性善説?性悪説?

中小企業経営の現場で、支援活動をしているとき、経営者から「性善説か?性悪説か?」と聞かれる時があります。これまで幾度となく、その議論をする場面に遭遇しましたが、あくまでも傾向としてですが、「社員は性悪説に基づく」という認識をされている経営者が多い気がします。

つまり、性悪説に基づいてマネジメントをしないと、社員は「楽をして、仕事をしなくなる」というもの。

あの未来工業の創業者、故・山田昭男氏も書籍の中で「僕は性悪説」と言われていました。しかし、山田氏の発言や書籍を、深く読み込むと、性善説に基づいて、社員を大切にする「愛情溢れた」経営をなさっていたことが、よく分かるものです。

最近、僕が行き着いた結論は、「性善説や性悪説」というものは「経営の環境や社風」によって左右されるということです。理想は性善説に基づいて、社員が自発的に仕事に邁進していくです。

結果として、経営者はマネジメント自体も楽になり、次の一手を考えることができるようになるからです。

これもあくまでも傾向ですが、性悪説に基づいたマネジメントは、社員の成長を阻害していきます。

そして、性悪説マネジメントを実行している中小企業が圧倒的に多い。

会社というのは、社会で最後の教育機関です。人間は一生学んでいく動物だと思います。

企業としては、社員は自発的・自主的・自律的に考え、行動していくような社風と仕組みを作ること。そしてこれが経営の最大の仕事なのだと、確信しています。

投稿日: 2021年3月30日 | 5:47 am

価格競争市場をどう捉えるか?

中小企業で取り扱う商品が、価格競争市場になったと思うときがあります。特に卸業や小売業に見られる現象です。

中小企業経営戦略の最大の大ブーは、価格競争であることは、このブログで再三訴えきました。この主張に変わりはありません。

資本力で劣る中小企業に、価格競争で打ち勝つことなど、不可能だからです。中小企業経営戦略の基本的な考え方は、「差別化=オンリーワン」戦略です。

ですので、我が社の商品が価格競争市場になってきたと思う兆候があったときは、速やかに差別化ポイント(独自のウリ=USP)を探索する必要があります。もちろん、探索というより「創造:しても構いません。

本当に価格競争を避けられない市場であったとき、その市場からは残念ながら撤退を考える必要があります。

これは、覚悟と勇気が必要な決断と言えます。問題はそのタイミングです。すでに、価格競争の真っ只中にあり、大手企業の攻勢に晒されているときは、すでにタイミングを逸した場合が多い。

新規事業や新商品開発戦略は、一筋縄では成立しない中長期的な戦略です。

ですので時流を読み、価格戦略に陥るようであれば、次の一手を考案し備えておく必要があります。

価格競争、中小企業経営の根幹である「高付加価値経営」の実現を著しく阻害します。粗利を稼ぐことができなければ、固定費や投資額がなくなっていきます。

つまり、戦略を立案し実行するという”打ち手”がなくなっていくのです。

次々と繰り出す(仕掛ける)経営戦略は、中小企業経営の基本です。そのため、価格競争市場には、特に敏感にアンテナを貼っておく必要があるのです。

投稿日: 2021年3月29日 | 6:01 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【49】

【中小企業診断士を志す仲間へのメッセージ−1】

数ある士業の中で、中小企業診断士は特異な国家資格であると言えましょう。独占業務はなく、名称独占の資格であるにもかかわらず、支援は非常に難しい。

試験範囲も非常に広域で、つかみ所がありません。勉強の方法も、特に2次試験などはセンスを問われます。ある意味正解のない答え(模範解答はあります)を導き出して、採点されます。

近年は、大学院をはじめ様々な機関が養成課程を開設し、2次試験を免除できるコースとして受験生を募っています。

ちなみに僕は、法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科(通称イノマネ)MBA特別プログラム(通称M特)第1期生です。

法政大学経営大学院の門をたたき、学んだことは僕の誇りであり、財産となっています。2次試験に挑戦するのもいいですが、チャンスがあれば大学院で学ぶのも大いに価値があります。

中小企業診断士2次試験は、事例をもとにロジックに基づいて、回答を記述していきます。事例の中の情報からはみ出すような、奇抜な解答はタブーとされます。

しかし、実務社会においては奇抜な経営戦略を立案し、実行する場合が往々にしてあります。

いやむしろ、尖った戦略の方が成果を期待できる場合があるのも事実です。

ですので、2次試験の事例問題のような経営課題にぶつかった時もオリジナル性に富んだ戦略が期待されます。

中小企業診断士は、クリエイティブな仕事です。戦略自体をクリエイトできる診断士を目指しましょう。

クライアントの制約条件を目一杯活用し、あらゆる知恵(叡智)を研ぎ澄ませた経営戦略を考案してください。

 

投稿日: 2021年3月24日 | 5:23 am

点でなく線でなく、面で戦う経営戦略

経営戦略の基本的な考え方は、総合的な視野や考察をしていくことです。例えば、個人でなくチームで、一つの商品でなく複数商品で、など…。

つまり依存度を高めていくと、うまく行かなかった時のリスクが大きいのです。

また、短期的視野よりも中長期的視野に基づいた立案をしなければなりません。まさに、点でなく線でもなく、面で立案する思考が求められるのです。

中小企業経営の現場を達観してみると、経営戦略のリスクを感じてしまう場面が多々あります。

短絡的な経営戦略は、リスクが大きい。もちろんリスクなき施策に成功もありません。ただ、乾坤一擲という場面の経営戦略においても、様々な角度からのシミュレーションが重要なのです。

金融機関からの融資政策も、同じ考え方が成り立ちます。借入も多面的に検証が必要です。闇雲に「資金繰りが厳しくなったから」と言った理由で借りてしまうと、非常に危険です。

財務戦略も多面的に検証し、考察しましょう。資金繰りの悪化は、経営の体力を著しく奪っていきます。

人財育成や採用戦略も同様です。

不足しているからとか、今足りないからとかいう理由で採用してしまうとリスクが大きい。中長期的な視野で計画した採用・育成プランに基づいて、戦略を立案・実施します。

中小企業の各種経営戦略は、短期・思いつき・行き当たりばったりは絶対にタブーです。取り返しのつかない失敗を回避するためにも、多面的に考察し、実行していきましょう。

投稿日: 2021年3月23日 | 5:41 am

経営パートナーはよく吟味して…

経営者は孤独である…よく言われる言葉ですよね。僕も、小さなコンサルオフィスを運営していますが、元々一人での経営ですので、孤独を感じることはあまりありません。

というより、様々な提携者(パートナー)とのご縁に恵まれていると思っています。

経営者にとってのパートナーは、よく吟味してセレクトすべし!と考えています。経営(商売)をしていると、実に様々な方々が、様々なことを提言してきます。しかし、そのほとんどが実態を知らずに言う”テキトー”な場合が多い。

そのため、その意見に翻弄され、経営戦略がブレまくる場合が多いです。経営パートナーとのセレクトは、「経営理念・企業理念」とのマッチングで判断する方がいい。

その理念に共感してもらっているか?アドバイスは、理念に反していないか?つまり、価値観への共感ということです。

間違っても、「そうした方が得だよ。」とか「そうすればもっと儲かるよ。」などといった損得判断に基づいたアドバイスは、受け入れないようにしましょう。何度も訴えていますが、経営は損得判断では失敗します。

経営判断は、善悪判断。目的(経営理念)にマッチしているか?で判断すべきです。

経営者には様々なアドバイザーが必要です。その典型例が士業(税理士や弁護士、社労士や診断士など)だと言えましょう。

士業の価値観も多様です。考え方に大きな違いがあります。

自分の価値観(経営理念)をよく理解して支援してくれる、士業専門家をセレクトしてください。

投稿日: 2021年3月22日 | 5:41 am

賞与(ボーナス)支給の考え方

賞与というのは、特段法律で定められているわけではない報酬です。しかし慣行によって、賞与を支給している会社が多い現状があります。給与と言うのは社員にとって、生活の糧です。ですので、少しで経済的に豊かな生活を送れるよう賞与を支給することは、個人的に推奨します。

ですが、せっかく用意した賞与が、社員の不満になったとしたらどうでしょう。経営者側からは、せっかく用意した賞与に不満を持たれると心外です。また社員側からすると、「この額?」などと不満を持つことは不幸です。

賞与に関して不満が発生する要因は、大きく3点あります。

①  賞与自体の金額が極端に少ない。同業他社や同規模企業と比較して、極端に少ない賞与は不満につながります。ただし、経営を考えた時、業績結果によって少ない額となってしまう事態も考えられます。その場合は、経営者自ら説明機会を設けてモチベーションケアを実施しましょう。

②  賞与自体の算出根拠がない。いわゆる経営者の”鉛筆ナメナメ”で決める賞与額は、不満を招きやすい。原資が限られている中小企業経営においては、ロジックに基づいた算出式を決めておきましょう。

③  経営者(幹部)自ら、面談をしながら支給する。賞与支給のタイミングは、個人面談をして日頃の就労を労い、双方向のコミュニケーションを実施するいい機会です。これがないと、不満を招きやすいです。

3月は年度末です。3月決算の企業においては、決算賞与を検討される経営者も多いでしょう。

賞与という法定外の報酬を、ぜひES向上に役立てていただきたいと思います。

投稿日: 2021年3月16日 | 10:08 pm

小説 『夢は叶う〜彼方なる南十字星』の連載について

今年に入ってから執筆しております、小説「夢は叶う〜彼方なる南十字星」ですが、読んだ方から「ワクワクする」とか「早く先が読みたい」などという嬉しいご意見をいただいています。

今後も頑張って創作活動を進めて行きますが、サイトを移動しました。

「note」というクリエイター向けSNSを使って発信して行きます。

何の特技もない、学業へのモチベーションもない普通の高校生が、「自作ヨットで太平洋を往復する」という夢を誕生させ、実現していく物語です。

元気が出る物語に仕上げて行きますので、ぜひサイト移動をご案内させてください。

小説は本のサイトで講読できます。

 
[追記]

2022年6月13日に、テレビ朝日「激レアさんを連れてきた。」に、この小説のモデルになった、ヒデユキさんこと安樂英行さんが出演されました!
 
 
それについて詳しく書いたこちらの記事もせひご覧ください。↓

【激レアさん】手作りヨットで太平洋一周のヒデユキ氏の小説ができるまで

投稿日: 2021年3月14日 | 8:58 am

経営方針発表会開催していますか?

3月が決算月という会社が多い傾向にあります。企業経営はエンドレス。新しい期になると、過去1年間の成績はリセットされます。企業経営の成功とは「永続発展」のことですから、常に戦略実行を継続していく必要があります。

たった1人で展開する商売でも、単年度経営計画書を策定するのは定石だと言えます。皆さんは、単年度経営計画書を策定していますか?半年または1年間の予定戦略を立案し、それを実行した場合の業績計画を立てます。

さらに言えば、社員数が5人以上になった時点(あくまでも目安です)で、経営方針(計画)発表会を開催するようにしましょう。

社員数が50人以上になったらなおさら。ステークホルダー(金融機関や主要取引先など)を招いて自社の経営方針をアナウンスする。

組織を構築したら、1人でのオペレーションでは限界があります。様々な人たちから”支えられる経営”が望まれるのです。したがって、経営方針を内外に発表し、我が社の進むべき方向を明確にする。

きっと、組織の団結力は高まりモチベーションが上がっていくことでしょう。

また、中小企業経営は課題の連続です。次から次に立ち塞がる経営課題に対して、ある程度のシュミレートをしておくと、「備えれば憂いなし」で対処のスピード感が違ってきます。

経営方針書を策定する最大の意義は、1年間の経営シミュレーションです。そして、経営方針書を策定し主要メンバーに配布。いつ見ても我が社の方針が分かるような仕組みを作っておくことが重要です。

投稿日: 2021年3月11日 | 10:54 pm

中小企業にとっての商品の正体

「中小企業の売り物とはなんでしょうか?」「お客様は何にお金を払ってくれますか?」この質問は、僕がセミナーなどで参加者の方々に投げかける質問です。

かなりの確率で、最初は「?」の表情を浮かべている参加者も、説明すると納得していただきます。

例えば…。衣料を扱う企業のことを考えてみましょう。レディースアパレルの会社の事例です。

お店に並んでいる”かわいい、おしゃれなお洋服”は、「商品」ではありません。「製品」です。製品とは「製造された品」と書きます。

製品で勝負してしまうと、オンリーワン・オペレーションができません。結果、価格競争に陥ってしまいます。

商品とは「商いをする品」。商いとは何か?「何かの価値をお客様に与えて、その対価としてお金をいただく行為」です。

この価値というのが、中小企業にとっての「商品」の正体なのです。

「価値」は、様々な要素から構成されます。「人財力」「仕入れ力」「企画力」「接遇力」「社会貢献度」…etc.

これを「企業努力」や「企業価値」と言います。つまり、お客様は「企業価値」にお金を支払ってくれるのです。

僕は価値のことを”想い”と呼んでいますが。

アパレル企業の場合、お店に並んでいる「洋服」や「くつ」「アクセサリー」などは「価値を形にした物体」に過ぎない。

中小企業には、ブランド力が必要です。ブランドは、一長一短で完成できるものではありません。同じように、企業価値も日々の努力の積み重ねで構成されているのです。

 

投稿日: 2021年3月10日 | 7:42 am

思考のブレは経営のブレを招く…。

どんな中小零細企業の経営者においても、自分の経営の価値観や信念を貫くことが大切です。経営をしていると、特に創業期にいては様々な周囲の方々が、意見をしてくれます。

その意見を取捨選択して、自らの経営における参考にできるかどうかは、自分の理念(経営理念、創業理念)を確立しているかどうかにかかっています。

いい意見なら望ましいのですが、実情を知らない人が好き勝手に言いたいことを言うこともあります。

経営者はブレてはいけません。

経営思考のブレは、経営理念のブレを招き、経営戦略をブレさせます。結果として、経営全体がブレまくり業績が上がっていきません。

例えば、以前カフェ経営をされている経営者に支援した時の話です。

お店のテイストは女性向けなのに、夜の営業来客ターゲットを「近所のおじちゃん」としていました。昼間は女子会を中心に、健康志向のメニュを提供し女性をターゲットにしていたにも関わらず…です。

なぜか?と聞くと「来客ニーズがあるから」との回答。

昼のメインターゲットを女性にした場合、夜も同じく女性をターゲットにする戦略がセオリーです。

お店のコンセプトは、イメージを作り上げます。イメージは、戦略に影響し、結果として業績に大きく波及していきます。

まさに思考のブレは、経営のブレを招くのです。

特に小売店や飲食店においては、理念やコンセプトをしっかりと確立させ、それにマッチさせた経営戦略を投下していきましょう。

ブレた経営戦略は、客離れという最も恐ろしい事態を招きかねません。

投稿日: 2021年3月8日 | 10:25 pm