貯信は貯金に勝る

中小企業経営は、資金繰りとの戦いである一面があります。特に創業期においては、資金不足に陥るリスクと背中合わせのときもあります。それだけに資金繰り管理が重要になってくるわけですが…。

大企業経営と違い、潤沢な内部留保に裏付けされたオペレーションが困難な中小企業経営は、何よりも”信用力”が大切です。信用を貯めていくことを”貯信(ちょしん)”と言います。何も難しいことを言っているわけではありません。ごくごく当たり前の”信用を蓄積していく”経営のことなのです。

例えば「納期を守る」「クレームに真摯に対応する」「支払い期限を守る」「アポイントの約束を守る」などの基本的なことです。この基本をなかなか守らない中小企業が割と多いのです。

ずさんな企業経営は、信用力を著しく低下させます。何より、ステークホルダーからの信用力は、経営を直撃し「支えられない経営」というイメージを植え付けてしまいます。

経営会議で決定したことを遵守し、実直に実行することも重要です。コンサルタントと徹底議論し、決定した施策をいとも簡単に変更したり、全く改善実行に着手しなかったりする経営者に時々会いますが、現状回復した事例は皆無です。

”貯信は貯金に勝る”…このことは、僕のコンサルティング活動から導いた結論ですが、信用力が乏しい経営は「資金が底をついた」途端に、坂道を転げ落ちるように経営状況が悪化していきます。

ですので、信用力を貯めていく経営を日頃からいかに実践しているか…今一度振り返ってみましょう。

投稿日: 2020年12月21日 | 5:11 am

経営者が会議などで訓話するとき…。

中小企業診断士は、基本的に経営者をリスペクトしなければならない…というのが僕の持論です。ただし、リスペクトに値する経営者ならば…です。スタッフを数名以上雇用している経営者ならば、経営者として”あるべき姿”を追求していって欲しいと願います。

経営者としての資質は、様々な角度から測定・検証することができますが、例えば社員を”やる気にさせる能力”がその最も最たるものと言えます。

具体的言動は、会議や朝礼などのスタッフに対するメッセージを送るときに現れてきます。経営者の最大の仕事は何か?「お金の管理?」「トップセールス?」「商品開発?」どれも重要なミッションです。しかし最も重要な仕事は「社員のモチベーションを上げること」だと言えます。社員のモチベーションが、結果的な経営パフォーマンスに大きな影響を与えることは、経営研究結果として実証されています。

特に、会議や朝礼ではその役割は重要です。間違っても、全社員の前で公開処刑のような「お叱り」「説教」は控えましょう。

ですので、経営者はメッセージを伝える”想いの伝道力”が問われます。社員は恐ろしいほどに”社長の背中”を見ています。その社長から発声られる言葉ひとつひとつに一喜一憂するものです。

幹部会議や経営会議において、社長が社員に対して訓話する時はポジティブで前向きな、”社員がアゲアゲになる”メッセージを送ってください。そのメッセージがブレない信念に基づいた内容であればあるほど、社員からのリスペクトは高まります。

リスペクトされない経営者は、早晩社員から見放されていくものです。このことは幹部も同じですが…。

投稿日: 2020年12月19日 | 6:38 am

”やり方”や”手法”といった方法論に惑わされない…。

書店のコーナーに立ち並ぶ、様々なビジネス書の数々。本当に多くの書籍が立ち並んでいますよね。

大手コンサルティング会社が出版したものから、まだまだこれからという方々が書かれた書籍まで、種々様々です。仕事柄、必ずチェックするコーナーではありますが、正直「読むに値しない本が多いな…」と思います。もちろん、方法や手法は学ぶに値しますよ、念のため。ただし、表題に「絶対成功する◯◯」とか「必ず売れる◯◯」といったタイトルが書かれている本は、絶対にお勧めしません。

ビジスネ書で読むに値する本は、選んだ方がいいというのが、僕の結論です。ただでさえ、忙しい中です。効率的・効果的に知識の蓄積をしていきたいですよね。

一番おすすめできるビジネス書のタイプは、「実例に基づいた物語」そして「経済小説」(フィクションでいい)です。

経済小説?と思う人もいると思いますが、そこに書かれている喜怒哀楽物語は、コンサルティング・プレゼンや講演講師のレクチャー時に大いに役立ちます。

僕もビジネス書を書きますが、できるだけ「成功例・失敗例」といった事例に基づいた経験談を執筆します。

あるべき論は机上の空論であり、三現主義(現地、現実、現物)とはかけ離れた内容になる場合が多い。そして、ノウハウに頼るようなコンサルティングは、クライアントから見透かされます。経営も然り、テクニックに走る経営はお客様から見透かされます。

大事なのは、何事もハート(心)、情熱です。熱意(エネルギー)と言ってもいいでしょう。

よく、精神論だけでは戦えないと言いますよね。当然です。超越した情報化社会の今日、コンサルティングも経営も精神論だけでは勝てません。

しかし、「精神論だけでは戦えませんが、精神論がないと戦えない」のも真実です。

ですので、書店に行ってビジネス書を探索するときは、あるべき・テクニック・方法…を列挙した書籍は避けましょう。

露骨に模倣するつもりなら話は別ですが。プロコンならば、ノウハウは自分で開発していきたいものです。

 

 

投稿日: 2020年12月10日 | 10:56 pm

もっと”いい会社”に…

長野県伊那市にある伊那食品工業株式会社。7年ほど前の前職(会計事務所)勤務時代に、企業視察旅行研修を企画して訪れた時のことを思い出します。伊那市という、決して都会とは言えない町中に広大な敷地を持ち、地域住民の方々から愛されてやまない伊那食品工業の取り組みは、プロコンとしての僕のハートを刺激しました。

伊那食品工業の経営理念(企業理念)は「いい会社をつくりましょう 〜たくましく、そして やさしく〜」です。いつ読んでも、ストレートで熱く、想いの込められたフレーズだと感激します。

中小企業診断士として、現場を駆け回っていると全ての中小企業が「いい会社」として成長してほしいと思います。伊那食品では、「いい会社」を「単に数字上の業績が良いというだけでなく、会社を取り巻くすべての人が”いい会社だね”と言ってくださる会社」(伊那食品工業ホームページから抜粋)と定義しています。

まさにその通りだと思う。周りの人は俯瞰して第三者的に評価をくだすでしょう。周囲から「いい会社だね」と言ってもらえるような会社に勤務すること…それは、ハッピーという言葉で表される現象です。

”いい会社”は、メンバーのモチベーションが高い。言われたことだけでなく、自ら様々なことを考察し提案します。そんな社風を形成しています。逆に何も言えない、発言できないような社風は、モチベーションを著しく下げ、成長を促すことができません。

社員の成長は、会社の成長に直結します。会社は”ヒト=人材・人財”の集合体だからです。

また、”いい会社”として周囲に認められると、”選ばれる会社”になります。人材から、取引先から、ステークホルダーから…。選ばれる会社になることが、最高の企業ブランディング現象です。

まだまだ、「業績が高い会社=いい会社」という勘違いをなさっている方々が多い。業績はあくまでも結果減少であり、「いい会社」として評価された結果なのです。

「業績がいいから”いい会社”とは限らない。”いい会社”だから業績がいい。」のです。

投稿日: 2020年12月7日 | 6:56 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【45】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:新入社員研修会−②】

前回日に引き続き、新入社員研修会のベターパフォーマンスについて考察していきます。階層別研修会の中でも、新入社員研修会は特に重要な意味合いを持ちます。対象が新卒や既卒(第二新卒)ならば尚更です。彼ら彼女たちは、期待と不安を抱えながら入社します。不安を少しでも払拭し、期待をさらに大きくできるいい機会だからです。

経済団体や経営コンサルタント会社が開催する、集合型の新入社員研修会があります。内容は、新社会人としての基本的なマインドと基本的な動作(所作)について…です。どの会社やどの業種・業態にも通用する共通内容的な研修会ですので、ある意味それだけでは不十分です。

そこには、個別具体的な研修内容が含まれていません。それは、独自の経営理念の周知理解を促す内容や自社の経営方針に関する内容です。

何事も大切なのは”心””ハート””マインド”です。所作的な技術は、二の次でいい。まず、新入社員に伝えて理解を促すべき内容は、「我が社の価値観」と「我が社の方針(向かうべき方向)」です。

したがって、所作・接遇などの技術的な研修と併用(できれば先行)して、自社独自のプログラムとカリキュラムを立案して、研修会を実施していくことが大切です。

その際、ユニークで興味深い内容を盛り込むこと。圧迫型で厳しいだけの研修会が求められる時代は、とうの昔に終焉しました。

例えば、エンターテイメント性を盛り込んだワークやチーム対抗で競うようなプログラム。厳しい中でも一生の思い出に残るような研修内容で、新入社員を迎え入れたいものです。

投稿日: 2020年12月6日 | 9:22 pm

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【44】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:新入社員研修会−①】

年末になり、企業においては人財採用がさらに活発化してくる時期です。特に人本主義経営を実践すべき中小企業においては、来年4月に入社してくる(新卒)新入社員の研修会を企画・予算だてする頃でしょう。

新入社員研修会は、どんな規模の企業においても必須の取り組みです。「いや〜うちは零細企業だから…」とか「予算立てしてまで、実施する余裕がない」などの理由で向き合わなければ、大切な人材が育つことなく退職してしまう事態になりかねません。

企業は最終教育機関ですから、「社会人を育てる機関である」企業の社会的責任はとてつもなく大きいのです。

さて、新入社員研修会を担うのは、インストラクターが多いのですが経営コンサルタントである中小企業診断士も、お仕事として依頼されることがあります。実際に僕もお手伝いしています。

ひと昔前と違い、圧迫型の研修会は古い…という内容を以前のブログで書きましたが、新入社員研修会も工夫が必要です。どんな工夫かというと「参加者が厳しくも楽しめる研修内容を企画立案する」ということです。

”鉄は熱いうちに打て”と言いますが、”打ち方”が変化しているのでしょう。特に新入社員研修会においては、企業側は「Welcome Our Company!」というマインドを持って研修内容を立案することが重要です。

社会の厳しさを教えることはもちろん重要です。社会の厳しさは、働いていると必ずぶち当たる壁ですから、研修会ではあえてそれを植え付けるのでなく、「なぜ、人は働くのか?」などの目的意識を徹底理解してもらう内容にしましょう。

投稿日: 2020年12月3日 | 10:41 pm

企業が新規拠点進出(新店舗出店)を考えるとき

8年前にコンサルティング支援をしていた会社…。当時は新進気鋭のオペレーションで、躍進中の会社でした。あるきっかけで、コンサル支援が終了し(関係が悪くなったわけではないですよ…念のため 笑)、あれから8年。閉店しているお店を見かけました。

度重なる出店戦略のため、資金繰りが大変なことになっているという話は聞いていましたが、閉店しているお店を見ると、悲しい気持ちになりました。

当時から社長は積極戦略を敢行する方で、少し”危ないな”との感覚がありましたが、支援を終了した以上、助言もできずに現在に至ることになりました。聞いた話では、積極路線を勧めるコンサルタントが入っているとのことでしたが、行き過ぎた出店戦略が裏目に出た結果でしょうか。

コロナ禍の影響も打撃だったのでしょう。この難局を何とか切り抜けてほしいと切に願います。

企業が新しい拠点や店舗を構えるとき、重要な判断基準として「任せるリーダー(拠点長)が存在するかどうか?」があります。

間違っても損得判断(儲かりそうな立地や環境)で意思決定しないこと…です。

会社の経営理念を体現でき、メンバーに伝えることができ、共有・浸透させることができ、率先垂範できるリーダー。そんな拠点長が育ったと思う時に、新規拠点進出を構想しましょう。

そんなことではタイミングが合わない…とお考えの経営者もいらっしゃるでしょう。

だから、来るべきチャンス(機会)に備えて、日頃から人財育成に向き合ったかどうかが問われるのです。

投稿日: 2020年12月1日 | 5:22 am

経営の足腰(基盤)を強化する方法

コロナ禍における第3波が到来している今日この頃ですが、飲食店を中心に存続が危ぶまれる会社も多いですよね。このような外部環境(自助努力では如何ともしがたい環境)には、適応していくことが重要…と思います。しかし、適応という言葉を具体的に噛み砕いて説明できるコンサルタントが、どれだけいるでしょうか?

経営は足腰が必要です。経営基盤と呼ばれるもので、建物で言うと”基礎”のようなものです。この基盤が強ければ強いほど、外部環境に翻弄されにくい経営体質を作り上げることができます。この基盤の正体は…?

結論を言うと、”顧客の数(絶対数)”です。

経営や商売において、最も重要な指標である「売上高」。収益の源泉であり、お客様満足度を測定できる指標でもあります。

この売上高は、掛け算で表すことができます。様々な公式がありますが、マーケティングの観点からすると…。

売上高=客数 × 客単価

という公式です。ここで重要なのは「客数」という要素。客数は、「たまたまお買い上げになったお客様」ではなく、自社商品を”是非欲しい”として「わざわざお買い上げいただいたお客様」のことを指します。

このようなお客様を「顧客」と呼びます。別の言い方をすれば、「ファン」ということになります。

コロナ禍のような緊急発生的な経済情勢の時、”適応”という言葉で表される経営戦略は、実は「客数(顧客数)」を増やしていく地道な作業のことを言います(他にもあります…念のため)。

顧客数が月々、年々増えていっている会社は足腰(基盤)が強い!そして、一時的に売上がダウンしても、ファンは必ず戻ってきます。緊急事態が過ぎ去った後の回復力も早い。

困るのは日頃からお客様目線ではない商売に徹し、損得勘定・損得判断の経営をされている会社・企業です。

特にコロナ禍のような、経済情勢が到来すると「一人一人(一社一社)のお客様満足度に真摯に向き合っているか?」そして、「顧客(ファン)となってもらうような努力をしているか?」が問われます。

日頃の経営努力が試される機会となるのです。

投稿日: 2020年11月30日 | 7:48 am

足跡(あしあと)〜NIHILストーリー〜

佐賀市巨瀬町(こせまち)某所にある、フルハンドメイド・シューズの工房「NIHIL(ニヒル)」。今日は、代表の古賀幸仁(こうじん)さんとの作戦会議でした。革靴の工房と言えど、コロナ禍の影響を受けています。完全来店型の「NIHIL」では当然の現象なのでしょう。

NIHILはお客様にご来店いただくか、代表の幸仁さんが道具一式を抱えてお客様のところに出かけるか、どちらかの方法でないと製造に取り掛かることができません。なぜなら、”徹底した採寸”によるにより、お客様ひとりひとりの「脚の特徴」に合わせた「世界でただ一つの自分だけの靴」を創っているからです。

ミリ単位の違いを見逃さない”経験と感性”、妥協を許さない採寸作業は、NIHILブランドの「吸い付くようなフィット感」を完成させます。

NIHILで生み出される革靴(まさに芸術作品です)は、bespoke shoes(ビスポーク・シューズ)と言われるジャンルです。革靴の製造方法としては最高峰の製法で、セミオーダーやフルオーダーとは全く違う考え方と価値観から生み出されます。bespoke(ビスポーク)というのは、「会話をしながら」に由来していると言われており、お客様とまた「素材の皮革」との会話を重視する製法です。

「bespoke」という概念に、「NIHIL流 ハンドソーンウェルテッド製法」を織り交ぜた超高品質革靴は、一生履き続けられる「自分だけの革靴」として、お客様の心を掴んでいきます。

今日の作戦会議は、中長期を見据えたブランディング戦略についてじっくりと議論できました。

一切の妥協を許さない、「材料・材質のセレクト」「徹底した採寸と木型の製造」「試し履きによる度重なる修正」「経験に裏付けされた自信と覚悟」そして「技術」…。それは一足100万円を超える商品価値があると算定しています。

材料の皮革は、一足の受注に対して「皮一枚全部」を仕入れます。一枚の皮から、最適な部分を目利きして使用するところも、NIHILならではという超高品質の秘密。

年間の製造数は、完全セル生産のため20足しかできません。製造スタッフを雇用して分業制にすれば良いのではないか?と考えますが、それはできない。各工程の関連性を熟知していないと、「NIHILが醸し出す”吸い付くようなフィット感”」は実現できないのだそうです。

「ビジネスに徹するならば簡単。オーダーメイドという言葉を並べて、オリジナル感をお客様にお伝えすればいい…。だけど僕は、bespoke(ビスポーク)という最高峰の製法を極めて、本物を探究していきたいのです。」とは店主・古賀幸仁(こうじん)さんの言葉。

中小企業診断士として、寄り添いながら育てていきたい、小さな小さな工房です。

「NIHIL bespoke shoe」のギャラリー兼工房は、大人の空間です。店主が容れてくれた「ドリップコーヒー」を飲みながら、「世界でただ一つの自分だけの、一生ものの革靴」について会話してみませんか?

 

 

 

投稿日: 2020年11月26日 | 11:06 pm

『燃える人事考課制度』のメカニズムー13

【評価基準の制定方法−1 グラデーションの付け方】

久しぶりに人事考課制度について書きます。

”使えない人事考課制度あるある”の話をしましょう。評価基準を”言語化”せずに、段階を数字だけで表している評価制度があります。1〜5という段階が一般的ですが、1というのがどのような状態か…全く測定できない設定方法です。

測定するのが困難な人事評価は、評価点数がブレまくり考課されるスタッフのモチベーションが著しく下がります。

何度も言いますが、人事考課制度の目的を明確にしておかないと失敗してしまいます。失敗とは、”使えなくなる”という現象のことです。高いコストを投じて導入した制度が、全く使えなくなると悲劇です。

僕が推奨している”燃える人事考課制度”は、評価基準のグラデーションを重視しています。1の段階の評価をされたら、2の段階になるためには「どんな状態に成長すれば良いか?」を明確にしているのです。

この方法は、社員の成長プロセスを設定することと同様の効果をもたらします。人事考課制度は、”人を評価すること”が目的ではありません。”メンバーのモチベーションを上げること”が目的なのです。

人は明確な目標と、そこに至るプロセスが分かっていれば、自ら歩き出そうとします。成長プロセスが明確でもないのに「頑張れ!」と言われても、「何を頑張れば良いか分からない」という状態に陥り、モチベーションが下がっていきます。

また、「1の段階を踏まえて2に上がる」というルールも大切です。例えば、「2の状態がクリアできていないのに、4の評価点数をつける」ことはあり得ないのです。なぜ?成長プロセスだからです。

投稿日: 2020年11月25日 | 11:36 pm