志の航跡 〜仲間たちへのエール〜

【ビジネスの体系を総合的に学ぶ】

今日は台風10号の影響で、クライアント訪問が延期となりブログの更新をする時間がゆっくり作れました。そこで久しぶりに、中小企業診断士を志していた頃を思い出したいと思います。

2007年4月に法政大学経営大学院の者をくぐって、早13年の月日が流れました。2007年の1年間は、年齢が38歳。本当に熱く研究に没頭した夢のような1年間でした。

中小企業診断士養成課程は、今年で13期生を迎え、法政大学の中小企業診断士養成課程(MBA特別プログラム)は、数ある養成課程の中でも人気の学び舎として、認知されていることを本当に喜ばしく、誇らしく思っています。

今年はコロナ禍での授業で、学生の皆さんは不自由な思いの中研究に打ち込まれていると察します。しかしこの逆境も”何かのご縁”と捉えて、無事に中小企業診断士として羽ばたかれることを心から祈念しています。

小生も、中小企業診断士として12年の経験を積むことができました。学生の皆さんに、アドバイスができるとすれば、大学院(そのほかの養成課程も同様です)においては、ビジネスの体系・本質を大局的に学んでいただきたいと思うことです。

法政大学経営大学院では、プロジェクトと呼ばれる修士論文のような位置付けの研究レポートが課せられます。取り組む内容は自由ですが、中小企業診断士を志す人は「ビジネスモデルの組み立て」に取り組んでほしいと思っています。

コンサルティングビジネスのプロジェクトに取り組むこともいいのですが、コンサルティングは、診断士として登録してから必然的に向き合うミッションです。

ですので、「面白い、役にたつ、社会的価値の高い」ビジネスを考案し、モデル構築をしていくプロジェクトがおすすめです。

事業構想をし、価値を検証し、競合先をリサーチし、オンリーワンポイントを見つけて磨き上げる…。そのプロセスをプロジェクトとしてまとめ上げる。

この挑戦は、大学院を修了し中小企業診断士としてフィールドに出たとき、必ず武器となる経験です。

投稿日: 2020年9月7日 | 1:52 pm

『燃える人事考課制度』のメカニズムー9

【定量評価と定性評価】

先述しましたが、人事考課制度を策定するときに必ず議論の対象になるのが、定量評価と定性評価の比率です。定量評価は「量で測れる評価」ですからすなわち「業績評価」ということになります。業績は、正しい経営をした結果現象にしか過ぎませんから、定量評価のみで人事考課制度を作ってしまうと、とんでもない社風を作り上げてしまうことになります。

定性評価は、いわゆるプロセス評価ということになります。どんな行動をして、事業に貢献できたか?を評価するいわば「燃える人事考課制度」の根幹ともいえる考え方です。

業種業態、企業の状態によっても違ってきますから、定量評価と定性評価のバランスはじっくりと議論しなければなりません。

以前、「仕事は結果が全て!」という経営者が、定量評価(業績評価)のみで人事考課をするケースを観ましたが、その後この会社は様々な優秀な人材が流出(辞めて)し、空中分解しました。このように、業績評価のみで人事考課制度を策定することは、簡単かも知れませんが、大きな弊害を招きます。

「燃える人事考課制度」は定性評価(プロセス評価)に重点を置き、徹底的に議論して創り上げます。

ある企業の事例です。以前は定量評価:定性評価の割合を9:1で決めていた仕組みを、思い切って5:5に転換した販売会社があります。販売会社は、「売ってナンボ」の企業風土が定着する傾向がありますが、それでは社員のモチベーションはなかなか上がらないのです。同時に、業績が属人的になり企業全体で”戦っていく”というチームワークが醸成されません。

この事例の販売会社は、今までの業績重視の社風が是正され「働くモチベーション」を重視した社風が醸成されました。結果、ブレない経営基盤を構築して現在も躍進中です。

会社はチームワークの塊ですから、属人的な業績よりも組織的な業績が好ましいということは自明の理です。一人のヒーローが育つよりも、全体的な底上げが望まれます。

定量評価と定性評価をバランスよく議論して決定し、全体最適を図ることが重要です。

投稿日: 2020年9月6日 | 10:58 pm

『燃える人事考課制度』のメカニズムー8

【経営理念と人事考課制度をリンクさせる】

人事考課制度は、企業独自の”魂”を込めて作り上げる必要があります。汎用性の高い人事考課制度は、かえって使い勝手がよくない。つまり”役に立たない”場合がほとんどなのです。

何度も言いますが、人事考課制度を設ける目的は「構成員(メンバー)のモチベーションを上げるため」に他なりません。そして、そのモチベーションのベクトル(方向性)は「経営理念」に向かわなければなりません。

「燃える人事考課制度」は、経営理念と人事考課制度をリンクさせた点に大きな特徴があります。経営理念から最も重要なファクター(要素)を抽出して、「評価要素」に変換するのです。評価される被考課者は、必然的に経営理念に向き合い、言動自体が経営理念の達成にコミットするようになる訳です。

ここで、経営理念について再考します。経営理念は、自社の事業目的(何のために事業をしているか)を価値観として見える化した美しいセンテンスです。また、経営理念を達成するための行動基準を制定し、業務にあたる価値判断・行動判断のガイドラインとして浸透させることが大切です。

抽出した評価要素自体は、定性評価に位置付けされます。次回述べますが、評価には定量評価と定性評価があり、それぞれのバランスが大切です。

経営理念から抽出された評価要素は、定性評価として数で言えば10〜12で確定します。あまりにも評価要素の多い考課制度は、考課者自身が疲れてしまい、結局のところ”使えない人事考課”となってしまいます。

人事考課というものは、非常に難しい。当たり前です。人間は神様ではありませんから。人が人を評価する行為というのは、細心の準備と細心かつ思いやりの心を持ってあたらなければ、それ自体が人を辞めさせる凶器となってしまうことがあるのです。

ともかく、何を持って評価するか…という「評価要素」を決めるときには経営理念や行動基準から抽出し、リンクさせることが重要です。

投稿日: 2020年9月5日 | 9:23 pm

『燃える人事考課制度』のメカニズムー7

【ヒト(=人財)が最強の経営資源である】

「中小企業経営にとって、唯一無二の経営資源と言っても過言ではないのは”ヒト”である」。小生が、法政大学経営大学院でご縁があった、坂本光司先生(中小企業経営革新論理)の言葉です。ゆえに中小企業経営者の最大の仕事(ミッション)は、ヒト(社員・人財)を育て上げること。そして、社員が育つ環境を整えることです。

社員を育て、育つための環境を整えること…その取り組みの中核ともいえる戦略が、「人事考課制度」です。

人事考課制度を設定する目的と価値を、経営者自らが理解し、納得し、取り組まないと”社員が育つ”環境を整えることはできません。

オンリーワン戦略は、中小企業経営戦略の基本本質ですが、オンリーワンとは差別化のことです。では、何を持って差別化を実行していきますか?

他でもない社員そのものです。ここで言う社員とは、正社員やパートさん、アルバイトスタッフなど全ての構成員のことを指します。

社員の人間力、人間的魅力を上げるような仕組みや環境、何よりも社風作りこそ大切です。

企業経営は、「人を幸せにする活動」のことです。ここで言う人には優先順位があり、1番に来るのは他でもない「社員」なのです。

ステキな社員が揃っている中小企業は強い。強い会社とは、好不況に関係なく結果的業績を叩き出す企業のことを言います。

このロジックは、経営者の最終的な使命は「社員を幸せににすること」と言う結論を導き出します。自社の社員が幸せでないと、幸福感を感じて働いてくれないと、お客様を幸せにすることなど絶対にできません。

こう言うことを主張すると、「社員のわがままを聞いてどうするんだ?」と言う質問を時々受けますが、わがままを聴くことが、社員満足度(CS)を上げることではありません。「いい会社に勤めている」と言うロイヤルティ(忠誠心)や「この会社が誇りだ」と言うプライド…などの満足度ファクターを上げていくのです。

「燃える人事考課制度」を策定し、是非とも社員が”燃えるような情熱を持って業務あたる”企業風土を醸成していただきたいと思います。

投稿日: 2020年9月4日 | 10:42 pm

粗利益重視経営のススメ

粗利益(売上総利益)は、とても重要な経営指標です。中小企業経営者は、”売上”を重視して意思決定の判断材料にする方が多い傾向があります。しかし、小生はあえて”粗利益”最上重視経営を推奨しています。

粗利益率100%と言う業種もあります(小生のような経営コンサルタントオフィスもそうです…笑)が、売上原価が発生する業種は、須く粗利益を観察モニタリングしていく必要があります。

理由は、粗利益が”儲け”の源泉であり、企業のブランディング(高付加価値経営)を測定する指標となりうるからです。すべての中小企業は、ブランディング戦略を推進していく必要があります。ブランディングに成功すると、高価格・高付加価値が実現できます。つまり”儲かる”訳です。

ただし、これには高品質経営がマスト条件になります。競合他社に価格競争を仕掛けられない、オンリーワン品質経営です。

価格競争を回避できる訳ですから、価格決定権が自社になります。お客様は”喉から手が出るほど欲しい高品質商品”ですから、最初からインパクトが違います。

粗利益重視経営の注意ポイントはもうひとつ。

高付加価値を実現しようとするあまりに、適性原価を見誤ってしまうことがあります。原価を下げすぎると、品質の低下を招きかねません。

高品質を担保できる適正原価を模索して、決定します。

適正原価率をある程度固めたら、その原価率を遵守して原価額を決めていく必要があります。

最も良くないのは、高付加価値が実現した途端に、さらに原価を下げて儲けを重視し客離れを起こす事態を招くことです。

中小企業経営にとって最も怒れるのは、”客離れ現象”です。お客様は正直です。すぐに損得経営を見抜きます。見抜かれた損得経営は、取り戻すのが至難です。

投稿日: 2020年9月3日 | 8:53 pm

仕事の合間に味わう、親友とのひととき

先週日曜日(30日)の夜半過ぎ。親友であり、仕事のパートナーである高取くん(社会保険労務士)と魚釣りに出かけました。

行き先は唐津市某所。午後3時過ぎから竿出し。約4時間の釣りは、時に高揚感を味わい、時に仕事の話で刺激し合えた貴重な時間になりました。

資格は違えど、共に”がんばる中小企業に寄り添い、応援していきたい”と言う同じ価値観のもと、釣りの合間に様々な意見交換ができました。

中小企業診断士と社会保険労務士は、理念が合えば相当な相乗効果があります。役割を明確にして、違う方面からクライアントに貢献できるパートナーとなります。

高取くんは、同じ年生まれ。同年代の士業として、スキルや知識を高あえる相棒なのです。

竿出し30分の釣果です。ほぼ入れ食い。笑

タックル(仕掛け)を作る高取くん。朝の景色が清々しく、気持ちいい…。

海で食べるカップ麺は格別。自然の風や海の香りが、最高の味付けになります。

二人でざっと、アジゴが50匹以上は釣れたでしょうか?晩ご飯のおかずを確保できました。笑。

仕事も趣味も心ゆくまで愉しむこと…プロとして本当に大事な考えだと思います。我々が、渡り合うのは中小企業経営者。いわば仕事と遊びの達人です。様々な苦労をし、楽しみを味わい、外部環境の荒波に乗りながら経営という航海にチャレンジする人たち。

我々自身が人生を愉しむと言うことが、一人でも多くの経営者と寄り添うきっかけになるのではないだろうか…と言う話を深め合えた、楽しいひとときでした。

高取くん、また行こうね。

Partnership concept on blackboard

投稿日: 2020年9月2日 | 8:04 pm

経済雑誌「Kin Chu」(近代中小企業)に掲載されました!〜取材企業:(株)ダケシタ

ホームページを開設し、ブログ執筆を始めてから3年8ヶ月経ちました。ホームページを活性化させる一番いい方法は、「ブログを書き続けること」だというITコンサルタントの友人からアドバイスされましたが、その効果をしみじみと噛み締めている今日この頃です。

7月のことでした。ホームページ経由のメールに、出版社「中小企業経営研究会」から原稿執筆の依頼が、届きました。「突然のメールで失礼します…」本当に突然です。笑

依頼内容は、「コロナ情勢を新しい取り組みで生き残った企業」の特集記事を書いてくれないか?というもの。小生のブログをたまたま読んだ担当の目に留まったようです。

取材対象は、小生の大切なクライアント(株)ダケシタに決めました。アパレル小売業という、コロナの経済的な影響をモロに食らっている中、逆張り経営をブレずに実践する姿を、広く知って欲しいと思ったからです。

記事を書いても選出されない場合もあり、執筆を躊躇しましたが、挑戦してよかったと思います。本日発刊された9月号に掲載されました。

大切なクライアントの活動内容や企業努力、そして素敵なスタッフたちの頑張る姿を執筆して、広報するというのは中小企業診断士にとって至上の喜びです。

取材を快諾してくれた嵩下専務、何より理念経営を実践すべく普段の努力を怠らずに頑張っているスタッフのみんなのおかげです。本当にありがとう。みんなの頑張りが、広く多くの企業経営者に届けば素晴らしい。

 

記事を読みたいとご希望の方は、以下をクリックしてください。

04-07-09エイチ・コンサルティング

 

投稿日: 2020年9月1日 | 5:00 pm

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【36】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:単年度経営計画書策定支援ー2】

外部環境に翻弄されやすく、大きな影響を受ける中小企業経営においては、外部環境の影響を受けてもできる限り小さくする仕組みづくりに取り組む必要があります。

そのひとつが、経営計画書(事業計画書)作りなのですが、”備えあれば憂いなし”という言葉あるように、経営という航海において、進むべき正しい方向性を示してくれるツールの存在は、実にありがたいものです。

当然のことながら、数字の羅列だけでは説得力に欠けます。というより説得力ゼロ!です。単年度経営計画書の内容は、アクションプランが中核を成します。まず、前期(今期)の振り返りをし、来期の展望と成長プランを考察します。

行動なき成長はありませんから、行動(アクション)計画の立案を”できるだけ具体的に”記載していきます。フォーマットで言うと、縦軸にアクション項目(内容)を優先順位の高い順番で決めていきます。横軸は、各月(半年から1年、四半期ごとでもいい)を記載します。

表の中は、具体的なアクションを5W2Hで議論、決定、記載していきます。

行動計画は、具体的でないと実行のモチベーションが上がりません。

中学高校の時の試験対策を思い出してください。「がんばる」よりも「◯◯と⬜︎⬜︎を、いつまでに終了させる」と記載した方が、頭の中がクリアになって”燃えて”きますよね。

単年度経営計画書も然り。部署ごとの幹部が、その部署のアクションプランを自主的に自律して考察し、決めていくところに意味があります。

上層部から押し付けられた計画ではない、自らが自らにコミットした内容です

経営首脳部は、企業全体の中期ビジョンを考察していきます。また、会議体系や研修制度なども考察していく役割を担います。

投稿日: 2020年8月31日 | 10:58 pm

『燃える人事考課制度』のメカニズムー6

【人事考課制度設置の期待と成果】

中小企業の人事考課・評価制度は、未整備のまま経営を継続している企業が多い実態があります。理由は様々ですが、「必要性は感じているが、作り方が分からない。」というのがそのほとんどでしょう。

中小企業経営の多くが、可能な限り”公平”な人事考課評価制度を求めています。というより、必要な現状があります。

いきなり理解が困難な制度は、かえって混乱を招きかねませんが、組織の現状に馴染んだ制度を構築することがベターです。

人事考課制度を設置する期待は、組織の中に燻っている場合が多い。人事に関するテーマは、非常に価値が高く中小企業経営が直面する最大の課題といえます。何度も言いますが、「ヒト(人財)がモノを創り(仕入れ)、カネを稼ぎ出す」からです。

”燃える人事考課制度”は、これまで散見された”あまり良くない制度”の盲点を突き、弱点を克服した制度です。

人事考課制度は、面談を重視しなければなりません。面談といっても、「あなたの給与、賞与はこうなるよ」などといった味も素っ気もない結果報告面談ではありません。

考課者と被考課者が、評価のプロセスと結果を議論し合いながら採点する面談です。当然のことながら、考課者(上司や幹部)の姿勢・知識・スキルも見られている訳です。

正しい公平な人事考課制度を設置すると、社員のモチベーションが上がっていきます。逆にいうと、モチベーションが上がらない人事考課制度は、”デタラメ”です。

モチベーションが上がると、経営のパフォーマンスも上がっていきます。いい品質を提供しようと努力しますし、顧客満足度を高めようと努力する組織になるでしょう。

結果、業績に寄与していきます。モチベーションが高い企業は、結果的業績も高いという明らかな因果関係があるからです。

投稿日: 2020年8月30日 | 11:12 pm

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【35】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:単年度経営計画書策定支援−1】

経営計画書と聞いて、多くの経営者の皆様が様々な思いを巡らされることと推察されます。中小企業経営者は、”計画を立てることが苦手”だと思う方が多い(もちろん、そうでない方もいらっしゃます)傾向にあります。

例えば、会計事務所や税理士が作る経営計画書といえば、数字を羅列しただけの業績推移計画書が多い傾向があります。

そして、中小企業診断士も経営計画書を策定する支援をする専門家ですが、診断士が独断と偏見で策定してしまうことも多い。

単年度経営計画書は、企業の”羅針盤”です。弊社では中小企業経営を、航海に例えて考えています。方向性を示す羅針盤は、時に安心感を与え時に正しい進路を確認できるありがたいツールです。

中小企業診断士は、経営計画書を策定する支援ができます。そしてこの支援は、定期的に顧問としてクライアントを様々な角度から支援できるベーシック・コンサルティングにつながるものです。

気をつけなければならないのは、経営計画書の納得性です。誰が納得するのか?中小企業診断士(経営コンサルタント)ではありません。経営者や幹部、社員が納得することが重要です。

そのためには、できるだけ多くのメンバー(経営陣、幹部、スタッフ)の想いを込めた経営計画書を策定する必要があります。

形式は研修スタイルがベスト。1日または2日間に渡り、自社の方向性や投下予定戦略をじっくりと考察する時間です。

では、どんな内容を盛り込むべきか?次回ご紹介します。

投稿日: 2020年8月29日 | 10:28 pm