社員の不満を増長する要因

社員満足度を高めて、モチベーションを上げ、生産性を高める…この手法は近年急激に主張されてきた概念です。一昔前(約20年ほど前くらいでしょうか…)までは、顧客満足度のみが主張され、高い給料を払えば社員はモチベーションが上がる…というロジックが一般的でした。

僕は、法政大学経営大学院の門をくぐり、坂本光司先生の「中小企業経営革新論」を受講してから「社員満足度の重要性」を痛感し、コンサルティングの現場でも実証・検証中です。

逆に、社員がどんな点に不満を持つか?この概念を理解していないと、本当の意味で社員満足度を高めることはできません。

明確に主張してきますが、社員は「給料面」や「待遇面」などにさほど不満を持つことは少ないのです。今現在、ブラック企業と呼ばれる企業は、いくら業績面が良くても、社会的に評価されることはないですし、給与面も最低賃金制度(賛否ありますが)で、極端な低賃金はナンセンスな時代になりました。

では、社員は何に対して不満を持つのでしょうか?もっとも優先順位が高い「不満ポイント」。それは、「不明確な制度や仕組み」と「情報の不共有」に他なりません。

例えば、「人事考課制度が不明確」「人事制度自体が不明確」「賞与算定基準と計算方式が不明確」「委員会の内容が不共有」「社内プロジェクトの内容が不共有」「会社の業績が不明確」…など。

このような不明確な要素ばかりの経営は、社員がシラけてしまい、モチベーションが上がりません。

中小企業であればなおさら、ガラス張りの経営が推奨されますし、不満を解消し一体感を醸成する重要な要素なのです。

投稿日: 2021年11月25日 | 5:40 am

”燃える会議”を実践していますか?

中小企業経営における会議について、思うことがあり今回の記事を書きます。中小企業診断士として、様々なクライアントの各種会議に出席しています。その中で気づくことが多い内容です。

人的資源に限りがある中小企業経営においては、会議もできるだけ効率化し、スリム化し、無駄な時間を削って、さらにモチベーションが上がる内容にしなければなりません。

会議と報告会、ミーティングは全く違う概念でして、会議というのは「会して議する」と書きます。そのため、議論することが大切になります。

中小企業における会議の種類、内容を列挙しておきますので、参考にされてください。あくまでも基本型です。

経営会議(役員以上の会議)…自社の最高意思決定会議。主に中長期的な案件や企業の方向性を議論して、決定する会議。

幹部会議(部門長以上の会議)…自社の短期的な案件を議論し、決定する会議。決定事項は、末端まで情報共有する。

部署会議(各部の会議)…各部署のミッションに向けたPDCAを回していく会議。

以上です。基本的に会議は、月に一度で十分です。多すぎる会議は、精神的・業務的負担が大きい。

そのほかは、報告会とミーティングで十分なのです。

さらにいうと、経営者や経営幹部が一方的に訓示(というより、叱咤しまくる)する会議は全くもってナンセンスです。

中小企業経営は、何よりメンバーのモチベーションが重要です。会議自体も、「会議後からまた頑張ろう!」と参加者が思う会議でないと、開催の意味がありません。

投稿日: 2021年11月24日 | 5:07 am

賞与でモチベーションを上げる?

賞与(いわゆるボーナス)は、社員にとっても会社にとってもありがたい制度だと認識しています。経営者にとっては、人件費がかかって「必要悪」という認識をされている場合もありますが、この考え自体間違っています。

賞与という制度を活用して、社員のモチベーションを上げないと、経営者とは言えません(言い過ぎか…笑)。

賞与に関しては、ぼくも苦い思い出があります。つまり、「もらってモチベーションが下がった」思い出です。

当時の幹部からは、突然メールで「川﨑くん、君の夏の賞与は◯◯円になるから。」と知らされました。

「ん?当初の約束と違うな…」と思い、「算出根拠(計算式)を教えてください。」と尋ねました。答えは「・・・・・・・。」「そんなのないよ。」でした。

こうなると、賞与自体のありがたみも何も感じません。

中小企業経営は、メンバーのモチベーションこそ大切なファクターであり、業績決定要因のひとつです。賞与という機会で、メンバーのモチベーションアップを図る…。これが基本です。

そのためには、賞与の算出根拠(明確な計算式)を決めて公開します。その後、決定した額をアナウンスする時に、面談を設定しましょう。この面談によって社長(スタッフ50人以上ならば、経営幹部)との大切なコミュニケーションが成立するのです。

面談は「社員に対する感謝の気持ち」「賞与の額と算出根拠」「業務対する評価と次のステップへの課題感」などを共有し、明るい雰囲気で進めてください。

メンバーとの絆が、強まる瞬間をはっきりと実感できますよ。

投稿日: 2021年11月22日 | 5:12 am

中小企業経営者のARIKATA学【経営者のパラダイム(考え方)】

【言動の根源はパラダイムである】

中小企業経営者のあるべき姿を考察するとき、人物の考え方が実に多様なことが分かります。経営者は、社員を一人でも雇用した瞬間から、大きな社会的責任を付加して背負うことになります。「社員とその家族を幸せにする」という責任です。

中小企業経営は「家族ではないが、家族的でなければならない」。家族は、喜びも悲しみも楽しみも苦しみも分かち合いますよね。

中小企業経営者は、まずそこのパラダイムをブレなく持つ必要があります。

ところが、中小企業経営の現場を駆け回っていると、結局のところ業績主義・損得勘定の価値観がまだまだ蔓延っていることに気づきます。

そのパラダイムは、日々至る場面で言動として表面化します。

中小企業の社長の言動は、社員のモチベーションにダイレクトに直撃しますから、考え方(価値観)を確立してブレない精神力が必要となります。

経営の全責任は社長が負っています。ですので、様々な経営に関わる障壁は、社長自らが招いた現象であると言っても過言ではないでしょう。

つまり、メンバー(社員・幹部)の言動は、社長の責任ということなのです。社長、貴方にはその実感はありますか?

社員の失敗は、トドのつまり社長の失敗なのです。失敗を責めるよりも重要なのは、失敗の原因を探り、対処法を考案すること。

「こいつはダメだ…」と思う社員がいても、それは社長(経営者)の責任です。全て社長が背負い、会社を運営していかねばなりません。

ですから、強靭な精神力とブレない考え方が必要なのです。

投稿日: 2021年11月19日 | 5:11 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【55】

【中小企業診断士の成長プロセス 〜診断士の基本的提案思考ー2〜】

中小企業診断士は、新しい価値を創造する(あるいはそれを支援する)専門家ですから、本人自体の価値を上げていく必要があります。あたり前ですが、本人の価値を上げられない診断士に仕事の依頼は来ません。

中小企業診断士の商品は何か?この問いに「ノウハウや知識」と答える診断士は、即刻パラダイムシフトをしましょう。中小企業診断士の商品は、当人そのものです。もっといえば、診断士本人の人間的魅力です。人間的魅力ない診断士は、”その道”で食べていくことはできないのです。

そもそも、考えてみてください。少数といえど中小企業診断士は、日本中に2万数千人が登録しているのです。その中でご縁があったクライアントに対して、誠心誠意尽力することは当たり前です。

明らかに言えますが、自らのノウハウや知識を押し売りすることではありません。

クライアントのニーズと、中小企業診断士の強みとそれに基づく”課題解決のための仮説”がマッチしたときに、はじめて仕事が発生し、報酬をいただくことができます。

理想はもちろん、顧問として契約し、クライアントの社外取締役として最適な意思決定を促す存在です。まさにそれは、経営参謀と呼ぶにふさわしい。

中小企業の経営参謀は、過去の処理を主な生業とする税理士でも公認会計士でもない。未来を創造することを生業とする、中小企業診断士であると断言できます。

 

投稿日: 2021年11月18日 | 5:50 am

大手ECサイトの活用是非

企業経営において、販売フェーズはとても重要です。いくら良いものを創った(仕入れた)としても、販売の出口戦略を考えないと、価値が「お金」に変わっていくとはないからです。

現在のようなインターネット社会において、販売形態は大きくイノベーションしてきました。つまり対面型ではない販売方式が開発され、普及し、一般の人がインターネットを通じて商売(ビジネス)に参加できるようになったのです。

同時に、大手のECサイト運営企業が誕生し、独自の企業ブランドを確立するに至りました。

そして、多くの中小企業が大手ECサイトを活用するようになりました。ここで、あえて提言したいことがあります。低価格路線で自社製品を販売していきたいならともかく、ブランディング(高品質・高価格・高付加価値)戦略を推進しようとするならば、大手ECサイトの活用は慎重に検討したほうがいい。

なぜなら、大手ECサイトは手数料がかなりの比重で課せられますし、当然のことながら価格競争にさらされることになるからです。

ブランド化を推進し、高付加価値経営を目指す中小企業経営にとって、理想のECサイトは自社のホームページに実装することです。

価格ではない訴求ポイントを自社サイトで紹介、プレゼンし、販売していくことが理想です。

中小企業にとってのECサイト運営の考え方は、「高いですよ。しかし高品質です。いかがでしょうか?」です。この考え方は、大手ECサイトでは、中小企業はほぼ不可能。

一定の予算を投下して、自社ホームページを活用した独自のEC戦略を構築しましょう。

投稿日: 2021年11月17日 | 5:28 am

売上拡大は、シンプルに…長期的視野で…。

中小企業経営者が、自社の業績で最も気になる指標といえば、「売上」ということになります。僕も診断士ですから「売上UP」の方法をよく相談されます。

短期的に売上を拡大しようすれば、意外と簡単です。「広告展開」「キャンペーン」「その他販促」…そして「値引き戦略(安売り)」…。さまざまな戦略が可能です。

ところが、この短期的売上拡大戦略は、落とし穴がありますら要注意。さらに、このような短期的売上拡大ばかり推奨するコンサルタントは、依頼を控えた方がいいですよ。

本当の意味で「良策な売上拡大戦略」は、シンプルでかつ長期的視野で進めていきます。

売上は、分解公式があります。このブログで再三にわたり主張している戦略です。つまり「売上=客数✖️客単価」という公式。

この客数は、広告を見てきた「たまたま客」ではなく、顧客様つまり「わざわざ客」であるという点に注意しましょう。

客数を上げていくのが、売上拡大のためのシンプルな戦略ですが、これが継続して長期的視野で取り組むことに難があるのです。

お客様との関係性(マンツーマン・マーケティング)は、地道で地味な取り組みです。けっして前年比150%UP!といった派手な結果は産みません。

けれどもそれでいい。売上拡大というのは、企業の業績力を図る上でも重要な指標ですが、「ローマは1日してならず!」「三歩進んで二歩下がる、やっと一歩進む」の気持ちで長期的に取り組んできましょう!

それが結果的に、強い経営基盤を構築することにつながります。

投稿日: 2021年11月16日 | 5:35 am

経営理念とブランディングの関係性−2

【経営理念は、企業ブランディングコピーのことである】

経営理念を創出し、組織浸透を図り、自社の価値観として向き合い確立していくこと。それが、企業の趨勢を決める重要なオペレーションであることは間違いありません。

ところが、経営理念に対して「そんなに意味あることなの?」と疑問を抱いている経営者が意外と多い。その理由は、経営理念と利益創出の因果関係が明確になっていないからだと推察できます。

経営理念は、「我が社の価値観・存在目的」をフレーズ化したものですから、企業ブランディングのコピーであるということが言えます。

お客様から選ばれる判断基準は、何よりも「品質=クオリティ」です。

価格で判断されるお客様は、極端にいうと「我が社のお客様ではない」と認識すべきですし、大企業が仕掛ける価格戦略に同調すれば、中小企業経営は成り立ちません。

まさに、企業努力を訴求させ、主張を促進するフレーズとして、経営理念はブランディングにとって重要なファクターなのです。

なるほど、そう考えると理念をないがしろにしている中小企業が、経営がうまくいっていない場合が多いことも肯けます。

業績(売上や利益)とは、理念経営を実直に実行した結果現象なのです。

さらにいうと、経営理念はメンバーの士気を高める効果も期待できます。その理由から、安直なフレーズで理念を決めるべきではありません。

スタッフ、メンバー、協力会社そしてお客様のハートを抉るような「美しい言葉」を創出し、我が社の理念として確立すべきなのです。

投稿日: 2021年11月15日 | 5:39 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【54】

【中小企業診断士の成長プロセス 〜診断士の基本的提案思考〜】

中小企業経営最大のタブーは?そういう質問を投げかけられて、的確に答えられる診断士がどれくらいいるでしょうか?

中小企業経営のタブー戦略はいくつかありますが、最大のタブーといえば「価格競争戦略」であることは明白です。

ところが、この価格競争をあおる提案をする中小企業診断士がいるから、困ったものです。コストカッター型のコンサルタントにありがちな思考なのですが、数字を下げると効果的…という考え。

言葉としては、「そんなに売れ行きが悪いのならば、思い切って価格を下げましょう!」という提案・助言です。

時と場合によっては(ほとんどありませんが)、そのような提案・助言も致し方なしということもあるでしょう。

しかし、このような「低価格戦略」を平気で提案するコンサルタントは、ニセモノです。仕事の依頼はやめた方がいい。

中小企業診断士の提案は違います。「価格上げましょう!」と提案するコンサルタントに仕事を依頼すべき。

中小企業経営は、ブランディング戦略が基本です。ブランディング戦略とは「高品質・高価格・高付加価値」戦略のことを言います。

ですので、クライアントの品質を検証し、高品質に向けた施策を提案・実行支援し、高価格政策を立案する。結果、高付加価値経営を実現していく…。

これこそ、プロコンの国家資格ホルダー・中小企業診断士の本分であり真の価値であると断言できます。

投稿日: 2021年11月12日 | 5:55 am

中小企業経営者のARIKATA学【経営者の言動のあり方】

【中小企業経営者の行動】

中小企業経営者は、”見られる”職業だと思います。この見られるという現象は、恐ろしいほどの影響力があり、リスクもチャンスも兼ね備えるものです。

まず、中小企業経営者の行動は、規範となるものでないとなりません。「うちの社長は、本当にいい社長だ」と思われてナンボなのです。経営者の価値観で最も危険なのは、「給料を払っているから、俺のいうことを聞け!」といった考え。

このような考えは、行動に現れます。高圧的な態度、言葉、権力を振りかざした横暴的な人事異動など…。

こんな経営者を、社員がリスペクトするでしょうか?

また、社長はいかような事態になっても、平静を装う必要があります。

経営者の悩みは、人に関すること、金に関すること、商品に関することの順番で並べられますが、経営というのは航海のようなもの。順風満帆というわけにはいかないのです。様々な「まさか」の連続に、一喜一憂することなく中長期の経営を見つめ、冷静で熱い判断を下す…。

経営者とは本当に孤独で、つらく、そしてやり甲斐のある職業なのです。

また、大企業の経営者と違い、中小企業経営者は自らの行動スケジュールを「見える化」しておく必要があります。

分業や意思決定システムが進んだ大企業は、社長の行動など公開されていない場合も多い。しかし、中小企業経営は違います。

即断即決の判断をする場面や、リスクに直面した場合の社の方向性を決める場面があります。

その時、「うちの社長どこにいる?」といった事態は極力避けたいところ。

社員100人以下の会社ではなおさら。社長の所在地や行動スケジュールは、全社に見える化することをオススメします。

 

投稿日: 2021年11月11日 | 7:56 am