中小企業診断士が手がける人事考課制度

中小企業の多くが、独自の人事考課制度を持っていないか…あるいは、使いこなしていない現状を、ここ数年散見してきました。

「数年前に、ある人事コンサルタント会社に依頼して人事評価制度を作ったが、全く使えないし、使っていない」

「人事評価制度の評価が分かりにくい。点数がつけづらい。」

「評価を、給与や賞与、昇格・降格に反映させていいか…ここまで支援してくれないから使いこなせない。」

このような不平不満を、幾度となく耳にしてきました。また、これが結構高額な報酬を払われているから、悲惨です。報酬は数百万円するから困ったものです。もちろん、すごく使いやすくて、分かりやすくて、管理しやすい…そんな人事考課制度なら高額でも価値があるでしょう。

人事考課制度の導入ポイントを、いくつかご提示しておきます。

①「解りやすい」…被考課者(評価、考課される方々)が解りやすい(理解しやすい)というのが前提です。

②「管理しやすい」…企業の人事担当者が管理しやすい制度でないと、いつの間にか使われなくなる運命にあります。

③「物心両面に影響しやすい」…給与や賞与、昇格・昇進などにどう影響するのか、リンクが明確になっていること。

④「オリジナル性がある」…その企業ならではの評価・考課項目が設定されていてオリジナル性がある。

⑤「面談制度が設定されている」…考課結果を書面でなく、面談で伝える制度になっている。書面で「心」は伝わらない。

以上5点。これは、未来志向型の士業・中小企業診断士が策定する分野だと、僕は勝手に思っているのです。

投稿日: 2022年11月10日 | 5:15 am

”全員営業”を唄う中小企業の末路

業績が苦戦してくると、経営者の中には「外に出て稼げ!」とか「全員営業スタッフとして外販してこい!」とか、トンチンカンな声を荒げる人が現れてきます。ずいぶん昔のこと(10年ほど前)ですが、とある中小企業の会議室に入った時、壁一面に貼られたチラシに仰天した思い出があります。

無数に貼られたチラシには「只今、業績緊急事態宣言!」とか「全員営業。全社を上げて業績回復を!」とか、「売らない社員は会社を去れ!」とか書かれていました。

この会社、末路は悲惨で…。

そのような標語をいくら掲げたところで、業績が回復するはずもありません。今、侵略戦争をしているどこかの国と一緒のロジックです。

業績を回復し、その回復した業績を維持することが大切であり、そのためには「社員のモチベーションを上げ、我が社の商品品質を見直し、価値を向上させる」ことが大切です。

業績第一主義…経営は儲かってナンボ!そういう経営は、いつまで経っても業績が回復しないのは、歴史が証明しているのです。

営業とは、我が社の商品品質価値をお客様に提案する活動のことであり、品質自体が伴わないと、営業も成果を出せません。営業スタッフのモチベーションが低いと尚更です。

また、営業活動の時間的確保を意図して、会議やミーティングをおざなりにすることも良くありません。企業業績の責任は、営業部だけが負っているいるわけではない。会社全体ひいては、経営者が第一の責任者なのです。

一度落ち込んだ業績を回復させるには、じっくりとした腰を据えた取り組みが必要ですし、それは短期的に成し遂げられるものではないのです。

投稿日: 2022年11月9日 | 5:32 am

経営者は、好かれてナンボである!

曰く「経営者は部下に嫌われてナンボ」とか「社長は恐れられないと一人前ではない」とか…。そんな発想をして、社員に暴言を吐く経営者が未だに多々みられるようです。それは、超買い手市場で社員が集まってきた時代の、今や「幻」のような話です。高度成長期やバブル時代の負の遺産と言っても過言ではないでしょう。

断言しますが、今の時代「経営者は好かれてナンボ」ですし、「社長は慕われてナンボ」です。それだけ、難しい時代になったと言えますが、同時に、本物の経営者しか生き残れない時代になったとも言えます。

経営者は、恐ろしいほど部下に見られています。観察されています。

「我が社は給料もそこそこいいし、評判もいい。そんなに人は辞めていくはずがない」とたかを括っていると、痛い目を見ますよ。社長、貴方の会社は貴方を心から慕っている社員が、どれくらいいますか?

「弊社は大丈夫。皆、自分を慕ってくれている」とか「弊社は給与も高い。会社への忠誠心は高い」…そう思われていても、実はそうではなかった…という現象は枚挙にいとまがありません。

やはり、モラールサーベイと現状認識アンケート調査は、数年に一度(3年に一度でいい)は実施して会社の診断をしましょう。

理想は、経営者自体が好かれ、慕われること。これは「お金」や「待遇」が左右するものではありません。経営者の「ハート」が分水嶺であり、経営者の言動が見られているのです。

社員が、「この社長ならひと肌でもふた肌でも脱いで、粉骨砕身貢献しますよ」そう思ってくれるような、振る舞いを心がけましょう。

投稿日: 2022年11月7日 | 5:50 am

中小企業経営の普遍的なミッション

CSRという言葉。企業の社会的責任という意味で、15年ほど前によく使われた言葉として記憶しています。曰く、社会貢献や最近では、環境に優しいとかSDG’sなど…。その考え方自体は否定するものではありません。念のため…。笑 しかし、過度に寄りすぎると中小企業経営そのもののミッションを忘れてしまうことになりかねない…。ぼくは正直そう思っています。

中小企業経営の普遍的なミッションは、大きく3つあると思っています。

① 「社会に対する経済的貢献」…分かりやすく言うと、法人税や消費税をはじめとした各種税金をきちんと支払うこと。そのために、適正な利益を叩き出し、儲けること。

② 「雇用の創出」…健常者も障がい者も、一律に同等に働く場を用意し、「お役に立つ」ステージを設置する。その適正な対価を的確に支払うこと。

③ 「新しい価値の創出」…価値の高い高品質な商品・サービスを創造(あるいは準備)して、社会に投下する。

以上3点です。極端に言うと、この3点が全て。これで中小企業の存在価値は、十分に満たされると僕は思っています。

環境保全?ジェンダー平等?SDG’s?それも大事でしょう。しかし、この分野の主張には賛否両論、さまざまな主張が飛び交っています。

特に中小企業は、生き残るのに必死。過度に流行り廃りの風潮に流されてしまうと、本業の基盤が揺らぎかねない。

経済的貢献、雇用創出、価値創造…この3つのミッションをしっかり達成すること。これがミッションです。

投稿日: 2022年11月4日 | 5:43 am

中小企業診断士は補助金申請の専門家か?

中小企業診断士の昨今のイメージのひとつに、「補助金申請支援の専門家」というものがあるそうです。コロナで発動された、大型補助金「事業再構築補助金」の申請支援に奔走する診断士が増えたからでしょうか?

あくまでも個人的な所感ですが、補助金の申請支援自体は、中小企業診断士が主として担う仕事ではありません。僕もさまざまな同僚や士業の方々から、「補助金申請の支援はなさっていますか?」と聞かれます。

もちろんしていますよ。ただ、主として業務を請け負っているわけではありません。特にあるのが成功報酬型で、補助金申請を請け負うというもの。

事業再構築補助金の申請で言えば、10%の報酬(成功報酬)。例えば6000万円の事業再構築補助金採択が決定したら、600万円の報酬が得られます。今回のコロナ補助金で、相当に稼いだ診断士もいるとか(数千万円〜1億円)。すごいですね。

すごいとは思いますが、自分自身領域に足を踏み入れようとは思いません。僕自身の、補助金申請支援のルールを設定しているためです。

僕の場合、①定期顧問契約クライアントの補助金申請支援依頼しか受けない ②成功報酬は受けない、申請書策定にかかった時間で固定報酬をいただく。この二つをルールとして決めているのです。

これでちょうどいい。中小企業診断士(経営コンサルタント)のミッションは「価値と価値を掛け合わせて新しい価値を創造する(そのお手伝いをする)」ことなのですから。

中小企業診断士が、「補助金申請の専門家である」と思われているとしたら、それは心外ですし、イメージを払拭する活動に注力しよう…。改めてそう思いました。

投稿日: 2022年11月2日 | 5:25 am

コンサルタントが経営支援を受注するとき…

先日、佐賀県中小企業診断協会主催のセミナー企画で、香川県中小企業診断協会前会長、山下益明先生をお招きしての勉強会が開催されました。

といっても、協会に提案をしたのは僕です。笑。

ご縁があって、数年前から山下先生とは交流を深めさせていただいています。山下先生は全国各地を飛び回り、中小企業診断士の能力啓発の勉強会を開催されているカリスマ。

今回も、本当に刺激になる勉強会でした。

内容の中で、もっとも共感したこと…それは、コンサルティングの受注につながる大きな鍵のひとつ。それは「自らが、ぜひお手伝いさせてください!」と思えるかどうか?伝えることができるかどうか?である…という言葉でした。

それはプロコンが、こうすればもっとよくなるという仮説が立っている証左ですし、何よりも心のこもった支援ができる分水嶺となります。

クライアント候補が、是非お手伝いしてください…と思われても、コンサルタントが「いや〜。私よりもっと他の専門家がいいですよ…」などと感じたら、良いコンサルティングサービスは提供できないのです。

そして、何よりWIN-WINの関係は構築できないでしょう。中小企業診断士(経営コンサルタント)が、是非お手伝いさせてほしい…そんなふうに思える会社は、きっとコンサルティングの化学反応が生まれ、新しい価値が想像されることでしょう。

たしかに、僕もコンサルティング契約を結ばせていただくときは、自らが支援したいと心から思える企業の方々です。それゆえに、長期的な支援が実現できているのだと改めて考えました。

投稿日: 2022年10月31日 | 5:24 am

デザイナー、コピーライター…そしてブランディング…

ブランディング経営を推奨するコンサルティングを提供していますが、相変わらず間違った認識が横行していることに辟易しています。「高品質・高価格・高付加価値」を実現するブランディングは、覚悟とモチベーションに裏付けされた継続力が必須です。この「高品質・高価格・高付加価値」は中小零細企業にとって、王道で目指すべき”あるべき姿”です。

品質はそれ自体「価値」という言い方ができます。商売や経営は「価値を提供してお金をいただくこと」ですから、「価値を上げること(をお手伝いすること)」が中小企業診断士や経営コンサルタントには求められる訳です。

世の中に、デザイナーやコピーライターという専門家がおられます。僕もよく連携して仕事をさせていただいています。とても重要なポジションだとリスペクトしています。

ただ、残念ながら彼ら・彼女たちのミッションは、「価値を伝え見せること」に留まっている現状があります。かっこいい・おしゃれなデザインや、刺さるコピーも重要ですがそれだけで価値は上がりません。

価値を上げることが目的であるならば、価値のコアである「品質」にアプローチすることが重要だからです。そしてその品質は目に見えた部分や物体だけではない。企業や組織の努力やプロセスのものも価値なのです。

ブランディングは、従来の品質を深く認識し、品質を高める努力に寄り添い、品質を価値として伝えるためのプロセスが大切。その重要な役割は、中小企業診断士が担っているのです。

投稿日: 2022年10月26日 | 5:37 am

中小企業経営と中小企業経営支援の根幹

様々な業種・業態において、取り巻く環境の激変と共に経営イノベーションを強いられています。特にコロナの完全収束が見えてきた、今日においてはなおさら。

ところが、僕が生存している経営コンサルティング業は、少なくとも20年以上イノベーション起こっていないのではないかと考えています。僕は大卒新入社員として23歳から3年間、ある全国展開のコンサルティング会社に所属していました。

そのころから変わったこと…それは、ワープロがPCに変わった、ペーパレス化が進んだ、ITの普及により情報収集が容易になった…ことぐらいです。

テレビ電話の普及で、経営コンサルティングも遠隔でできるのでは?ということが言われたことがありました。ところが、経営というのはそんなに甘いものではない。経営はやはりフェイストゥフェイス。同じ空気の中で経営していくからこそ回っていきます。それは、経営の根幹が“人間の営み”だということの証明であり、いくらIT化が進んでも不変のことだと考えるのです。

いつの時代でも、ITも設備もカネも時間も“人間の営み”を向上させるためのツール・道具にしか過ぎません。人財こそ経営の中心であり主人公なのです。

経営は人本主義…人財が幸せになるための活動である。業績は結果にしか過ぎない。恩師・坂本光司先生の教え通りです。

中小企業診断士の仕事は、経営コンサルティングです。コンサルティングは現場での事実認識がコアです。オンラインで、コンサルティングは不可能だと主張するのはそのためなのです。

投稿日: 2022年10月24日 | 5:57 am

販促戦略はインパクト(衝撃)がキメテ!

今時の販促戦略を考える時、ただの広報展開(マスメディアによる広告など)では、伝わり弱い時代です。このブログで何度も主張していますが、インターネットの出現と普及により、販促戦略を取り巻く環境は激変しました。

おそらく…この現象は止まることなく変化し続けると考えています。

中小企業経営と大企業の経営は根本的に違うように、当然ながら販促戦略も「あり方」「やり方」が違うものです。中小零細企業の販促戦略は「アナログ」「ハート・マインド」そして「インパクト」がキーワードになります。

「アナログ」は手作り感、マンツーマン・マーケティングが主流。

「ハート・マインド」は、本当にお客様の利便性に寄り添った考え方。

そして「インパクト」は、大胆で”肉を切らせて骨を絶つ”ような販促戦略を実行する…実はこれが大切なのです。

例えば、ECサイトは大手のサイトを活用するよりも、断然自社サイトのブランディングを図り、販売数を伸ばした方がいい。大手サイトは、手数料が3割ほど取られるからです。

中小零細企業のECサイトは、3割の手数料をプレミアムに転換して大胆に立案します。

ここで、値引きによるプレミアム戦略は望ましくありません。値引きは、中小零細企業がとるべき販促戦略で、もっとも優先度が低い。

それよりも、オリジナルのノベルティを付加したり、組み合わせで利便性が増すアイテムを「おまけ」したりする方が喜ばれます。

お客様は、思ったよりも価格に拘っているわけではない。何度も言いますが、大切なのは「質」の向上によるブランディングなのです。

投稿日: 2022年10月21日 | 8:23 am

来るべき「極・人財不足環境」に備えよ!ー3

前回の記事を読んだ読者から、メールをいただきました。

「人が辞めない会社といいますが、そもそも募集しても人が来ません。どうしたらいいですか?飲食業をしています。」(詳細無記述)と言った内容でした。

募集しても来ない…これも真理でしょう。それも深刻な課題だと言えます。しかし、よく考えてみてください。世の中の全ての飲食店が、人財が集まらない会社でしょうか?そんなことはありません。

全国津々浦々…人財が集まる飲食業はたくさんありますよ。愚痴をこぼす前に、研究してみたらいかがですか?と返信しました。

想像してみてください。お客様から支持され、毎日のように行列ができるような飲食店があったとしましょう。そこはきっと、ここで働きたいと思う人財が集まるはずです。

全ては自責なのです。内部環境に問題があるのです。会社には、さまざま外部関係者(ステイクホルダー)が関わっています。その方々が、「あの飲食店は自分が働きたい…」とか、「自分の家族を入社させたい…」と思う会社をい目指しましょう。

考え方はお客様と同じ。「選ばれる会社」としてキラキラ輝けるかどうか…なのです。

選ばれる会社は、人材からも選ばれます。こんな素敵な会社で働きたい!そう思われる会社を創ること。

拙著『選ばれる会社になる!ブランディング経営』にも書きましたが、すべては「さすが!」と言われる会社になること。

「極・人財不足環境」に備える経営は、ブランディング経営を遂行することに他なりません。

投稿日: 2022年10月13日 | 5:29 am

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