失敗する起業家の特徴−3

事業継続ができない可能性が、限りなく高い起業家の特徴。第3回目です。

起業というものは、アントレプレナーがとてつもない高揚感と期待感を持ち、それゆえに事業試算を誤りがちです。

特に事業の立ち上げ期には、ものすごいエネルギーを要します。

以下、⑦〜⑧の特徴を列挙、解説したいと思います。

 

⑦事業シミュレーションが“甘い”

事業計画書の必要性は、以前記述しました。今回のリスクは、その計画自体の甘さです。

シミュレーションの基本は”売上計画は悲観的に、経費計画は楽観的に”です。

つまり、収入源となる売上は「これだけは大丈夫だろう。」という感覚でなく、「この売上は、詠める」という数字で組み立てます。

また、経費については「最低経費+α」で組み立てます。余裕を持った経費計画が重要です。

 

⑧理念(事業の目的)が不明確または不純。

以前、補助金(国や自治体からの助成金)が受けやすいから法人形態をNPOにした、という起業家に会いました。

はっきり言いましょう。動機が不純です。

起業を始める動機は、損得勘定では絶対に長続きしません。

事業の目的(起業理念)は、社会にどんな価値を投下するのか?という価値観であるはずだし、そのことを明確明文化しましょう。

 

 

次回最終回は、「数値・業績管理を理解しようとしない(専門家まかせ)」「支えられない商売(経営)をしている」を解説します。

 

〜つづく

投稿日: 2018年5月31日 | 11:53 pm

失敗する起業家の特徴−2

前回から失敗する起業家の特徴を考察、記述しています。

失敗とは、事業の断ち切れ、倒産、志半ばで事業をたたまなければならない事態に陥ることをいいます。

残念ながら、そのような起業家が「残ったのは借入金だけ」という事態になった事例を見てきました。

今回はその2回目です。特徴④〜⑥を紹介します。

④決断・実行を他人に頼っている。

面倒な事務や経理作業は、スタッフ任せ。自分は好きな商品開発や広告宣伝にばかり没頭している経営者です。

もちろん経営者には経営者の仕事があります。しかし、面倒な業務をスタッフや外部要員に丸投げではいけません。

商売・事業全体の姿を常に現状認識していないと、経営判断が鈍ります。または、経営者としての業務の優先順位が分からず、判断自体を誤ってしまいます。

 

⑤売りたいもの(商品・サービス)に対する絶対的な強みができていない。

真の意味での商品とは、企業度力や企業価値であると言えます。その努力の込められた”想い”を形にすることがブランディングです。

商品の絶対的な強みが確立されていないと、つまるところ価格競争に陥り、いいことなどひとつもありません。

 

⑥“何の価値”を世の中に提供するか?確立されていない。

企業・商売の社会的責任は、価値を世の中に投下していくことだと言えます。何の価値も生み出さず、社会貢献できない商売は、長期的には続いていくはずがありません。

 

次回は失敗する起業家の特徴⑦〜⑩を記述します。

 

〜つづく

投稿日: 2018年5月30日 | 11:55 pm

失敗する起業家の特徴−1

起業家が事業を起こし、商売を始めることはとてもいいことだと、個人的には考えています。

また、中小企業診断士として起業家を応援したいと考えていますし、実際に支援もしています。

けれども、中にはこんな方は”商売を始めると危ないな”と、つい思ってしまう方もいます。

今回は、そんな方の特徴について考察したいと思います。小生の経験上、実際に見てきた起業家の特徴ですし、机上の空論ではありません。

以下、その特徴です。全10項目あります。

 

①計画なき、行き当たりばったりの商売をしている。

②善悪の判断をせず、損得判断で物事を決定している。

③自分の商売として向き合っていない。

④決断・実行を他人に頼っている。

⑤売りたいもの(商品・サービス)に対する絶対的な

強みができていない。

⑥“何の価値”を世の中に提供するか?確立されていない。

⑦事業シミュレーションが“甘い”。

⑧理念(事業の目的)が不明確または不純。

⑨数値・業績管理を理解しようとしない(専門家まかせ)。

⑩支えられない商売(経営)をしている。

順を追って詳細に解説していきます。

 

まず、①の計画なき行き当たりばったりの商売をしている。

事業は計画が必要です。計画を立てて実績を上げ、その予実対策を練る…これが基本なのです。行き当たりばったり商売は、不測事態があった時に対処できません。

商売というのは、不測事態の連続なのです。

②善悪の判断をせず、損得判断で物事を決定している。

損得勘定は、お客様やスタッフ、取引先に見透かされます。損得というのはあくまで結果現象。

商売の判断は、善悪(顧客やスタッフにとって良いことか、悪いことか)で判断し実行していきましょう。

③自分の商売として向き合っていない。

うまくいかないことを、周りのせいにする経営者は結構散見します。

会社の最高責任者は、社長・経営者です。「敵は内にあり、見方も内にあり」という気持ちを持って、商売に邁進しましょう。

〜つづく

投稿日: 2018年5月30日 | 7:56 am

目的意識(何のために)というもの

日大アメフト部の危険タックル問題が、社会問題となっている今日。

最も残念なのは、将来を嘱望された優秀な選手が「アメフトはもう楽しくない」という思いをもってしまったことでしょう。

20歳になったばかりの、まだまだ未熟な大人を導く側の責任はとても重いです。

 

企業経営にも、共通なポイントがあります。

組織のリーダーたる経営者や上司は、そこに集う社員(メンバー)が「仕事が愉しい」とか「やり甲斐を感じる」また「この会社に入ってよかった」と思われるようなチーム作りをしていく義務があります。

 

経営者の最大の仕事は、まさにその1点に尽きると考えてもいいでしょう。

その根底にある考え方は、”目的意識(何のために)”という価値観です。

今回の日大アメフト部の問題も、”何のためにアメフトをするのか?”という目的意識の欠如あるいは焦点のブレというものが、その原因だと考えています。

 

企業経営も、目的意識をブラさず導くことこそ、経営者・上司の最大の責務だと考えています。

投稿日: 2018年5月23日 | 11:50 pm

「働き方改革」の真相

近年とくに叫ばれている、「働き方改革」。つい最近までこんな概念はなく、極めて急激的に発展浸透してきた考え方です。

約10年前に、経営大学院を卒業し会計事務所に就職しました。それまでは地方の放送局に勤務していました。

転職先の会計事務所では、当然のことながら「働き方」を見直すなどという考え方はなく、若いトップ自らが「とにかく働く量を増やす」と主張する会社でした。

さまざまな考え方があり、「働く量(時間・物量)」が大切というのも是非を問われるものではないと今でも思います。

当時の会社経営者にはとても感謝していますし、良い縁をいただいたと考えています(一部、反面教師的な上司もいましたが…笑)。

本当の働き方改革(真相)は何なのでしょうか?

時短によるワークライフバランスの取り入れ、最低賃金の引き上げ、福利厚生の充実…すべてがその概念に当てはまります。

しかし、それはすべてが「真相・働き方改革」の結果現象ではないでしょうか?

働き方改革の本質は、社員・スタッフ(パート・アルバイト含む)が心の底から「ここでがんばろう、がんばりたい」と思ってもらえる社風と仕組み作りであると考えています。

手法や戦略・実行施策は無限にあります。

しかし、労働資源の売り手市場が、この先長期的に続いていくと思われる今日。

社員・スタッフが、心から燃えてくれるような会社作りに「今すぐ」取り組んでいかなければ、企業の永続発展は望めないと考える今日この頃です。

投稿日: 2018年5月13日 | 12:43 pm

商品開発で失敗するとき

新商品開発や既存商品のリニューアルを構想する際、失敗はできるだけ回避しなければなりません。

商品開発の失敗について書きたいと思います。

まず、商品開発の失敗という定義は、「その商品が全く売れないこと」です。

開発商品が完成しないこと、開発自体が頓挫してしまうこと…などは失敗とは言えません。

それは”失敗”ではなく、次のステップへの糧と考えるべきです。

では、どういうときに全く売れないのでしょうか?

もっとも散見される要因は、「開発商品を売っていく場所・販路がない」ことです。な〜んだ、そんなことか…と思われる方も多いはず。

しかし、かなりの確率で散見される現象です。

「いいものを作ったのだから売れるはず」と思い込んで、売るスペースやチャネルづくりを怠ってしまう現象です。

次に見られることは、開発商品に”想い”が籠っていないことです。

実は、この”想い”が商品のコア部分です。この想いを商品に込めることは、”魂”を注入することです。

開発商品が売れない…という現象は、絶対に避けるよう努力する必要があります。

そのためには、全社的取り組みとして、新商品開発に向き合っていき”想い”を形にすることが肝要です。

投稿日: 2018年5月6日 | 10:19 pm

コンサルタントがクレームを受けるとき

中小企業診断士として登録して、丸10年。経営コンサルタントの仕事を始めて、15年になります。

経営コンサルタントとは、売上原価がいらない、言わば「自分自身」が商品です。

ですので、品質を磨くということは「知識や経験をオリジナルノウハウに転換する」スキルをあげることだと思っています。

小生は、独立して丸3年になりますが、明らかなクレームは受けたことがありません。

クレームをよくもらうコンサルタントの特徴は、「能力」「スキル」「ノウハウ」に起因するものではありません。

コンサルタントがクレームをもらうのは、実は基本的な作法やルール、マナーに起因する場合がほとんどです。

例えば、

・約束を守らない…納期を守らない。アポイント時間に平気で遅れる。

・できもしないことを約束する…詐欺ギリギリのコンサルティングを平気でする。

・レスポンスがない…電話しても不通。返信もない。メール返信がすこぶる遅い。または返信自体がない。

・礼儀作法がなっていない…訪問の際、靴を揃えない。挨拶もしない。敬語も使えない。

・上から目線でものを言う…偉そうな態度で、”指導”する。

正直言ってこういう輩は、結構な確率で観られます。

 

先日も、こういう公認会計士をみました。

士業を生業としている以上、侍たる潔さや謙虚さ、潔さ、約束を守る誠実さは必須です。

経営コンサルタントであるがゆえに、「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」という生き方をしたいですね。

投稿日: 2018年4月28日 | 11:24 pm

人が集まる会社、集まらない会社

人材採用にお悩みの会社が多いですね。

中小企業にとって、唯一無二の経営資源は「ヒト=人財」であるというのが、小生の主張です。

その人財がなかなか集まらない会社というのは、結構散見されます。

業種や業態による若干のハンデはあると思います。

たたし、ヒトがなかなか集まらない会社は、「ヒトを集める(応募がある)企業努力が不足している」共通項があります。

働き方改革や、ワークライフバランスという流れや「CSよりES」という言葉は、単なる流行だと言った税理士がいましたが、現在はそのこと自体が本流となっています。

企業は、現場社員の「働きがい」や「働く喜び」「幸福感」に正面から向き合わなければ、人財が集まる会社には到底なれません。

今は、給与さえ高ければヒトが集まるという時代ではないのです。

また、人財が集まる会社は、その会社の内情やスタッフの特徴、商品紹介や歴史、経営理念やビジョン(将来像)などを情報発信しています。

今は、情報を発信する手段は多様化しています。

ホームページや、SNSなどを駆使して「我が社の素晴らしさ」を明らかにして公開しましょう。

 

「いい会社になって(あるいはなろうと努力して)その姿を、公開していく」これこそが人財が集まる会社になる唯一の方法です。

投稿日: 2018年4月27日 | 11:47 pm

人事考課制度を考える

人事考課制度を創ろうとされる中小企業が増えています。

正社員が10名を超えたら、適切な人事考課制度を創る方がベターです。

やりがいのあるシステムづくりを謳って、成果報酬型の評価制度を創る手法が流行りましたが、全く使えない仕組みをかなりの確率で散見します。

以下、使えない人事考課制度の特徴を列挙します。

 

①職級の定義が明確でない。

あるべき姿を定義として定めていないと、職級ごとのステップアップ、キャリアアップが不明確になり、結果として全く使えない制度になります。

 

②評価項目の文言が抽象的すぎて、評価者によって大きく偏る。

評価項目の文言は、具体的であればあるほど、ブレが少なくなります。この悪い特徴は、下手なコンサルタントがよく創る制度です。結果、投資に見合う制度はできません。

③数字(結果業績)のみの定量評価で、定性評価が盛り込まれていない。

業績数値のみでの評価制度は、社内がギスギスしてきます。結果、風通しの良いいい会社とは、程遠い社風が生まれます。

 

④評価項目が多すぎて、評価者の負担が大きすぎる。

評価者は万能ではありません。評価者の負担も考慮した、適正なボリュームでの策定が望ましいです。

 

⑤キャリアアップと昇級額が連動していない(あるいは、計算式があいまい)。

評価制度ばかり整えても、それがどういう効果(報酬)をもたらすのかが不明だと、全く意味がありません。

 

人事考課制度を、高いコンサルフィーを払って策定したけど、全く使えない…というお悩みはよく聞きます。

間違ってはならないのは、人事考課制度の目的です。

ある税理士は、人件費の適正な配分の実現と言っていましたが、それは副次的効果です。

 

人事考課制度導入の目的は、一にも二にも「社員のモチベーションを上げるため」なのです。

 

投稿日: 2018年4月26日 | 11:47 pm

会議のあり方を考える 〜個人攻撃型会議は時代遅れ〜

以前所属していた会社の朝礼。

クレームの報告を全社員の前で告白。クレームに至った経緯とその対策を、社員全員の前で報告させる…というもの。

「どっかの国の公開処刑みたいだ…」というのが、その光景をみた時の感想です。

ある女性社員がそのクレーム報告した後、ヘコんで(落ち込んで)いたため、その経緯を個人的に聞きました。

すると、内容は「ある上司が受けたクレームを責任転嫁されたもの」でした。

「いびつな組織は、いびつなジンザイを育む」というのは、小生の持論ですが、まさにその通りです。

 

同じことが会議の場でも言えます。

問題の原因と対策を建設的に議論するのは、プロとして当たり前ですが、詰問攻めで圧力をかけるような会議はもはや時代遅れです。

会議の理想像は、「この後も、また明日からがんばろう」と参加者が思える会議です。

 

今どき、パワハラまがいの発言や詰問は、本当にナンセンスです。

時々、問題発生を個人の責任に転嫁するような、攻撃型会議やミーティングを見ますが、大切なのは「問題(後ろ向き)を課題(乗り越えるべきハードル)と捉え、チーム(組織)全員で解決に取り組むという姿勢」です。

たとえクレーム一つにしても同じことが言えます。

解決策を個人に担わせると、組織がギスギスしてきます。またそのような組織に限って、いびつなリーダーシップをもった幹部が散見されます。

 

中小企業の会議は、「メンバー全員で、課題に向き合い、課題解決に向けた建設的な議論とアウトプット、そして解決アクションプランの立案」があるべき姿です。

投稿日: 2018年4月23日 | 10:38 pm