銀行との付き合い方 〜リレーションシップバンキングの真意〜

「雨が降ったら傘を貸さず、晴れた時に傘を貸す」…金融機関の融資を例えたフレーズです。

中小・零細企業にとって、地方の金融機関(信用金庫や地銀)は、お金という経営の「血液」を供給してくれるありがたい存在です。

しかし、「雨が降ったら…」という例えにある様に、いざという時の金融機関は「貸し渋り」などというカードを切ってくることもあります。

小生は、地方の金融機関は「リレーションシップ(良好な関係性)」を構築して、よりよいパートナーとしての付き合い方をお勧めします。

そのために、経営情報を可能な限り開示し、いざという時の融資実行に備えて適度な間隔でバンクミーティングを開催することが大切だと考えています。

銀行の融資担当者には、良し悪しがあると思っています。

クライアントにできるだけ寄り添い、融資案件を協力的に進めてくれる担当者もいます。一方で、時間ばかり要して提出資料ばかり求めて、なかなか協力的でない担当者もいます。

しかし、銀行はひとつではありません。メインバンクは、できるだけ変えないことがベターであると思いますが、あまりにもコミュニケーションが取りづらい場合は、思い切ってメインバンクの転換もありえます。

銀行との上手な付き合い方は、良きパートナーとしての情報開示と面談の設定などで実現できるのです。

投稿日: 2018年6月25日 | 10:21 pm

中小企業がとるべき戦略の方向性

事業計画書や単年度経営方針書の策定は、大いに推奨されるべきだと考えています。

計画なき経営は、羅針盤なき航海と一緒で、その方向性を間違えてしまいがちになるからです。

単年度経営計画書に盛り込むべき内容は、経営理念、中期ビジョン、経営実行カレンダー(実施事項のマイルストーン)、部門ごと前期の振り返り(検証)、部門ごと行動計画(アクションプラン)、そして業績計画(数値計画)です。

やはりここで、各種立案戦略の方向性となるべきものは、「経営理念」です。

立案した各種戦略が、経営理念に沿ったものか?外れていないか?具現化できているか?…です。

ありがちな”残念な経営計画書”は、業績数値だけの計画書、ありもしない(おめでたすぎな)売上計画を立てている計画書、根拠のない利益計画ばかり羅列している計画書、目標業績が前年比150〜200%などの数値を並べ立てている計画書…です。

もっとも散見されるのが、目標が高すぎる計画書。

目標は、「社員のモチベーションをかきたてる」くらいのものがちょうどいいのです。

「ちょっと頑張れば届く、がんばり方もイメージできる」くらいの目標数値一番モチベーションを掻き立てます。

 

投稿日: 2018年6月19日 | 11:53 pm

宿泊業経営の未来型マネジメント

今日は前職の会計事務所からの講師依頼で、諫早商工会議所にて講演講師を務めてきました。

宿泊業の経営者を中心に、約20人の方にご参加いただき、ほどよい緊張感の中で一生懸命お話ししました。

小生の講演は、実例・実績に基づいた生きた情報を提供する形で実施します。

机上の空論では意味がないし、あるべき論の話をしても、現実の経営状況と乖離していれば、聴いている方の参道は得られないと思っているからです。

講演テーマは、投票テーマのとおりです。

「戦略実行」や「戦術(仕掛け)」の展開のために、予実管理の重要性や、現場スタッフを巻き込んだチームづくりとPB商品開発の意義などを主張してまいりました。

いつも思うのですが、業種業態に関係なく、経営の根幹に流れている基本(やるべきこと)と定石(やってはならないこと)は同じなんだと。

恩師、坂本光司先生も言われていますが、経営の趨勢を決するのは「経営のやり方(テクニックや方策)」でなく「経営のあり方(姿勢や価値観)」だと思うのです。

今日はあっというもの1時間でした。

お声掛けいただいた、古巣(内田会計事務所)に感謝・感謝です。

 

投稿日: 2018年6月18日 | 11:27 pm

予実管理、実践していますか?

日々の予実管理というのは、経営上とても重要な作業と言えます。

特に経営者は、自分の経営の通信簿のような試算表と、きちんと向き合うことがとても大切です。

予実管理のポイントは、①対計画比率・差額 ②対昨年比率・差額を正確に算出し、現状認識することです。

偶然にも、明日諫早市商工会議所内にて、セミナー講師を務めることになっていますがこの「予実管理」重要性を詳細に説いて参りたいと思っています。

リスクを感じる経営者(この方の経営・商売は危ないなと思う経営者)に、感じている点は、結果としての業績に向き合っていない(直視できていない)ことです。

現状を認識せず、数値管理は専門家任せ、自分のやりたいことを優先してしまう…そのような経営はリスクが高まります。

やりたいことを商売にするということは、とてもいいことだと思います。

しかし、現状を正しく認識しないと「やりたいこと」に投下できる原資(モトデ)を認識できません。

結果、借入金が膨らみ資金繰りに困窮してしまうケースがよくあります。

とくに、事業を始めたばかりの経営者・起業家が陥りがちなリスクです。

中小・零細企業であればあるほど、予実管理はしっかりと取り組みましょう。

投稿日: 2018年6月17日 | 11:44 pm

上天草の夕日。楽しき日々に感謝。

今日は、上天草のクライアント様で仕事でした。

片道約3時間の道のり。しかし、毎度のことながら、訪問が楽しみなクライアント様です。

到着したのは、13:30分頃。

14:00から18時まで、幹部会議を実施しました。

約4時間の会議もあっという間に過ぎていきます。内容が充実していますし、なにより圧迫感からくるストレスがありません。

とてもよい方向に進んでいると思います。

 

仕事柄、さまざまな中小企業の、さまざまな会議に参加します。

会議の空気感はとても大切です。

 

もっとも無意味な会議は、「ギスギス感がいっぱいの個人攻撃型会議」です。

特に経営者自らが、部下の攻撃をするような企業は、その存在価値すらありません。

企業の最高責任者は、代表取締役社長以外にないのです。ということは、課題に向き合うのは企業のメンバー全員だし、旗振り役は社長です。

小生のクラインアント様では、「会社の課題は、メンバー全員の課題。部門の課題は、メンバー全員の課題」といして提言しています。

ラグビーの「 One for All ,All for one 」(ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために)という思いが大切です。

 

会議後は、全体研修でセミナーを担当させてもらいました。

テーマは「働く喜び、働らくという幸せ」というもの。充実した時間でした。

 

帰りの車の中で思うこと。

「会議の進め方はもっと工夫できなかったか」「もっとディスカッションしやすい雰囲気作りができなかったか」「メンバーのモチベーションは維持できたか」「セミナーでの思いは伝えることができたか」などなど。振り返ればキリがない。

 

けれども最後にはやっぱり、「この仕事は本当に愉しいな…」ということです。

投稿日: 2018年6月13日 | 12:07 am

30年ぶりの絆…

昨日、とても嬉しい出来事がありました。

SNS(FB)を通じて、30年ほど不通だった先輩と繋がることができたのです。

小生は高校卒業後、一年間の浪人生活を経験しました。福岡の予備校に通い、寮に入って大学浪人を送ったのです。

その頃は、とても多感な時期で、皆大学合格に対する不安や進路について、また人間関係や恋愛など、様々な悩みを抱えていました。

小生は、福岡市内にあった水城学園という予備校に通い、南区井尻にある学生寮で生活していました。

そのころ、とてもお世話になった先輩がいらっしゃいました。同じ佐賀出身の2浪している方で、その先輩には、本当にいろんな相談をしていたことを今でも思い出します。

その先輩、田中さんといいます。

北海道に憧れ、将来は北海道に住みたいと言われていました。そして今、北海道旭川で整体院をされているとのこと。

久しぶりに電話で聞く声は、当時と全く変わりなく、温かい響きがありました。

それにしてもSNSというもの、活用によっては人の運命を変えてくれると思いました。

九州佐賀と北海道旭川。SNSやインターネットがないと、まず繋がりを再現することはできなかったでしょう。

9月には、空手の全国大会出場のため札幌に行きます。

時間を作って、旭川の田中さんに会いに行きたいと思っています。

 

投稿日: 2018年6月12日 | 7:46 am

”経営基盤”の本当の意味とは?

建物に”基礎”というものがあるように、経営にも基盤があります。

その基盤とは、建物における基礎と同じように、強ければ強いほど外的環境の変化に対して動じることがありません。

では、企業経営にとっての基盤の正体は一体何でしょうか?

とある税理士は、”カネ”といいました。つまり、財力です。

ある意味正解。けれども、潤沢に内部留保がある大企業ならともかく、中小企業は財力にハンデがあります。

また、ある自称コンサルタントは人財であると言いました。

これも賛成できます。しかし、人財は”資源”と捉えるべきであり、経営基盤としては間接的な気がします。

中小企業にとっての経営基盤の正体は、小生は”顧客数”であると考えています。

つまり、お客様の数・絶対数です。

多くのお客様に指示されるような経営・商売をしていると、不測事態により少々お客様を失う事態になっても、経営自体揺るぎません。

つまり、リスク分散という回避行動が可能になるのです。

従って、日々のビジネス活動は「一人でも多くのお客様(市場)に向き合う(開拓する)こと」に主眼を置くべきです。

そのことがマーケティングの本質なのです。

投稿日: 2018年6月11日 | 11:26 pm

失敗する起業家の特徴−4

失敗する起業家の特徴。最終回です。

何度も訴えますが、失敗とは事業自体が立ちゆかなくなってしまうことです。

融資も受けて、時間もかけて、準備は万全と思って始めたビジネスが、途中で終わらざるを得なくなることはとても残念ですね。

先日天草にて、起業家の皆さまあてにセミナーをさせていただきましたが、ご縁があった皆様には是非、永続発展の事業を成し遂げてもらいたいと切に願います。

では、失敗する起業家の特徴9番目です。

⑨数値・業績管理を理解しようとしない(専門家まかせ)。

この例も実際にあったことです。

その起業家には、会議に会計資料を持ってくるように伝えてました。

会計資料とは、最新の経営状態を示す試算表のことです。

封筒に入って、まだ未開封のその資料を、その起業家は、小生に渡して一言「まだ見てないけど、あなた見てください。胃が痛くなりそう…なので。」

開けてみて、拝見しましたが「売上総利益=粗利益」がマイナスの月があるという、総額400万円(10ヶ月経過現在)の赤字を記録している散々たるものでした。

飲食店経営で、粗利益がマイナスという経営は、正直言って素人経営です。自らの成績である試算表を直視することすら避けてしまう稚拙さ。

赤字経営さもありなん、というところでしょう。

最後は、

⑩支えられない商売(経営)をしている。

中小零細企業の経営は、支えられる経営です。取引先(仕入先)や支援機関(金融機関やコンサル)など、協力者は大切にしましょう。

これも実例ですが、毎回請求される経費の支払いは、遅れない様にすることが誠意です。

忙しいからといって、何の連絡もせずに支払いの遅延は、信用を著しく下げます。

 

さて、失敗する起業家の特徴を述べてきましたが、小生も3年前に独立し4年目でやっと軌道に乗りつつある実状です。

起業、アントレプレヌールという行為は甘くない、厳しい世界です。ただ、自分の努力や価値で世の中に直接貢献ができるという、魅力ある活動であると言えます。

是非、永続発展経営を実践していって欲しいと願います。

 

〜おわり

投稿日: 2018年6月10日 | 10:55 pm

失敗する起業家の特徴−3

事業継続ができない可能性が、限りなく高い起業家の特徴。第3回目です。

起業というものは、アントレプレナーがとてつもない高揚感と期待感を持ち、それゆえに事業試算を誤りがちです。

特に事業の立ち上げ期には、ものすごいエネルギーを要します。

以下、⑦〜⑧の特徴を列挙、解説したいと思います。

 

⑦事業シミュレーションが“甘い”

事業計画書の必要性は、以前記述しました。今回のリスクは、その計画自体の甘さです。

シミュレーションの基本は”売上計画は悲観的に、経費計画は楽観的に”です。

つまり、収入源となる売上は「これだけは大丈夫だろう。」という感覚でなく、「この売上は、詠める」という数字で組み立てます。

また、経費については「最低経費+α」で組み立てます。余裕を持った経費計画が重要です。

 

⑧理念(事業の目的)が不明確または不純。

以前、補助金(国や自治体からの助成金)が受けやすいから法人形態をNPOにした、という起業家に会いました。

はっきり言いましょう。動機が不純です。

起業を始める動機は、損得勘定では絶対に長続きしません。

事業の目的(起業理念)は、社会にどんな価値を投下するのか?という価値観であるはずだし、そのことを明確明文化しましょう。

 

 

次回最終回は、「数値・業績管理を理解しようとしない(専門家まかせ)」「支えられない商売(経営)をしている」を解説します。

 

〜つづく

投稿日: 2018年5月31日 | 11:53 pm

失敗する起業家の特徴−2

前回から失敗する起業家の特徴を考察、記述しています。

失敗とは、事業の断ち切れ、倒産、志半ばで事業をたたまなければならない事態に陥ることをいいます。

残念ながら、そのような起業家が「残ったのは借入金だけ」という事態になった事例を見てきました。

今回はその2回目です。特徴④〜⑥を紹介します。

④決断・実行を他人に頼っている。

面倒な事務や経理作業は、スタッフ任せ。自分は好きな商品開発や広告宣伝にばかり没頭している経営者です。

もちろん経営者には経営者の仕事があります。しかし、面倒な業務をスタッフや外部要員に丸投げではいけません。

商売・事業全体の姿を常に現状認識していないと、経営判断が鈍ります。または、経営者としての業務の優先順位が分からず、判断自体を誤ってしまいます。

 

⑤売りたいもの(商品・サービス)に対する絶対的な強みができていない。

真の意味での商品とは、企業度力や企業価値であると言えます。その努力の込められた”想い”を形にすることがブランディングです。

商品の絶対的な強みが確立されていないと、つまるところ価格競争に陥り、いいことなどひとつもありません。

 

⑥“何の価値”を世の中に提供するか?確立されていない。

企業・商売の社会的責任は、価値を世の中に投下していくことだと言えます。何の価値も生み出さず、社会貢献できない商売は、長期的には続いていくはずがありません。

 

次回は失敗する起業家の特徴⑦〜⑩を記述します。

 

〜つづく

投稿日: 2018年5月30日 | 11:55 pm