企業が衰退していくとき…

長引くコロナ情勢は、中小零細企業の経営に多大な影響を与えました。正の影響も負の影響も…併せてです。飲食店への影響がクローズアップされがちですが、飲食店は大なり小なりのセーフティネットを受けることができました。

本当に苦しかった産業界は、飲食店などに資材や食材を納入している企業様…であることは事実です。業界全体への補償はなかったのですから…。

残念ながら、この大きな逆風の中、倒産の憂き目にあった企業も多いはず。廃業や精算も含めて、事業の断念は断腸の思いでしょう。

企業経営というのは、衰退の傾向があります。

例えば、社員が暗い、電話応対ができていない、社内が煩雑で清潔感がない、納期が遅れる、支払いが遅れる…などの明らかな傾向です。

つまり、商売の基本ができなくなるのです。理由は、おそらく金策でしょう。資金繰りが行き詰まり、お客様にエネルギーを向けられず、商売が成り立たなくなるのです。

僕のクライアント様の近隣でも、いつの間にかもぬけの殻…という社屋・事務所を見ました。

悲壮感漂う看板や、建物をみると本当につらくなります。その光景を見るたびに、中小企業診断士として我がクライアントは絶対に守り抜く!と誓う次第です。

経営者には、会社経営の全ての責任を負う覚悟を自覚して、常に我が社の商売を達観し、律し(コントロールし)ていくことが重要です。

商売の基本と定石(やるべきことと、やってはならないこと)を、今一度確認して、アフターコロナの激変する外部環境に備える姿勢が大切です。

投稿日: 2021年11月10日 | 5:16 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【53】

【中小企業診断士の成長プロセス 〜診断士のキャラクター形成〜】

故・落語家の立川談志師匠は、「面白い生活をしていない奴に、面白い話はできない」と言っていたとか…。中小企業診断士のキャラクターを考えるときにも、その言葉が当てはまると僕は考えています。

「面白くない診断士に、面白い会社は支援できない」ということ。

この面白いとは、まさに人間的に、社会的に魅力あふれる…という意味において、とても重要なキャラクター形成であると考えています。

「幸福感を感じていない社員が、お客様を幸せにはできない」とこロジックと同じで、中小企業診断士が「暗く、陰気で、ネガティブなキャラクター」だと、クライアントの明るい未来を参謀できることなどありえません。

つまり、仕事にならないのです。当然、そのような診断士には、仕事の依頼など皆無です。

また、中小企業診断士には「話術」が必要です。なぜなら、「話す」仕事だからです。

話術といっても、ボキャブラリ豊富なテクニックのことを言っているのでなく、熱く語って人の心を動かすエネルギーが大切です。

極端にいうと、「君と話していたら、なんか元気になるよ」とか「君が我が社に訪問してくれるだけで、社内の雰囲気が明るくなるよ」という言葉をかけられる診断士であること。

決して、経営者の意向を「理論を振りかざして」真っ向否定し、経営意志を萎えさせるような診断士では、信頼を勝ち取ることはできません。

基本的には、高揚感をクライアントに注入できる中小企業診断士でありたいものです。

投稿日: 2021年11月9日 | 7:30 am

経営理念とブランディングの関係性ー1

【経営理念はブランディング戦略の土台である】

理念経営が、業績パフォーマンスに与える影響はとてつもなく大きい。逆にいうと、ブランディング戦略は経営理念なしでは、実現できない戦略なのです。

「中小企業経営は、ブランディング戦略に取り組まなければならない!」これはも僕の普遍的な主張です。ところが、中小企業経営を俯瞰してみると、経営理念って”腹の足しにならない”と勘違いされている経営者が多いことに気づかされます。

ブランディングの正体は「高品質・高価格・高付加価値」のことです。ここでいう「品質」という言葉は、”商品の質”と書きます。

中小企業経営にとって「商品=商いをする品」の本質は、「企業努力・企業価値」のことですから、経営理念に沿った(マッチした、なんのブレもない)あらゆる取り組みが商品であるということになります。

こういう意味で、車で言うと経営理念は「ドライバー」、ブランディング戦略は「エンジン」、各種戦術は「車輪」ということになります。

経営理念が、企業経営にとってとるに足らないファクターだと勘違いなさっている経営者に限って、運営がうまくいかずに悩まれているケースが多い。

また経営理念は掲げているが、戦略そのものがブレまくっていて、うまくいかない…そんなケースも多い。

経営理念を創出して、行動基準を定め、忠実に向き合っている会社は、結果的に業績がいい。

中小企業経営者の皆様、貴方の会社はいかがですか?

投稿日: 2021年11月8日 | 5:27 am

高付加価値率経営のススメ

中小企業経営のあるべき姿を考察するとき、真っ先に思い浮かべるのは「高付加価値経営」です。僕はブランディング経営の自称推奨者ですが、この発想はこれからもブレることはないでしょう。

中小企業が激動の経済環境を置き抜いていくためには、須らく「ブランディング」に挑戦する必要があります。

なぜなら価格競争や商品ラインナップ競争で、中小零細企業に勝ち目はなく、何かに特化した「差別化(オンリーワン)戦略」こそ、目指すべき姿だからです。

では、何でオンリーワン経営するか?何を尖らせて勝負していくか?ここに経営者独自の知恵の搾りどころがある訳です。

僕が支援しているクライアント様の価値ある取り組みを、いくつかご紹介しましょう。

商品差別化が難しい被服販売業界で、「人の魅力」に特化・オンリーワンとして育てて躍進している会社。

「仕入れて売る」小売業からの脱却を図り、PB商品を次々と開発して高付加価値を実現している会社。

この世にない、素晴らしい商品を企画開発(ファブレス経営)し、海外進出・輸出を実現している会社。

名実ともに「いい会社」になることを宣言、目指して三方(お客様、社員、協力会社)よし経営をブレずに進む会社。

技術を磨き、品質を高めて「さすが」と言われる施工・工事を実施し、信用・信頼を高める経営に突き進む会社。

そのほか…。

どのクライアント様も、高付加価値率(高粗利率)経営を目指して実現中の頼もしい会社様ばかりです。

投稿日: 2021年11月5日 | 5:22 am

中小企業経営者のARIKATA学【経営者の言動のあり方】

【中小企業経営者の発言】

経営者の言動が、中小企業組織に及ぼす影響は多大なものがあります。その言動によって、幹部・社員・メンバーのモチベーションが大きく左右されるのです。

そこで今回は、経営者の推奨発言「あいうえお」を羅列してみました。

あ…「ありがとう」。この言葉は魔法の言葉です。ありがとうと言われて、悪い気がする人はほどんど皆無でしょう。経営者の皆さん、社員に対して「ありがとう」という言葉かけをしていますか?意外と言葉かけできていない現状があるもの。心から「君のおかげだよ、ありがとう。」と声をかけてあげてください。モチベーションが高まること間違いありません。

い…「いい仕事したね」。社員には「褒めて伸びる」人が多い。現場社員が「いい仕事」をしたときには、正直に真正面から「いい仕事したね」と褒めてあげましょう。これも意外とできていない。社長ですから、照れなども障害となるのかもしれません。

う…「うれしいね」。いい社長であればあるほど、社員からのリスペクトが深いもの。尊敬する社長から「うれしいね」と喜んでくれたら、高揚感は確実に高まります。社員は意外と、社長の喜ぶ顔が見たいと思っています。逆に、そう思われない社長は、経営者をやめたほうがいい。

え…「えらいね」。いい社長は、社員を逆にリスペクトしています。僕のようなコンサルタントに、「うちの社員、すごいでしょう?」と言えるような育成をしていますか?社員の功績は、社長の功績なのです。「えらいね」という言葉によって、社員の承認欲求は確実に高まります。

お…「おしえてくれよ」。この発言も、いい経営者ならば自然と口から出ているものです。「俺はなんでも知っている」と豪語する経営者ほど、肝心な社員のハートが分かっていない。社員との対話は、重要なコミュニケーションです。「おしえてくれよ」はその対話を成立させる、素敵な言葉なのです。

以上、推奨発言を列挙してみました。いかがでしたでしょうか?

いい社長は、いい会社を創る…これは真理です。

投稿日: 2021年11月4日 | 5:14 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【52】

【中小企業診断士の成長プロセス 〜診断士の行動力〜】

中小企業診断士は、経営コンサルタントですから当然のことながら、学者ではありません。あくまでも、中小企業の経営課題に個別対応して解決支援する専門家です。

ですので、「行動力」が必要です。行動から導き出さされる現場認識、現状認識力は、机上の空論から導く仮説を何よりも実証する結果につながります。

活躍する(喜ばれる)診断士は、とにかくフットワークが軽い。まず現場に足を運び、自らの五感を研ぎ澄ませて現状認識します。

まちがっても、フレームワークに頼ってはいけません。フレームワークは、行動による現場認識力を補完するただのツールなのです。

そういう意味では、第一線で活躍できる中小企業診断士には、年齢的な限界があると思っています。

社会人としても、成熟域に入った50代が最もピーク。50〜55歳を最高点に、下降曲線をえがくものと思われます。

中小企業診断士として現場で躍動する「活躍年齢」を伸ばしていくこと…これはとても重要な取り組みです。行動力が試されるプロですから。

「行動力をもって、クライアントの経営現状に肉迫する!」これが、診断士の基本スキル。肉迫の意味は、文字通り「肉体をもって迫る」。つまり、行動力のことなのです。

近年コロナ禍を皮切りに、オンラインで経営コンサルティング支援を推奨する輩が出てきました。はっきり言いましょう。オンラインで経営コンサルティングは不可能です。

コンサルティングのスタートは、「行動によってもたらされる現場観察力」なのですから。

投稿日: 2021年11月2日 | 5:36 am

社長の思い、社員の思い…そのギャップ

経営者であれば、我が社のことを自分のこととして考えて欲しいと思うもの。しかし、その思いは末端社員に行けば行くほど、薄れていくことが実情です。

最近本当に思うことは、所属会社のロイヤリティが高い社員が揃う会社は、組織的に強い…ということ。

強い組織(チーム)は、さまざまな課題に立ち向かうパワーが違います。当然、解決方法も無限に創っていきます。

中小企業経営は、一騎当千の強者が揃うチームが理想。企業は人財力が全てですから、経営者の最大の仕事はある意味「人財採用と育成」と言ってもいいでしょう。

中小企業経営にとって、社長の思いを現場の末端社員まで伝え、共有、共感してもらう。これは、とても大切な社長業なのです。

意外と自分の思いと、社員の思いとのギャップに気づくかもしれません。

当たり前です。社長は会社が第一、社員は自らの幸福が第一ですから。

ですからなおさら、会社の経営理念が社員の幸福感にベクトルを合わせることが重要なのです。

経営者の皆さん。社員と対話をしていますか?対話というのは「業務の連絡や伝達事項」ではありません。

会社の理念や方針、そして課題解決や身の上話など…一人の人間として思いをやりとりすることです。

実はこの対話というもの。とても重要で、日常の中で自然に対話できている会社は、「あり方=姿勢、マインド」を社長から学ぶことができます。

「あり方」を学んだ社員は、スキル研修などをしてさらに教育すると、とても伸びてくれます。

逆に、対話のない会社で「やり方=スキル」研修などを施しても、効果は薄い現実があるのです。

投稿日: 2021年11月1日 | 5:07 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【51】

【中小企業診断士の成長プロセス 〜診断士の観察力〜】

中小企業診断士として、クライアントの課題解決にあたり”お役に立つ”仕事ができるまで、一定の成長プロセスを辿る必要があります。

いざ資格を取得して、経済産業省に登録を済ませたが、まったく知識やスキルを使っていない…そういう診断士があまりにも多い。実にもったいない話です。

何度も主張していますが、すべての国家資格が「取得・登録したからがスタート」です。そのため、登録後の成長プロセスがとても重要となる訳です。

そこはもう、第一次・第二次試験の答案結果や点数など、まっっっっったく関係ありません!

自らの人間性や知識・経験、人的ネットワークを駆使して「いかにクライアントのお役に立つか?」という情熱と創意工夫が求められるだけなのです。

このシリーズ「ARIKATA(あり方)」において、そのマインドは一定の提言をして参りました。

ここでは、成長プロセスに焦点をあて、書いていきたいと思います。

中小企業診断士に必要な能力。まずもっとも磨いてもらいたい能力に、「観察力」というものがあります。これは、あらゆる角度から中小企業を”診る”力と言ってもいい。

間違っても、財務諸表やアンケート(モラールサーベイなど)だけによるモノではありません。

経営者・幹部・社員からのヒアリング。

社内の掲示物や空気感。整理整頓の状況。電話応対の接遇力。経営者の価値観。会社の雰囲気やモチベーションの度合い…。商品・サービスのポテンシャル(潜在能力)。あらゆる観察ポイントを診ていく必要があります。

重要なのは、価値を見抜く「観察力」です。

中小企業診断士は、未来志向型のコンサルタントです。あくまでも「明るい未来」にベクトルを向けた、企業の診断スキルを磨いてください。

具体的な「観察ポイント」を列挙しておきます。

⒈   経営者の価値観

⒉   社内の様子(空気感、掲示物、5Sなど)

⒊   社内メンバーのモチベーションやエネルギー

⒋   電話や来客にまつわる接遇応対

⒌   取扱商品(サービス)の品質・将来性

⒍   CS(顧客満足)度

⒎   関係先・外注先・協力会社への対応

⒏   教育コスト・研究開発コストとその方法

⒐   幹部・リーダーのリスペクト度合い

⒑   財務諸表(特に自己資本比率と経常利益率)

以上10ポイント。経営者やコンサルタントでも、是非「観察力」を上げるポイントとして、留意していってほしいものです。

投稿日: 2021年10月29日 | 5:46 am

中小企業の企業価値評価について思う…

大企業のそれと違い、中小企業の企業価値は算定が難しいと考えています。なぜなら、まだまだ日の目を見ない「開発中の商品」や「申請中の知知的財産」、「社長の人的ネットワーク」…何よりも「幹部、スタッフの人財力」…。

すべて価値算定が難しいファクターです。

先日も書きましたが、経営者はM&Aを考える前に、自社の価値分析を詳細かつ冷静に実行することが大切です。そのためには、我々中小企業診断士のような未来志向型のパートナーと、今後の承継戦略について早くから立案しましょう。

もしかしたら、価値判断によってはM&Aよりも「信頼できる人財に後を継いでもらう」方がハッピーになるかも知れません。いや、むしろお金で売買するM&Aよりも、社員・メンバーが幸福感を担保できる場合が多いのではないでしょうか?

残念ながら、会計事務所や金融機関系のコンサル会社では、業績数字と現状財務状況に偏った企業算定になりがちです。

経営は何があるか分からない。ヨット航海のようなものです。突然、追い風が吹き(いや、追い風を自ら捉え)、逆転が起こることも十分にあります。

特に努力を惜しまず、資源インキュベートしている会社は十分に逆転が可能なのです。

コロナ禍をうまく乗り切り、苦しんでいる環境を脱して逆転プロセスを描くためにも、日頃の「商品(サービス)開発」「人財育成」「品質向上施策」「知的財産経営」などの努力を惜しまないようにしましょう。

日頃の継続的な企業努力こそ、試される時代なのですから。

投稿日: 2021年10月28日 | 5:32 am

会計事務所がM&Aを提案するとき…

会計事務所(税理士事務所)の最近の傾向として、企業のM&Aを手がけることがあります。後継者のいない企業にとっては、事業継続のための手段としてM&Aがあるのというのは十分理解できます。しかし、「M&Aありき」の提案はやめていただきたいと切に思います。

最近ありましたが、僕のクライアントに対して「M&Aも選択肢ですよ」と会計事務所担当が提案した例。これは、「事業継続をあきらめる選択肢もありますよ」という提案と論理的には一緒です。

その会計事務所は、M&Aを手がけるコンサル会社をグループに置いているから、提案した結果なのでしょう。

企業というのは、想いの集合体です。これまで苦労してきて長年商売をされてきた我が社。きっと子供のような愛情を持つのが、経営者の普通の感情のはず。

それを、業績や資金繰りの状況だけで判断して、M&Aの話をするとは…。これが会計事務所の現状ですね。

経営には目に見えない(数字に現れない)価値があります。当然、打ち手(戦略)もあります。その戦略実行の選択肢がある限り、優先順位のナンバー1は「打ち手の実行」でしょう。

「万策尽きそうだ、後継者もいない、事業意欲も下がっている…」という判断を経営者がしたとき、初めてM&Aを検討すべき。

「事業が好調なうちに、売った方が高値で売れる」から。これがM&Aコンサル企業の論法でしょう。ところが、それこそ机上の空論です。

今回の例も一緒。まだまだ前向きに戦略実行しようとしているときは、会計事務所もその方針沿った財務コンサルをしていただきたい。

企業は「金では換算できない価値がある」という考えを持たないと、今後の会計事務所も将来性が危ういですよ。

M&Aは最終手段。十分なデューデリジェンスを行い、できるだけ事業継続を第一に考えて、タイミングをみたM&A提案をしてほしいものです。

企業を数字(結果)だけで判断してはいけないのです。

投稿日: 2021年10月27日 | 5:43 am