきり言いますが、企業は赤字では倒産しません。赤字でも、将来性豊かな戦略を講じていれば、金融機関が手を差し伸べるからです。また、資金調達の方法はいくらでもあります。

企業は資金の調達ができなくなった時に、倒産のリスクが限りなく高まります。その要因は、普段からの散財や資金マネジメントの皆無、会計事務所任せの体質などによるものです。

経営者であるならば、自社の現状(特に財務)は、大枠の認識をしておくのは必定です。

毎月の資金繰り管理表を策定し、現金有高を把握し、支払いの期日と額を管理しておく。

このような緊急事態になればなおさら、普段の経営能力が露呈してしまいます。

投稿日: 2020年5月6日 | 5:32 pm

中小企業が、コロナ情勢に際し取り組む戦略 〜商品戦略編ー2〜

商品(サービス)戦略は、企業ブランディングを不動のものにするために、とても重要なファクターです。商品にこそ、企業努力や企業価値の結晶であり、メンバー(社員)の想いがつまった成果物であるからです。

さて、コロナ情勢の今月末までの緊急事態宣言延長に際し、中小企業経営は一層の厳しい環境にさらされることは間違いない。

では…どうするか…です。

同じ境遇に置かれた立場から、提言をしていきたいと考えています。

特に商品開発に関しては、研究分野であると同時に得意分野である立場から、様々な角度から助言ができると思います。

商品とは何か…をまず見つめ直すことからスタートします。商品は”お金儲けのツール”では決してありません。

『お客様を幸せにするツール』です。ですので、本当のお客様目線とは、お客様にとって良いことか、良くないことか…で判断され、開発されるべきものです。

また、コロナ情勢のような社会現象は、今後いつなん時再来するか検討がつきません。そこで、リスク管理の考えからも新しい価値を生むための”新商品開発”に着手する時でしょう。

飲食店経営においても、PB商品を開発して販路を開拓する戦略もあります。まず必要なのは、知恵とエネルギーです。

今の負の環境に憂うよりも、今の環境を少しでもよくするために”どうするか?”を考えたほうが健全です。

そのための重要かつ推奨する戦略が、新商品(サービス)の開発であり、それに伴う新販路(チャネル)の開拓であると思うのです。

投稿日: 2020年5月5日 | 6:09 pm

コロナ終息後に備えるべきこと…。

今回のコロナウィルスによる深刻な経済環境は、中小企業経営に様々な教訓をもたらすものと思います。また、このような状況を逆手にとって、”備える”ことがもっとも賢明な方法です。

まず、”高い依存度の危険性(リスク)”が教訓として浮かびます。飲食店においても、デリバリーやテイクアウトのブランディングを確立していた企業は、比較的被害が低い。

逆に完全来店型(100%に近い)の企業は、大打撃です。またB to Bビジネスでも同様のことが言えます。お得意様を一社に依存していると、失った(取引停止など)時のダメージの大きさは計り知れません。

金融機関もそうです。リレーションシップバンキングはとても大切ですが、複数の金融機関と窓口を作っておきましょう。担当バンカーによって、情勢や対応が変わるものです。

そして何より、商品依存度です。一部のヒット商品に依存するのでなく、今こそ自社の商品ラインナップの検証、ブラッシュアップ、新開発を進める時です。

今回のコロナ情勢は、経済環境に大きな影響と価値観の変革を及ぼすものと言われています。影響が大きいのは、中小企業を取り巻く環境ということに間違いありません。

逆風の影響にするか…追い風にするかは、経営者のタクト次第です。

今の環境に際し、「できることを粛々とやる…そして、成果物をノウハウとして蓄積する」ことに邁進しましょう。

小生も頑張ります。中小企業経営の端くれとして、このコロナ情勢を乗り切り、飛躍する良き事例となるべく、努力していきたいと思います。

投稿日: 2020年5月4日 | 8:09 pm

中小企業が、コロナ情勢に際し取り組む戦略 〜商品戦略編ー1〜

経営資源の「ヒト(人財)」「モノ(商品)」「カネ(現金)」「ジョウホウ(ノウハウなど)」は並列ではなく、「ヒト(人財」」が上位にくる概念であることは、再三主張している通りです。

しかし、人財の次にくるプライオリティといえば、「モノ(商品)」であると考えています。価値ある商品(サービス)を開発し、高付加価値経営を実現するのが、中小企業のあるべき姿であるからです。

昨今のコロナ情勢は、資金確保の緊急性を助長しました。もちろん、カネがないと「打ち手」が無くなってきます。資金確保は、何とかクリアしてほしいモノです。

財務戦略については、後述します。

さて今日…新商品や新サービスの開発に着手、または現商品のブラッシュアップに挑戦する中小企業がいかほどあるでしょうか?

多くの企業が、外部環境であるコロナ情勢を憂い、政府の対応策に不満を漏らしているような気がいたします。

正直なところ、他責にしても打開策は生まれません。今、この情勢を勝ち抜き、生き残るためには自助努力しかないのです。

その努力はどういうところに現れるか…。それは、「どんな価値(商品やサービス)を開発してきたか…」ということです。

経営は「価値を創造する行為」に他ならない。であるならば、経営努力は「開発された価値」に現れるのです。

「景気は有効需要に喚起されるモノではない。有効供給(価値)が景気を決めるのだ」とは恩師・坂本光司先生のお言葉。

今まさに、有効供給をいかにして生み出すか…自社の真価が問われる時と思い、不断の努力を期待しています。

投稿日: 2020年5月3日 | 10:56 am

中小企業が、コロナ情勢に際し取り組む戦略 〜人財戦略編ー3〜

緊急事態にこそ、最も大切にしたい経営資源は”ヒト=人財”であると再三主張していますが、事態が深刻になればなるほど、経営者の信念と覚悟が試される事態と言えます。

人財を守り抜くこと…今、経営者が最もその力量が問われる命題です。

経営者には是非、”我が社の大切な社員とその家族を守ります”というアナウンスをしてもらいたいと、切に願っていますし、実際に守り抜いてもらいたいと思います。

収入が減少すると、経営者の多くがコスト削減に着手する方向にあります。問題は、コストの内容です。

最大の未来経費(投資型経費)である人件費削減に着手すると、未来は暗い。これは、いわゆるリストラと呼ばれる愚行戦略と言えます。

コスト削減戦略については、「財務(カネ)戦略編」で述べることにして…。

人財戦略は未来志向でないといけません。ですので、もし休ませている人財がいるのならば、人財力を活かした”新しい価値を生み出す”取り組みをしたほうがいい。

緊急事態においても、経営戦略の打ち手は”無限”です。

人財に関する、各種制度やガイドラインを策定するのもいい。一方で人財の持つパワーを価値に変える取り組みこそ、この時期に実現すべきではないでしょうか。

オンラインミーテングなどを活用して、新規事業の構想を練るのもよし。現在のビジネスモデルのブランディング戦略を練るのもいい。新商品・サービスの開発を立案するのもいいでしょう。

緊急事態にこそ、イノベーションを生み出す取り組みを…。イノベーションは、人財がなせる技ということを忘れてはなりません。

投稿日: 2020年5月2日 | 1:18 pm

第5期決算月を終えて…。

手前ごとですが、昨日4月30日は弊社エイチ・コンサルティングの第5期決算月でした。創業したのが平成27年。5年後に今日のコロナ情勢のような逆風が吹き荒れるとは、思いもしませんでした。

前職の会計事務所時代の総代表(心から尊敬する税理士)から、「経営には上り坂、下り坂、まさかがある…」と言われていましたが、まさにその通りですね。

今日のような厳しい経済環境に直面したこと…それは、きっと”意味があること”なんだろうと…。経営は航海に似ていると思います。嵐の時もあれば、べた凪の時もあります。岩礁にぶつかりそうになる時もあるでしょう。さまざまな困難を避けながら、時には受け入れながら前に進む…。

5年間を振り返ると、本当にさまざまなことがありました。1期目はなかなか増えないクライアント数で収入が上がらず、資金繰りに苦慮した日々。2期目は、少しづつ増えてきた収入でしたが、自己投資ができずコンルタントとしての成長鈍化を感じました。3期目にやっと、”やっていける自信と覚悟”が芽生えてノウハウ開発に着手できました。

本当にさまざまな人に”支えられた航海(経営)”でした。そしてこれからも、支えられるような経営を信条としていきたいと思います。

今日から第6期に突入しました。今後10年間は、中小企業診断士・経営コンサルタントとしての集大成として位置付け、日々研鑽努力していきたいと思います。

新しい航海図を広げました。いくつかのマイルストーンが描かれています。マイルストーンを確実にクリアして、ヨットのように逆風を活かして少しづつ前に進んで行く…そんな1年にしたいと思います。

投稿日: 2020年5月1日 | 6:45 pm

中小企業が、コロナ情勢に際し取り組む戦略 〜人財戦略編ー2〜

今日未明、全国的な緊急事態宣言措置が延長される見通しであることが、発表されました。コロナウィルスに感染する人が、以前に比べて増加の落ち着きが見られるようになったとはいえ、有名人のお亡くなりなどが、強いインペクトを与えました。

延長やむなし…といったところなのでしょう。しかし、中小企業経営にとっては、厳しい環境が延長されたことになります。

しっかりと現状を受け止めて、”ではどうするか?”を考案する時です。

人財に関する中小企業経営の投資は、低いと言わざるを得ません。ここに、経営者の自社経営に向き合う”覚悟”のほどをうかがい知ることができます。

いつの時代も、お金を稼いだり、ヒット商品を創るのも人財のなせる技です。従って、人財に投資しない会社は成長が止まってしまうことになる訳です。

キャリアプランを整備することは、モチベーションアップに大いに効果的です。また社内褒賞・表彰制度を創ることもいいでしょう。

各メンバーの業務を見直し、適材適所の配置になっているかを検証することもできます。

つまり、メンバーの”頑張って働く意思・熱意を上げるモチベーションアップ”戦略の実施が大切なのです。

さらに言うと、賞与制度も見直してはどうでしょうか?今時、「経営者が鉛筆ナメナメ」で決める賞与額はナンセンスです。

きちんとした計算式に基づいて、根拠ある金額を提示し、”また頑張ってもらう”動機付けが大切です。賞与は須らく、面談をセットで付与しましょう。何よりも、経営陣(幹部)とのコミュニケーションが図れるいい機会になります。

投稿日: 2020年4月30日 | 8:16 pm

中小企業が、コロナ情勢に際し取り組む戦略 〜人財戦略編ー1〜

一向に出口が見えないコロナウィルスによる経済環境ですね。しかし、自力では如何ともしがたい外部環境であることに間違いはありません。

特に対面型のビジネスモデルの業界は、売上(収入)減による経営圧迫は計り知れないダメージだと思います。一方で何もしなければ、落ちていくばかり…そして一度落ちた経営基盤は、なかなか元に戻すことが難しい。

では何をするか?ですが、やはり”できる戦略を講じる”ということに尽きると思っています。

今回から数回に分けて、コロナ情勢を含めた緊急事態に、中小企業は何をなすべきか??について考察、記していきたいと思います。

まず、何度も言いますが中小企業経営は”人財力”に大きく左右されます。経営資源は「ヒト(人、人財)」のみといっても過言ではありません。というより、断言できます。

従って、この環境を利用して人財力強化戦略に着手します。

コンサルタントやインストラクターなどの外部講師を招聘して、社内研修という訳にはなかなかいかない情勢です。ですので、オンラインや少人数ミーティング、個人面談を活用して実施します。

プログラムを立案し、スケジューリング化。講師は、役員以上が務めます。オンラインで外部講師に依頼してもいいでしょう。

研修もさることながら、人事考課制度を見直したり、新しく構築することもできます。職務基準のコンピテンシー(あるべき姿)を策定することもできるでしょう。

社内のキャリアプランを創ることもできます。

 

投稿日: 2020年4月29日 | 10:29 pm