熱くならなきゃコンサルじゃない!

中小企業診断士のミッションは「価値と価値を掛け合わせて、新しい価値を創る(支援をする)」だと思っています。僕も12社ほどの定期顧問支援クライアント様がありますが、それぞれのクライアントには個別具体的な課題が存在しているものです。

これも僕の持論(信念)としている価値観ですが、「クライアントの課題を我が課題として取り組む」ということです。経営コンサルタントは、第3者的な立場から客観的に観察して助言するスキルが求められますが、「あまりにも俯瞰してしまう」とクライアントに寄り添った支援ができません。

プロコンである以上、クライアントの抱える課題やその解決に対して、一緒に熱くなって喜怒哀楽することが求められます。

以前にも書きましたが、中小企業診断士は先生ではありません。仕事柄「先生」と呼ばれることがありますが、姿勢やハートまで先生として接してしまうと「立ち位置」を誤ってしまいます。

立ち位置を誤ってしまうと、「クライアントの課題を解決するための、寄り添った支援」ができません。上から目線で助言したり、謙虚な行動ができなくなります。

経営コンサルタントは、クライアントと一緒に(同じ目線)課題に向き合い、時に熱くなり、時に冷静に判断していくことが大切です。熱くなっては物事を判断することができなくなる…と主張するコンサルタントもいますが、「燃え滾るような情熱と冷静な判断力」を持ち合わせてこそ、プロと言われるのではないでしょうか。

投稿日: 2020年12月24日 | 5:19 am

休みが増えれば生産性は下がるのか?

社員の休みが増えると稼働日数や稼働時間が絶対的に現象し、生産性(売上や製造成果)が減少すると考えている中小企業経営者は、意外と多いですね。もちろん、勤務日や休日のバランスは大切です。しかし、長時間におよぶ労働時間は帰って生産性を下げるという実例は、僕の経験上明確に断言できる現象です。

懇意にさせていただいている社長から、「会社の売上が120%以上で伸びていったのは、自分が現場に対して口を出さなくなったこと、そして休日を週休二日できちんと休むようにしてからなんだよね…」と言われたことがあります。

それまでは、厳しく社員を叱咤していたし、休日も月に5日ほどだった。これでは限界があると感じ、休日も8日に変更し、社員に対しても直接叱咤することをやめた…と。結果的に、モチベーションが飛躍的に上がり、会社の生産性は着実に向上したということです。

人間は機械ではない。機械も定期的なメンテナンスが必要ですよね。働くという行為も、休みやリフレッシュというリセットを通じて価値を上げていくと生産性は飛躍的に向上するものです。

経営者の最大の仕事は「社員・メンバーのモチベーションを上げること」というのは僕の変わらざる持論です。

そのためには、経営を支える幹部・リーダーの育成が絶対的に必要なのです。オンオフのスイッチを切り替えることができ、メリハリのある仕事が価値を高める…そんな意識を醸成する組織風土を育みたいものですね。

投稿日: 2020年12月23日 | 5:41 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【46】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:幹部・リーダーの育成】

中小企業診断士(経営コンサルタント)の仕事は、ある意味「人間ウォッチング・スキル」が試される仕事と言っても過言ではありません。何度も訴えていますが、中小企業経営の根幹はヒト(=人財)であるからです。

中小企業が成長段階にあるときは、ビジスネ拡大のチャンスです。このチャンスをものにするために、経営者がやるべきことは何でしょうか?もちろん新規出店や商品開発も大事でしょう。しかし、成長段階であるかゆえに最も大切なミッションは「幹部・リーダーの育成」であることを認識ましよう。

幹部・リーダーの育成に課題を持っている中小企業は意外と多い。逆に、しっかりした幹部が育てば経営者は様々な「社長業」に着手できます。育成方針はただ一つです。「経営理念の真意を理解し、伝え、組織浸透させることができる」幹部・リーダーの育成です。

間違っても、「(お金)を稼ぐ幹部」「技術を極めた幹部」という育成方針を打ち立ててはいけません。お金を稼ぐことや技術を高めることが、幹部の仕事ではありません。それは全てが結果現象。

リーダーは、組織をあるべき方向に導くスキルが最も求められます。

「自分は稼げるから」という理由で、部下を見下したり組織をまとめたるすることができない幹部・リーダーは、一歩間違えれば組織の規律を乱す人罪となりかねません。

中小企業診断士は、クライアントに寄り添う専門支援家として経営幹部・リーダーの育成プランを立案し、実行支援していくことが期待されますし、ニーズは高いです。

 

投稿日: 2020年12月22日 | 5:36 am

貯信は貯金に勝る

中小企業経営は、資金繰りとの戦いである一面があります。特に創業期においては、資金不足に陥るリスクと背中合わせのときもあります。それだけに資金繰り管理が重要になってくるわけですが…。

大企業経営と違い、潤沢な内部留保に裏付けされたオペレーションが困難な中小企業経営は、何よりも”信用力”が大切です。信用を貯めていくことを”貯信(ちょしん)”と言います。何も難しいことを言っているわけではありません。ごくごく当たり前の”信用を蓄積していく”経営のことなのです。

例えば「納期を守る」「クレームに真摯に対応する」「支払い期限を守る」「アポイントの約束を守る」などの基本的なことです。この基本をなかなか守らない中小企業が割と多いのです。

ずさんな企業経営は、信用力を著しく低下させます。何より、ステークホルダーからの信用力は、経営を直撃し「支えられない経営」というイメージを植え付けてしまいます。

経営会議で決定したことを遵守し、実直に実行することも重要です。コンサルタントと徹底議論し、決定した施策をいとも簡単に変更したり、全く改善実行に着手しなかったりする経営者に時々会いますが、現状回復した事例は皆無です。

”貯信は貯金に勝る”…このことは、僕のコンサルティング活動から導いた結論ですが、信用力が乏しい経営は「資金が底をついた」途端に、坂道を転げ落ちるように経営状況が悪化していきます。

ですので、信用力を貯めていく経営を日頃からいかに実践しているか…今一度振り返ってみましょう。

投稿日: 2020年12月21日 | 5:11 am

経営者が会議などで訓話するとき…。

中小企業診断士は、基本的に経営者をリスペクトしなければならない…というのが僕の持論です。ただし、リスペクトに値する経営者ならば…です。スタッフを数名以上雇用している経営者ならば、経営者として”あるべき姿”を追求していって欲しいと願います。

経営者としての資質は、様々な角度から測定・検証することができますが、例えば社員を”やる気にさせる能力”がその最も最たるものと言えます。

具体的言動は、会議や朝礼などのスタッフに対するメッセージを送るときに現れてきます。経営者の最大の仕事は何か?「お金の管理?」「トップセールス?」「商品開発?」どれも重要なミッションです。しかし最も重要な仕事は「社員のモチベーションを上げること」だと言えます。社員のモチベーションが、結果的な経営パフォーマンスに大きな影響を与えることは、経営研究結果として実証されています。

特に、会議や朝礼ではその役割は重要です。間違っても、全社員の前で公開処刑のような「お叱り」「説教」は控えましょう。

ですので、経営者はメッセージを伝える”想いの伝道力”が問われます。社員は恐ろしいほどに”社長の背中”を見ています。その社長から発声られる言葉ひとつひとつに一喜一憂するものです。

幹部会議や経営会議において、社長が社員に対して訓話する時はポジティブで前向きな、”社員がアゲアゲになる”メッセージを送ってください。そのメッセージがブレない信念に基づいた内容であればあるほど、社員からのリスペクトは高まります。

リスペクトされない経営者は、早晩社員から見放されていくものです。このことは幹部も同じですが…。

投稿日: 2020年12月19日 | 6:38 am

”やり方”や”手法”といった方法論に惑わされない…。

書店のコーナーに立ち並ぶ、様々なビジネス書の数々。本当に多くの書籍が立ち並んでいますよね。

大手コンサルティング会社が出版したものから、まだまだこれからという方々が書かれた書籍まで、種々様々です。仕事柄、必ずチェックするコーナーではありますが、正直「読むに値しない本が多いな…」と思います。もちろん、方法や手法は学ぶに値しますよ、念のため。ただし、表題に「絶対成功する◯◯」とか「必ず売れる◯◯」といったタイトルが書かれている本は、絶対にお勧めしません。

ビジスネ書で読むに値する本は、選んだ方がいいというのが、僕の結論です。ただでさえ、忙しい中です。効率的・効果的に知識の蓄積をしていきたいですよね。

一番おすすめできるビジネス書のタイプは、「実例に基づいた物語」そして「経済小説」(フィクションでいい)です。

経済小説?と思う人もいると思いますが、そこに書かれている喜怒哀楽物語は、コンサルティング・プレゼンや講演講師のレクチャー時に大いに役立ちます。

僕もビジネス書を書きますが、できるだけ「成功例・失敗例」といった事例に基づいた経験談を執筆します。

あるべき論は机上の空論であり、三現主義(現地、現実、現物)とはかけ離れた内容になる場合が多い。そして、ノウハウに頼るようなコンサルティングは、クライアントから見透かされます。経営も然り、テクニックに走る経営はお客様から見透かされます。

大事なのは、何事もハート(心)、情熱です。熱意(エネルギー)と言ってもいいでしょう。

よく、精神論だけでは戦えないと言いますよね。当然です。超越した情報化社会の今日、コンサルティングも経営も精神論だけでは勝てません。

しかし、「精神論だけでは戦えませんが、精神論がないと戦えない」のも真実です。

ですので、書店に行ってビジネス書を探索するときは、あるべき・テクニック・方法…を列挙した書籍は避けましょう。

露骨に模倣するつもりなら話は別ですが。プロコンならば、ノウハウは自分で開発していきたいものです。

 

 

投稿日: 2020年12月10日 | 10:56 pm

もっと”いい会社”に…

長野県伊那市にある伊那食品工業株式会社。7年ほど前の前職(会計事務所)勤務時代に、企業視察旅行研修を企画して訪れた時のことを思い出します。伊那市という、決して都会とは言えない町中に広大な敷地を持ち、地域住民の方々から愛されてやまない伊那食品工業の取り組みは、プロコンとしての僕のハートを刺激しました。

伊那食品工業の経営理念(企業理念)は「いい会社をつくりましょう 〜たくましく、そして やさしく〜」です。いつ読んでも、ストレートで熱く、想いの込められたフレーズだと感激します。

中小企業診断士として、現場を駆け回っていると全ての中小企業が「いい会社」として成長してほしいと思います。伊那食品では、「いい会社」を「単に数字上の業績が良いというだけでなく、会社を取り巻くすべての人が”いい会社だね”と言ってくださる会社」(伊那食品工業ホームページから抜粋)と定義しています。

まさにその通りだと思う。周りの人は俯瞰して第三者的に評価をくだすでしょう。周囲から「いい会社だね」と言ってもらえるような会社に勤務すること…それは、ハッピーという言葉で表される現象です。

”いい会社”は、メンバーのモチベーションが高い。言われたことだけでなく、自ら様々なことを考察し提案します。そんな社風を形成しています。逆に何も言えない、発言できないような社風は、モチベーションを著しく下げ、成長を促すことができません。

社員の成長は、会社の成長に直結します。会社は”ヒト=人材・人財”の集合体だからです。

また、”いい会社”として周囲に認められると、”選ばれる会社”になります。人材から、取引先から、ステークホルダーから…。選ばれる会社になることが、最高の企業ブランディング現象です。

まだまだ、「業績が高い会社=いい会社」という勘違いをなさっている方々が多い。業績はあくまでも結果減少であり、「いい会社」として評価された結果なのです。

「業績がいいから”いい会社”とは限らない。”いい会社”だから業績がいい。」のです。

投稿日: 2020年12月7日 | 6:56 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【45】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:新入社員研修会−②】

前回日に引き続き、新入社員研修会のベターパフォーマンスについて考察していきます。階層別研修会の中でも、新入社員研修会は特に重要な意味合いを持ちます。対象が新卒や既卒(第二新卒)ならば尚更です。彼ら彼女たちは、期待と不安を抱えながら入社します。不安を少しでも払拭し、期待をさらに大きくできるいい機会だからです。

経済団体や経営コンサルタント会社が開催する、集合型の新入社員研修会があります。内容は、新社会人としての基本的なマインドと基本的な動作(所作)について…です。どの会社やどの業種・業態にも通用する共通内容的な研修会ですので、ある意味それだけでは不十分です。

そこには、個別具体的な研修内容が含まれていません。それは、独自の経営理念の周知理解を促す内容や自社の経営方針に関する内容です。

何事も大切なのは”心””ハート””マインド”です。所作的な技術は、二の次でいい。まず、新入社員に伝えて理解を促すべき内容は、「我が社の価値観」と「我が社の方針(向かうべき方向)」です。

したがって、所作・接遇などの技術的な研修と併用(できれば先行)して、自社独自のプログラムとカリキュラムを立案して、研修会を実施していくことが大切です。

その際、ユニークで興味深い内容を盛り込むこと。圧迫型で厳しいだけの研修会が求められる時代は、とうの昔に終焉しました。

例えば、エンターテイメント性を盛り込んだワークやチーム対抗で競うようなプログラム。厳しい中でも一生の思い出に残るような研修内容で、新入社員を迎え入れたいものです。

投稿日: 2020年12月6日 | 9:22 pm

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【44】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:新入社員研修会−①】

年末になり、企業においては人財採用がさらに活発化してくる時期です。特に人本主義経営を実践すべき中小企業においては、来年4月に入社してくる(新卒)新入社員の研修会を企画・予算だてする頃でしょう。

新入社員研修会は、どんな規模の企業においても必須の取り組みです。「いや〜うちは零細企業だから…」とか「予算立てしてまで、実施する余裕がない」などの理由で向き合わなければ、大切な人材が育つことなく退職してしまう事態になりかねません。

企業は最終教育機関ですから、「社会人を育てる機関である」企業の社会的責任はとてつもなく大きいのです。

さて、新入社員研修会を担うのは、インストラクターが多いのですが経営コンサルタントである中小企業診断士も、お仕事として依頼されることがあります。実際に僕もお手伝いしています。

ひと昔前と違い、圧迫型の研修会は古い…という内容を以前のブログで書きましたが、新入社員研修会も工夫が必要です。どんな工夫かというと「参加者が厳しくも楽しめる研修内容を企画立案する」ということです。

”鉄は熱いうちに打て”と言いますが、”打ち方”が変化しているのでしょう。特に新入社員研修会においては、企業側は「Welcome Our Company!」というマインドを持って研修内容を立案することが重要です。

社会の厳しさを教えることはもちろん重要です。社会の厳しさは、働いていると必ずぶち当たる壁ですから、研修会ではあえてそれを植え付けるのでなく、「なぜ、人は働くのか?」などの目的意識を徹底理解してもらう内容にしましょう。

投稿日: 2020年12月3日 | 10:41 pm

企業が新規拠点進出(新店舗出店)を考えるとき

8年前にコンサルティング支援をしていた会社…。当時は新進気鋭のオペレーションで、躍進中の会社でした。あるきっかけで、コンサル支援が終了し(関係が悪くなったわけではないですよ…念のため 笑)、あれから8年。閉店しているお店を見かけました。

度重なる出店戦略のため、資金繰りが大変なことになっているという話は聞いていましたが、閉店しているお店を見ると、悲しい気持ちになりました。

当時から社長は積極戦略を敢行する方で、少し”危ないな”との感覚がありましたが、支援を終了した以上、助言もできずに現在に至ることになりました。聞いた話では、積極路線を勧めるコンサルタントが入っているとのことでしたが、行き過ぎた出店戦略が裏目に出た結果でしょうか。

コロナ禍の影響も打撃だったのでしょう。この難局を何とか切り抜けてほしいと切に願います。

企業が新しい拠点や店舗を構えるとき、重要な判断基準として「任せるリーダー(拠点長)が存在するかどうか?」があります。

間違っても損得判断(儲かりそうな立地や環境)で意思決定しないこと…です。

会社の経営理念を体現でき、メンバーに伝えることができ、共有・浸透させることができ、率先垂範できるリーダー。そんな拠点長が育ったと思う時に、新規拠点進出を構想しましょう。

そんなことではタイミングが合わない…とお考えの経営者もいらっしゃるでしょう。

だから、来るべきチャンス(機会)に備えて、日頃から人財育成に向き合ったかどうかが問われるのです。

投稿日: 2020年12月1日 | 5:22 am