経営の足腰(基盤)を強化する方法

コロナ禍における第3波が到来している今日この頃ですが、飲食店を中心に存続が危ぶまれる会社も多いですよね。このような外部環境(自助努力では如何ともしがたい環境)には、適応していくことが重要…と思います。しかし、適応という言葉を具体的に噛み砕いて説明できるコンサルタントが、どれだけいるでしょうか?

経営は足腰が必要です。経営基盤と呼ばれるもので、建物で言うと”基礎”のようなものです。この基盤が強ければ強いほど、外部環境に翻弄されにくい経営体質を作り上げることができます。この基盤の正体は…?

結論を言うと、”顧客の数(絶対数)”です。

経営や商売において、最も重要な指標である「売上高」。収益の源泉であり、お客様満足度を測定できる指標でもあります。

この売上高は、掛け算で表すことができます。様々な公式がありますが、マーケティングの観点からすると…。

売上高=客数 × 客単価

という公式です。ここで重要なのは「客数」という要素。客数は、「たまたまお買い上げになったお客様」ではなく、自社商品を”是非欲しい”として「わざわざお買い上げいただいたお客様」のことを指します。

このようなお客様を「顧客」と呼びます。別の言い方をすれば、「ファン」ということになります。

コロナ禍のような緊急発生的な経済情勢の時、”適応”という言葉で表される経営戦略は、実は「客数(顧客数)」を増やしていく地道な作業のことを言います(他にもあります…念のため)。

顧客数が月々、年々増えていっている会社は足腰(基盤)が強い!そして、一時的に売上がダウンしても、ファンは必ず戻ってきます。緊急事態が過ぎ去った後の回復力も早い。

困るのは日頃からお客様目線ではない商売に徹し、損得勘定・損得判断の経営をされている会社・企業です。

特にコロナ禍のような、経済情勢が到来すると「一人一人(一社一社)のお客様満足度に真摯に向き合っているか?」そして、「顧客(ファン)となってもらうような努力をしているか?」が問われます。

日頃の経営努力が試される機会となるのです。

投稿日: 2020年11月30日 | 7:48 am

足跡(あしあと)〜NIHILストーリー〜

佐賀市巨瀬町(こせまち)某所にある、フルハンドメイド・シューズの工房「NIHIL(ニヒル)」。今日は、代表の古賀幸仁(こうじん)さんとの作戦会議でした。革靴の工房と言えど、コロナ禍の影響を受けています。完全来店型の「NIHIL」では当然の現象なのでしょう。

NIHILはお客様にご来店いただくか、代表の幸仁さんが道具一式を抱えてお客様のところに出かけるか、どちらかの方法でないと製造に取り掛かることができません。なぜなら、”徹底した採寸”によるにより、お客様ひとりひとりの「脚の特徴」に合わせた「世界でただ一つの自分だけの靴」を創っているからです。

ミリ単位の違いを見逃さない”経験と感性”、妥協を許さない採寸作業は、NIHILブランドの「吸い付くようなフィット感」を完成させます。

NIHILで生み出される革靴(まさに芸術作品です)は、bespoke shoes(ビスポーク・シューズ)と言われるジャンルです。革靴の製造方法としては最高峰の製法で、セミオーダーやフルオーダーとは全く違う考え方と価値観から生み出されます。bespoke(ビスポーク)というのは、「会話をしながら」に由来していると言われており、お客様とまた「素材の皮革」との会話を重視する製法です。

「bespoke」という概念に、「NIHIL流 ハンドソーンウェルテッド製法」を織り交ぜた超高品質革靴は、一生履き続けられる「自分だけの革靴」として、お客様の心を掴んでいきます。

今日の作戦会議は、中長期を見据えたブランディング戦略についてじっくりと議論できました。

一切の妥協を許さない、「材料・材質のセレクト」「徹底した採寸と木型の製造」「試し履きによる度重なる修正」「経験に裏付けされた自信と覚悟」そして「技術」…。それは一足100万円を超える商品価値があると算定しています。

材料の皮革は、一足の受注に対して「皮一枚全部」を仕入れます。一枚の皮から、最適な部分を目利きして使用するところも、NIHILならではという超高品質の秘密。

年間の製造数は、完全セル生産のため20足しかできません。製造スタッフを雇用して分業制にすれば良いのではないか?と考えますが、それはできない。各工程の関連性を熟知していないと、「NIHILが醸し出す”吸い付くようなフィット感”」は実現できないのだそうです。

「ビジネスに徹するならば簡単。オーダーメイドという言葉を並べて、オリジナル感をお客様にお伝えすればいい…。だけど僕は、bespoke(ビスポーク)という最高峰の製法を極めて、本物を探究していきたいのです。」とは店主・古賀幸仁(こうじん)さんの言葉。

中小企業診断士として、寄り添いながら育てていきたい、小さな小さな工房です。

「NIHIL bespoke shoe」のギャラリー兼工房は、大人の空間です。店主が容れてくれた「ドリップコーヒー」を飲みながら、「世界でただ一つの自分だけの、一生ものの革靴」について会話してみませんか?

 

 

 

投稿日: 2020年11月26日 | 11:06 pm

『燃える人事考課制度』のメカニズムー13

【評価基準の制定方法−1 グラデーションの付け方】

久しぶりに人事考課制度について書きます。

”使えない人事考課制度あるある”の話をしましょう。評価基準を”言語化”せずに、段階を数字だけで表している評価制度があります。1〜5という段階が一般的ですが、1というのがどのような状態か…全く測定できない設定方法です。

測定するのが困難な人事評価は、評価点数がブレまくり考課されるスタッフのモチベーションが著しく下がります。

何度も言いますが、人事考課制度の目的を明確にしておかないと失敗してしまいます。失敗とは、”使えなくなる”という現象のことです。高いコストを投じて導入した制度が、全く使えなくなると悲劇です。

僕が推奨している”燃える人事考課制度”は、評価基準のグラデーションを重視しています。1の段階の評価をされたら、2の段階になるためには「どんな状態に成長すれば良いか?」を明確にしているのです。

この方法は、社員の成長プロセスを設定することと同様の効果をもたらします。人事考課制度は、”人を評価すること”が目的ではありません。”メンバーのモチベーションを上げること”が目的なのです。

人は明確な目標と、そこに至るプロセスが分かっていれば、自ら歩き出そうとします。成長プロセスが明確でもないのに「頑張れ!」と言われても、「何を頑張れば良いか分からない」という状態に陥り、モチベーションが下がっていきます。

また、「1の段階を踏まえて2に上がる」というルールも大切です。例えば、「2の状態がクリアできていないのに、4の評価点数をつける」ことはあり得ないのです。なぜ?成長プロセスだからです。

投稿日: 2020年11月25日 | 11:36 pm

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【43】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:事業承継支援②】

事業承継問題が中小企業を取り巻く深刻な課題となったのは、つい最近のことではないでしょうか?僕が経営コンサルティングの業界に足を踏みれた25年ほど前は、あまり取り沙汰されない課題だったと記憶しています。

ここ10年ほどの内に、かなり大きな経営課題としてクローズアップされました。同時に、M&Aを手がける企業や経済団体が数多く出てきたようです。

M&Aはともかく、円滑な事業承継を支援して後世に価値ある企業を残していくような支援をするのは、中小企業診断士の大きなミッションだと考えています。

事業承継でなかなか上手くいかないケースが、「親子による承継」だということ。意外かもしれませんが、親子であるがゆえの、しがらみや複雑な感情が入り乱れ、難航するケースがあります。そのため、中小企業診断士などの外部専門家が介在して、調整する価値が生まれるわけです。

大切なのは、「親子だから当然に承継する」のでなく「適格者がたまたま子供だった」というのが、理想的な承継理由です。事業承継の優先順位は、「その人物が適格者かどうか?」です。それがスタッフ(社員)であったり役員であったり、または実子であったり”たまたま”する訳です。

調整役である外部専門家(ここではあえて、中小企業診断士と言います)は、承継者のセレクトから動機付け、アナウンス、そして構想書・計画書の策定…承継者の育成や伴走型の軌道化支援…などなど、そのミッションは多岐に渡ります。

いずれにせよ事業承継に関する課題は、現経営者が承継を本格的に考え始める前から構想を練り、「承継キックオフの年から遡って、10年に及ぶ計画書策定」からスタートすることが重要です。

投稿日: 2020年11月24日 | 6:17 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【42】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:事業承継支援①】

後継者に悩む経営者が多いご時世です。事業承継と言う経営課題に、様々な政策的支援がもたらされ、国を挙げて応援するという姿勢も理解できます。それだけ、事業承継問題が深刻となっている証左でしょう。

こういう経営課題が噴出すると、”経営コンサルタントの出番!”ということになります。特に国家資格ホルダーである中小企業診断士は、この課題解決に対して果敢に立ち向かわなければなりません。

事業承継問題解決の1番のコツは、「早め早めの準備」という一言に尽きます。10年後の承継自体を見据えた構想・計画・シミュレーションを立案しておくことです。この10年に及ぶ構想立案に、中小企業診断士の出番があるのです。

事業承継問題を「M&A」(吸収合併・買収)によって簡単に解決しようとするコンサルタント会社がありますが、あえて言いたいことがあります。M&Aは、事業承継における優先順位ナンバー1戦略ではない!と。

中小企業診断士としては、「後継者を育て、あるいは見つけて事業理念を引き継いでもらう」道筋を描く支援をすべきです。事業承継は詰まるところ、理念の承継です。また、そこに集う社員・メンバー、取引先(関係先)、お客様…そして企業ブランドの承継です。

企業というのは、右から左に売買されるような代物ではない!

もちろん、M&Aを否定している訳ではありません。現経営者の手腕では、「永続発展が望めない」や「スタッフ(社員)の幸せが望めない」、そして「社内に最適な承継人財がいない」という場合に、はじめてM&Aを選択するべきです。

投稿日: 2020年11月22日 | 11:48 pm

商売を知らない人のための商売の話ー2

「商売(経営)は”やり方”が重要なのでなく、”あり方”が問われる営みである」。この言葉は、法政大学大学院時代の恩師の言葉から引用したものです。何事も動機が大切で、僕のような仕事をしていると「この人は商売がうまくいくな…」とか、逆に「かなりご苦労されそうだな…」などと、経験による独特の臭いを感じるようになります。

そして、その直感はかなりの確率で当たります。まさに、「あり方=マインドやハートといった想いに裏付けされた商売の姿勢」が分水嶺となるのです。

経営のノウハウは、勉強すれば身に付けることができます。しかし、ノウハウに頼ってしまうとテクニックに走った商売になってしまいます。商売で最も大切なのは、従業員目線とお客様目線そして(仕入れ先などの)関係先目線に合わせた運営をすること…です。最も大切なのは、Win-Win-Winの三方良し経営です。

もう一つ、商売はお客様からお金をいただきますよね。何かをお金に変えているわけです。「何をお金に変えていますか?」という問いをセミナーなどで参加者に尋ねると、「???」という反応をされる方がほとんど。

お金に交換しているのは、商品ではありません。商品というのは、商売をする人の”想い”を形にしたものに過ぎない。”想い”というのは、商売人の努力や頑張りのことです。いわゆる「価値(Value)」と呼ばれるものです。

「価値をお客様に届けて、お金をいただく行為」これが商売の本質です。

ビジネスモデルの作り方、マーケティング戦略の立て方、事業計画の立て方…もちろん大切でしょう。

その前に…学ぶべき「商人(あきんど)学」というものがあるのです。

投稿日: 2020年11月18日 | 10:55 pm

商売を知らない人のための商売の話ー1

商工会議所などの経済団体が主催している、創業塾などのセミナー。これ自体はとても有意義な取り組みだと思っています。創業を促し、事業を応援して地域の活性化につなげることを応援する貴重な政策だと思います。

仕事柄、様々な創業塾的なセミナーにオブザーバー参加しましたが、多くの講師の先生方が肝心なことをお伝えされていない”残念感”を覚えることが結構あります(もちろん、そうでないセミナーもありますよ…笑)。

創業塾や創業セミナーの”あるあるメニュー”です。

⒈夢を実現するビジネスモデルの作り方

⒉強みを打ち出したコンセプトの作り方

⒊経理・会計の仕組みを学ぶ

⒋儲かる仕組みの作り方

⒌マーケティング戦略立案の方法

⒍人材の採用と育成方法

⒎融資を引き出す事業計画書の作り方

…う〜ん。目立つのは「◯◯の作り方」「◯◯の方法」などというメニューです。

現場型中小企業診断士、町医者型経営コンサルタントを自負(笑)する僕から見ると、肝心なポイントを押さえていません。

肝心なポイントとは、「商売は”やり方”が重要なのでなく、”あり方”が問われる営みである」ということです。

商売の方法やノウハウを学ぶのでなく、商売をする目的やマインド、ハートを確固とするための学びが重要です。つまり、何のために商売をスタートするか?何のために経営をするのか?という動機・価値観の確立です。

ただ単に「金儲がしたい」とか「会社からドロップアウトしたい」というボヤけた理由で商売が軌道に乗るほど、甘い世界ではないのです。

これから商売を始めたい人が、まず学ぶべきことは「何のために事業(商売)をするのか?」という目的の落とし込みです。この目的が魂まで響いていないと、事業(商売)自体の方向性がブレまくり、軌道化していくことが難しいのです。

※「軌道化」の定義…10年以上にわたり商売が発展継続すること

投稿日: 2020年11月17日 | 11:36 pm

中小零細企業の取るべき広報戦略

広告宣伝費予算に投下できる原資に限界がある、中小零細企業においては莫大な予算で広告投資をしてくる大企業とどう対峙していけばいいか…悩ましい課題ですよね。先日もクライアント(個人商店)の経営者から、広告代理店から提案されている広告商品を採用していいかどうか…という相談を受けました。

残念ながら、その広告商品に対し投下できる予算は捻出できる余裕がなく、「今回は見送ってください」との助言をさせていただたところでした。

中小零細企業ができる広告展開は、究極のところ「口コミを誘発する仕掛け」です。

何度も言いますが、中小零細企業は「弛まぬ企業努力に裏付けされたブランディング」に取り組むことが重要です。ブランディングの本質は「高品質・高価格・高付加価値」経営ですから、広告予算投下の前に品質(クオリティ)を上げるための予算投下が先決です。

マスメディア(テレビや新聞広告)を利用した、高額な広報展開は中小零細企業は慎重に検討する必要があります。極端にいうと、ある一定の規模になった時点で検討していい。

マスメディア広告を全く採用せずに、売上15億をたたき出す企業も知っていますし、広告は新規顧客の獲得を意図した戦略であることを忘れてはなりません。

あえて言えば、ホームページ制作による情報発信をすることが最も推奨する広報戦略です。

広告予算は経費でなく”投資”です。投資である以上、費用対効果を検証する必要があります。もちろん、考課=売上ではないことは認識しましょう。効果は「知名度」「新規問い合わせ数」「新規来店数」などなどで測定することが大切です。

投稿日: 2020年11月16日 | 11:13 pm

”コナイくん”シリーズ、漫画でフレンドリー紹介

昨日は熊本でご支援している、株式会社あんらくの訪問日でした。代表の安樂(あんらく)社長は生粋のヨットマン。小生もヨットに乗せてもらう人生の大先輩です。

安樂社長が紆余曲折の末に、完成させたのが”コナイくんシリーズ”。このブログでも何度か紹介していますが、実にユニークな商品です。

元々、鳥獣害対策を事業として手掛けていきた会社。お困りごと解決をノウハウにした開発は間違いのない商品を誕生させました。

今回紹介するのは、コナイくんⅢ型とⅣ型。

(Ⅲ型はこれ)

マスコットキャラクターの「コナイくん」です。小型で手軽。カワイイやつです。笑

(Ⅳ型はこれです)

農地における獣害対策のための撃退器具です。これは、ニーズが高いですよ!

イノシシを中心にした農地の被害は近年、特に甚大になってきています。Ⅳ型は、撃退器具として大いに期待されています。

今回、コナイくんシリーズの漫画が完成したので、ご紹介します。コナイくんⅢ型を、一人暮らしの高齢者の安否確認や、空き家の侵入者撃退で使用する例として紹介したものです。

漫画にするととても分かり易いですよね。まさにフレンドリー販促です。

一人ぐらしの高齢者(親や祖父母)の安否確認、農地の獣害対策はとても深刻な問題を抱えています。どれもこれから、絶対に必要となるニーズの高い課題でしょう。

コナイくん漫画表

コナイくん漫画裏

コナイくんシリーズについては、株式会社あんらくにお問い合わせください。

投稿日: 2020年11月14日 | 10:17 am

続・ホームページ制作と運用のコツ

前回に引き続き、ホームページに関する見解を述べます。ホームページは「”見るもの”であり”読むものではない”」と書きましたが、次に訴えたいのが、ホームページ自体に様々な工夫・演出をしていく「運用」というフェーズについてです。

ご存知のように、キーワード検索すると様々な情報ページが羅列されます。自社のホームページを特にお客様にアクセスしてほしいですよね。その場合、ホームページには常に”活性化”させることが重要になります。

ホームページを見てもらうと分かりますが、最新情報やニュース・トピックスが「一年前のもの」出会ったり、全く更新されていなかったりすると、見る側は「ガッカリ」してしまいます。古臭いイメージが植え付けられ、ブランド力は一気に低下していきます。

まさに、「ホームページなどない方がいい」状態になるわけです。

せっかくコストをかけてホームページを制作する訳ですから、最新の情報をアップすることは必須条件です。

自社の取り組みやプロとしての所見、ニュースや出来事、トピックスなどなど…描こうと思えばネタは無限にあるはずです。

最新情報のアップ頻度としては、最低でも週に一度。多くて3日に一度は更新したいものです。

また、写真や動画の撮り方も工夫しましょう。場合によっては、コストをかけてプロに撮影依頼することも重要です。もちろん、独学で学習しスキルアップすることもお勧めします。写真や動画は、明らかに訴求力を分けます。

いいホームページは、本当に「見やすく、美しい」。「この会社や商品をもっと知りたい」と思われるようなホームページ制作と運用を祈念いたします。

 

投稿日: 2020年11月13日 | 5:23 am